平成29年度「朝の読書」で読まれた本は『君の膵臓をたべたい』の住野よる氏が上位独占 『オーバーロード』などもランクイン
株式会社トーハンは、小中高を対象とした「朝の読書」で読まれた作品のランキング(平成29年度版)を発表した。実施校は約27,000校(小学校・中学校・高校)で、970万人の児童・生徒の取り組みとなっている。調査期間は平成29年4月から平成30年3月末までを対象に実施。『ソードアート・オンライン』が中学校で3位、高校で8位となった。また、過去2年でランキングに登場していなかった『オーバーロード』が高校で11位へと急浮上。さらに今回の調査結果の特色として『君の膵臓をたべたい』をはじめとした住野よる氏の作品が軒並み上位にランクインする結果となっている。特に読まれていたライトノベル作品については以下の通り。
【中学生】
3: ソードアート・オンライン
9: カゲロウデイズ
12: 物語シリーズ
15: デュラララ!!
18: GJ部
【高校生】
8: ソードアート・オンライン
11: オーバーロード
17: 掟上今日子シリーズ
●中学生の『ソードアート・オンライン』、『カゲロウデイズ』人気は継続。『物語シリーズ』も2年ぶりに上位へ
中学生では長らく5位以内に位置し続けている『ソードアート・オンライン』は今回も3位とその存在感を示した。また、完結を迎えた小説版『カゲロウデイズ』も中学生の間では大きな存在感を放ち続けている。平成28年度の調査結果ではライトノベルが朝の読書の選書対象からぐっと数を減らしてしまったわけだが、平成29年度では『物語シリーズ』が上位へ舞い戻ってくるなど、再びライトノベルを選書の対象とする中高生の増加が見て取れる。『GJ部』が名前を連ねたことも大変興味深い。また、高校生では『オーバーロード』が新たに上位へ登場しているほか、単巻で25万部を突破する第23回電撃小説大賞「大賞」受賞作で、メディアワークス文庫から発売されていた『君は月夜に光り輝く』なども上位に登場した。
●『君の膵臓をたべたい』をはじめとした住野よる氏の作品が中高で上位に
そして平成29年度の調査結果で特筆すべきは『君の膵臓をたべたい』をはじめ、住野よる氏の著作が上位を席巻したことだろう。高校生ではベスト3を独占したほか、中学生でも『君の膵臓をたべたい』が2位となるなど、昨夏公開された映画の影響を大きく受ける結果となっている。『君の膵臓をたべたい』は、今年の劇場アニメ化も決定しており、若年層に対して更に作品の認知、知名度を上げていくことになるはずだ。例年、映画化作品が手に取られやすい朝の読書において、住野よる氏本人の知名度も中高生の間で大きな存在感を放つ結果となった。
ライトノベルが若年層の読書に対する興味の間口になってくれるのであれば、喜ばしいことだと思う。2018年はライトノベルを原作としたアニメーションも数多く放送、さらに予定されている。今回上位にランクインした『オーバーロード』をはじめ、『ソードアート・オンライン』も新たなアニメーションが控えている。そして満を持して動き出した『転生したらスライムだった件』にも注目が集まるだろう。本を読んでみようと思っても食指が中々動かない若年層の面々には、ぜひライトノベルを試しに手に取ってもらいたいと思う。
©住野よる/双葉社
©川原礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊 イラスト:abec
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