【ラノベの車窓から】第15回 『日本子・チャチャチャ あいむジャパン』
とあるライトノベル読みが読者としての視点・観点で、オススメをピックアップして紹介する「ラノベの車窓から」の第15回です。日々うだる暑さに苛まれている方も多いはず。そんな猛暑ネタで随分久しぶりな本コーナーであることのお茶を全力で濁してまいります。
さて、第15回のオススメとして取り上げるライトノベルは「日本子・チャチャチャ あいむジャパン」です。タイトルだけとってみると中々に内容が想像しづらいのですが、読んでみるとその意味も自然とわかること請け合いでしょう。設定、そしてキャラクターの双方からとってみても、非常の楽しく面白い作品です。
日本子・チャチャチャ あいむジャパン
著:日富美信吾 イラスト:狐印
出版社:講談社ラノベ文庫
幼いキャラクターは実に素晴らしい。多くの作品において登場しているロリ系キャラクター。そのキャラクターポジションは意外に重要だと思うのです。その最たる理由が、愛でやすい、この一言に尽きるのではないかと考えます。そのキャラクター性から妹キャラクターとも同じポジションを争う場合もありますが、単純に可愛さを前面に押し出すにはひとつ頭が抜きに出ていると感じざるを得ません。本作における日本子もまた、その例に寸分たがわない強みを持った作品となっています。
祖母によって呼び出された主人公の前に現れたのは、なんとも幼い一人の女の子。なんとも頭が少し可哀想な日本子、そして最悪で最高の主従を見せつけてくれるメイドの侍従。主人公の草薙鎮雄は、とある理由によって日本子の遊び相手として選ばれることになります。
日本子と侍従の阿素巳と毎日24時間、時給780円で面倒をみることになった鎮雄ですが、日本子の正体とその特異性から、さまざまな気苦労にツッコミの精神を忘れることのないまま、苛まれることになるわけですがこれがまた大変。日本子は悪霊に例えられてしまったり、危うく消えかかってしまったり、ひょんなことから愛に目覚めてしまったりと、ころころと残念な脳みそをフル回転させながら、鎮雄との距離を少しずつ縮めていくことになります。ここまで日本子に関するキャラクター設定は可能な範囲で濁していますが、その設定をきちんと飲みこんで読むと、本作の面白さは間違いなく倍増します(笑) 会話のテンポも非常によく、最悪になっても必ず最高に落ち着く侍従の激しい毒吐きがあったり、美しすぎる後輩など、最初から最後まで楽しんで読めるのが本作最大の魅力と言えるでしょう。
本作の主人公はツッコミタイプの主人公であり、このタイプの物語は会話のリズムやテンポ、その掛け合いが面白さを増し増しにしてくれる特徴もあります。ギャグまで行かずとも「それは違うだろ!」とページを捲るたびに思わずツッコミを入れてしまう『ついに始まったな日本! いや、終わっているのか……日本』と感じること間違いなしの本作はオススメです。
【記事:らお】
(C) 講談社 日富美信吾/狐印
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