『シュヴァルツェスマーケン』内田弘樹さんインタビュー
引き続き、『シュヴァルツェスマーケン』について執筆担当の内田弘樹さんと、株式会社ixtlの山崎彬さん、エンターブレインの比企さんらにお聞きします。
ところで作品タイトルの略称である「柴犬」。シュヴァルツェスマーケンの略だから「しばけん」と思いきや、編集部の皆様、内田弘樹さんも「しばいぬ」と呼んでいました。呼びやすい方で呼んでいいそうですよ。
――タイトルの由来について教えてください。
【内田】
吉宗さんの最初の案としては、すごく強い戦術機部隊なんだけど、一番の嫌われ者っていうのがあって、だから「死神部隊」的な名前にしましょう、カッコイイ響きにしましょうという方針がありました。
でも「死神部隊」は捻りがなさすぎるな、と皆で相談しまして、その会議の中でトリアージってのはどうかなという案が出たんです。
トリアージっていうのは、戦場などで負傷した味方を優先順位で選別して札をつけることで、黒の札を付けられた人はもう助からないから放置し、赤の札を付けられた人を優先して助けるっていう判断基準になります。より多くの命を救うために、救いようがない生命は見捨てる選択をするわけです。これなら見捨てられた連中からは恨まれるし、死神扱いされてもおかしくないな、となりまして、そこを煮詰めることになりました。
そこで黒の札、黒の印、黒の宣告。黒だからシュヴァルツ、シュヴァルツマーケン……だと、ちょっとありがち。そこでロシア人の将校が東ドイツの第666戦術機中隊の活躍を賞賛して、中隊に異名を付けた。その際に若干間違った文法で付けられてしまった、という設定で『シュヴァルツェスマーケン』という名前が決まりました。
その後はエンブレムデザインですね。角の生えたドクロ―あのエンブレムのデザインも吉宗さんが手がけてくれました。
――戦術機「バラライカ」の魅力を教えてください。
【内田】
第1世代機だけど、細身でマッシヴっていうバランスは気に入っています。
リボルテックは中隊買いしました(笑)!
【山崎】
色のない設定画はだいぶ前に発表されていたのですが、彩色されて追加装甲を装着した瞬間にイメージが一転しました。あ、これ主役機だって感じでしたね(笑)
【比企】
多目的追加装甲(シェルツェン)についている爆発反応装甲は吉宗さんの発案です。『オルタ』世界の撃震や不知火の使用する92式多目的追加装甲などに六角形の爆発反応装甲が装着されていて、任意に起爆して密着したBETAを排除することができるという設定になっていたんです。
ゲームで使用してるシーンはないんですが、メカ本にイラストが掲載されています。
それとシェルツェンの尖った先端部は、BETAを突き刺す他に、塹壕掘ったりするためのものです。
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【山崎】
ゲーム開発当時、爆発反応装甲の設定はあったものの、絵素材を作る時間が足りず、泣く泣くカットされた模様です(笑)。
また、『シュヴァルツェスマーケン』の舞台である80年代は、『オルタ』の舞台である2000年前後と比較すると、通信性能がそれほど高くないという設定があります。データリンクも発達段階で、重金属雲下では処理が制限されるという設定ですので、一部の機体には通信性能強化のためのパーツが頭部に装着されています。『シュヴァルツェスマーケン』でいうと、アイリスディーナの搭乗するMiG-21PFがそうですね。
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――オリジナルの用語って許可を取るんですか?
【内田】
基本的にはオリジナルの語はあまり使わないようにしていますが、必要な時は確認して貰ってから採用するかどうか決定するという段取りになっています。
ゴロがよく、格好いいドイツ語をガジェットとして付け足してはいます。ドイツ語は厨二マインドを刺激しますから(笑)。
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――マブラヴという世界観がある中で、自分の特色を出すのは難しくないですか。
【内田】
いや、全然そんなことなかったですね(笑)。
国家保安省(シュタージ)がどんだけ酷い連中なのかとか、好きなものをガンガン投入して、自分の趣味をかなり反映させて貰ってます。
実はボクはボードゲーム…非電源系シミュレーションゲームが好きで、そっちの趣味を活かすという意味では戦況の図版などを入れさせて貰ってます(笑)。
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――アクティブディフェンスとかですか?
【内田】
あれは現実世界の戦術を『オルタ』の世界観に合わせてアレンジしたものですね。
【比企】
戦術機という兵器は単独で何もかもできるという存在ではありません。特に第1世代機は性能がそれほど高くないということも相俟って、戦車や自走砲などの他の部隊との連携が大事になってきます。
陣地構築や、どのように防衛ラインを保っているのかなどが、『オルタ』のシェアード・ワールドの中で『シュヴァルツェスマーケン』が立ってる部分ではあると思います。
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【山崎】
例えば、この時代に発案されて使用したが、あまり有効ではなかったため、『オルタ』の世界では出てこない戦術や、戦術機の性能が上がったから使われなくなった戦法などがある、というのは考察されていて、歴史がちゃんと感じられるようにして貰っています。
また基本的にBETAの行動は、人類が完全に把握してるわけではありませんので、この時代には、こう考えられていたが、後々考えると違った的な設定も存在しています。その辺の設定にも配慮することができる方だということで、吉宗さんも内田さんにライティングを依頼したんだと思います。
その他にはヒロインがよく殴られることが特徴かな。まさかお漏らしっ娘とは思いませんでしたよ、内田さんの趣味ですね(笑)。
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【内田】
いやいや(笑)。カティアみたいな純粋無垢なキャラが戦場で汚れたキャラたちの前に出てくれば、当然制裁されるでしょ(笑)。お漏らしはそもそも『オルタ』でまりもちゃんが……(笑)。
――最後に、ちょっとだけ次巻の内容を教えてください。
4巻の見所はリィズですね。いくつかの新しい真実が判明します。
そのうえBETAの大攻勢が始まり…風雲急を告げる東ドイツ! 動き出すシュタージ! どうする、テオドール!! …って感じです。
キャラクターたちの思いが一気にぶつかる巻になっていると思いますので、ぜひよろしくお願いします!
本編第4巻は、10月29日に発売です!
続きが早く読みたい方は、TECH GIANを買って下さい!
(18歳未満の方は単行本を待ってね!)
また、短編集に載っていない短編がジャイアニズムvol,2に載っています。
グレーテルの話で、3巻の終わりの部分に繋がりますので、こちらもどうぞ!
◆◆◆ 内田弘樹さんのご厚意でサイン入りの単行本を頂きました。 ◆◆◆
3名様に「サイン入り単行本(第1巻)」をプレゼント致します。
プレゼントを希望される方は、以下のアドレスにご応募下さい。
【応募先アドレス】 present.aisaka+sm@gmail.com
メールの件名を 「シュヴァルツェスマーケン」サイン本プレゼント係 としてください。
締め切りは9月23日(日)の24時までとします。
皆様のご応募をお待ちしております。
※前回は一時的に応募アドレスが間違っておりました。申し訳ございません。
[関連サイト] 「シュヴァルツェスマーケン」公式サイト
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取材・文:海老沢秀暁
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