独占インタビュー「ラノベの素」 斧名田マニマニ先生『殿下、ちょっと一言よろしいですか?~無能な悪女だと罵られて婚約破棄されそうですが、その前にあなたの悪事を暴かせていただきますね!~』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2022年9月5日にDノベルfより『殿下、ちょっと一言よろしいですか?~無能な悪女だと罵られて婚約破棄されそうですが、その前にあなたの悪事を暴かせていただきますね!~』が発売された斧名田マニマニ先生です。新シリーズ「Dノベルf」の刊行を記念して、第1弾ラインナップに名前を連ねられました。本作についてはもちろん、様々なジャンルを手掛けられる斧名田マニマニ先生の創作との向き合い方など、様々にお聞きしました。

 

 

殿下、ちょっと一言よろしいですか?~無能な悪女だと罵られて婚約破棄されそうですが、その前にあなたの悪事を暴かせていただきますね!~

 

 

【あらすじ】

氷のような美貌を持ち、悪女として周囲から恐れられる侯爵令嬢のルチア・デ・カルデローネ。彼女は『魔法鑑定の儀』で無能の烙印を押されたことをきっかけに、第二王子・ディーンから一方的に婚約破棄を宣言される。しかし彼女には、圧倒的に不利な舞台から逆転する自信があったーー。その傍らには、愉快そうにルチアを眺める美しい青年がいて!? 隣国の有力貴族であり第二王子より影響力を持つ彼の名はクロード。ルチアが悪女のふりをしていると勘づいたクロードは「面白いご令嬢だ!気に入ったよ」と急接近…! 私は事件を解決したいだけなのです!? さしもの氷の美女ルチアも、実は恋愛方面の耐性は全くないから大慌てで…!?

 

 

――それでは自己紹介からお願いします。

 

斧名田マニマニと言います。出身は静岡県で、2014年に作家デビューしました。好きなものは塩分で、嫌いなものは日本のお化けです。海外のホラーは悪魔やキリスト教に根付いているものなので大丈夫なのですが、日本のお化けは元人間のような生々しいものが多いので、別物として怖いと感じてしまいます。最近ハマっているものはつい先日始めたばかりの『Sky 星を紡ぐ子どもたち』というゲームです。私も始めたばかりなので詳しいわけではないのですが、この作品にはメインストーリーのようなものがなく、プレイヤーに物語を委ねている感じが面白いんです。なかなかプレイしないと伝わらない感じのゲームなのですが、物語に頭を使うことなく、考え事をしながら手を動かして遊べる、癒しのゲームみたいな感じですね。

 

 

――ありがとうございます。このたび新シリーズ「Dノベルf」の第1弾ラインナップとしてお名前を連ねることになりました。あらためてお気持ちをお聞かせください。

 

ダッシュエックス文庫のチームで、女性向け単行本ライトノベルを敢行することになったのは本当にありがたいと感じました。いろんな少年向けレーベルが女性向けに参入してきていますし、私自身のホームとも言える集英社が参戦してくれたのは嬉しいですよね。ラインナップでもトップバッターの一人に選んでいただき、嬉しさや喜びはありつつも、売れなかったら後続の作家さんに迷惑をかけてしまうかもしれないというプレッシャーもあります(笑)。

 

 

――集英社がホーム、という言葉もありましたが、斧名田先生は小説投稿サイトを中心に活動されているイメージが強かったのですが。

 

私自身、小説の執筆自体は公募からスタートしているんです。ダッシュエックス文庫の前身にあたるスーパーダッシュ文庫の時の新人賞に何度か応募していて、3次選考まで残ったりしていました。その後、ダッシュエックス文庫に切り替わるくらいのタイミングで運よく編集さんに拾っていただいたのがデビューのきっかけでしたね。意外かもしれませんが、小説投稿サイトでの活動はデビュー後なんです。悲しいことに鳴かず飛ばずの状況もしばらく続いていて、その打開策のひとつとして活用するになりました。

 

 

――そうだったんですね。小説投稿サイトを活用するようになって、活用前と後とではご自身にとってどのような変化がありましたか。

 

小説投稿サイトの活用は、私自身が「見てくれる人」を強く意識するきっかけになったと思います。一人でも読んでくれる人がいるのであれば、その人に「作品を読んで楽しかった」「時間の無駄にはならなかった」と少しでも思ってもらいたいと考えながら書くようになりました。プロットはもともと作っていましたが、より丁寧に作るようにもなりました。公募の頃は他人が考えられない自分だけの物語を、自分しか書けない面白い物語を作ることができれば認めてもらえるんだって、ずっと思っていましたからね(笑)。

 

 

――公募、投稿サイトを含め、そもそも小説を書こうと考えたきっかけはなんだったのでしょうか。

 

私は子供の頃からとにかく本を読むのが好きだったんです。その地続きで、「本を買うためにはお金を稼がなくちゃいけない。なら自分で本を書いて本を買うためのお金を稼ごう」と考えたのが始まりでした。少女向けのライトノベルはたくさん読んでいましたし、ミステリーや文学小説、あとは児童小説もかなり読んでいたと思います。少年向けのライトノベルはそれこそ自身が作家になってから、執筆の勉強として読むようになりましたよね。本を買うために本を書く、この考え方は今もほとんど変わっていません(笑)。

 

 

――様々な本を小さい頃から読まれてきた影響なのか、『復讐を希う最強勇者は、闇の力で殲滅無双する』や『尽くしたがりなうちの嫁についてデレてもいいか?』など、手掛けるジャンルも幅広い印象があります。

 

そうですね。おっしゃる通り、私の場合は読んできた本の積み重ねが、次に自分自身が書くものに繋がっていることが多いです。なので、いろんなジャンルの本を読んできた結果のひとつなのかなと思います。ジャンルを選ばず本を読むことで、都度都度自分の中に「旬」が生まれるんです。その「旬」の面白さをなんとかライトノベルに落とし込めないか。その結果、読んでくれる人に喜んでもらえたらいいなと思いながら作品作りをしています。なので常に「今回はダークファンタジーをやりたい」「次回は優しいファンタジーをやりたい」と考えています。ただ、これは私自身の欠点のひとつだとも思っていて、自身の作家性というか、ブランドが定まり切っていない裏返しだとも思うんです。なので、私としてはたとえ著者名を隠されても、「この作品は斧名田マニマニの作品だ」とわかってもらえるようになりたいと思いながら、日々執筆活動を続けている感じですね。

 

復讐を希う最強勇者は、闇の力で殲滅無双する尽くしたがりなうちの嫁についてデレてもいいか?

※斧名田先生はダークファンタジーや甘々ラブコメなど幅広いジャンルを手掛けられている

 

 

――ご自身では「このジャンルが得意かもしれない」と感じているジャンルはあったりするのでしょうか。

 

全然なくてすべてが難しいです(笑)。ただ、毎回どのジャンルを書いている時も楽しいと感じながら執筆活動はできています。私の場合は特に、主人公が何を考えているのかがわかってくると楽しいんですよ。執筆しながら作中のキャラクターのことを知っていくというスタイルなので。

 

 

――ありがとうございます。それではDノベルf第1弾ラインナップとなる『殿下、ちょっと一言よろしいですか?~無能な悪女だと罵られて婚約破棄されそうですが、その前にあなたの悪事を暴かせていただきますね!~』がどんな物語なのか教えてください。

 

本作は悪役令嬢ものになります。ヒロインの侯爵令嬢は「悪女になる魔法」を受け、周囲と軋轢を生み続ける嫌われ者の悪女として5年の歳月を過ごし、やがてその魔法から解放されることになります。解放後も周囲はヒロインのことを悪女だと思い続けている勘違いの要素がありながら、悪女だと思われている令嬢が、自身を貶めようとする人たちを次々になぎ倒していくお話になります。当初は魔法によって悪女となっていたことを隠す物語ではなかったのですが、担当編集さんとの打ち合わせの中で、抱えている秘密を隠し通す物語へと変わり、勘違いやドタバタ劇が生まれるようになりました。

 

殿下、ちょっと一言よろしいですか?

※「悪女になる魔法」の影響で、悪役令嬢として名を馳せることになったルチアだが……

 

 

――本作は悪役令嬢ものであり、恋愛はもちろん、サスペンスの要素も大きなウェイトを担っていますよね。

 

そうですね。サスペンスの要素が入ってくると、それぞれのキャラクターは命がけで行動することになりますし、この物語では死ぬキャラクターも登場する、という見せ方ができるのかなと。個々のキャラクターが生きるのか死ぬのか、そういうドキドキを読者の方に感じてもらえればいいと思っています。恋愛面においては第1巻時点で言うと、一方的に言い寄られるヒロインの姿を楽しんでいただけたらと思いますね。

 

 

――続いて本作に登場するキャラクターについても教えてください。

 

主人公でヒロインの侯爵令嬢ルチアは、今の私ができる最も利口なキャラクターを目指しました。すぐに感情的にはならず、冷静に起こっている出来事を観察、判断できるキャラクターになっていると思います。

 

ルチア

※「悪女になる魔法」が解けたルチアの快進撃が始まる!?

 

クロードは隣国の有力貴族の嫡男で、国王の賓客でもある青年です。ルチアからしてみると、敵か味方かわからないキャラクターという立ち位置でもあります。クロードについては第1巻時点でお伝えできることがあまり多くなく、今ここでどう表現しても後々嘘になってしまう可能性があるんですよね……。なので、あくまでルチア視点ではありますが、女ったらしで、口だけの人、として見ていただけたらいいのかなと思います(笑)。

 

クロード

※隣国の貴族であり謎多き青年クロード

 

子爵令嬢のジャンナは、たとえ敵であるルチア相手でも色々と頑張ってくれるキャラクターになっています。悪い子ではないんですが、なにかとルチアに突っかかる女の子ですね。

 

ジャンナ

※ルチアを嫌っているはずなのだが手を差し伸べる優しさもあるジャンナ

 

国王陛下の愛人であるアデーレ夫人は、作中では描かれていませんが、女の人も男の人もどっちもいけるキャラクターです。ルチアのこともそういう目で見ているという裏設定があるので、ぜひここで紹介させてください(笑)。

 

アデーレ夫人

※クロードとも繋がっている重要人物の一人

 

 

――あらためて第1巻を振り返って、ご自身で気に入っているキャラクターや書きやすいキャラクターについても教えてください。

 

私は自分の作品で主人公が一番のお気に入りということはほとんどないんです。ただ、本作においてはルチアを一番気に入っているかもしれません。何度も改稿を繰り返して生まれたキャラクターでもあるので、自分自身が登場させられる、納得のいく人物像として気に入っています。書きやすさという視点ではジャンナになるのかなと思います。私がやってほしいことをすべてやってくれますし、コメディ的な要素を匂わせている明るいキャラクターなので(笑)。ジャンナ自身が根っから人を憎むことができないキャラクターでもあるので、ルチアに対する言動からもそのあたりは垣間見えるかなと思いますね。本人の中では嫌いという感情に任せた振る舞いによって、善と悪の悪側には立ちたくないという思いが行動に繋がっているんだろうと思います。

 

殿下、ちょっと一言よろしいですか?

※ルチアの人物像も本作の大きな見どころのひとつとなっている

 

 

――本作のイラストはゆき哉先生が担当されています。デザインやイラストを見た際の感想をお聞かせください。

 

最初にイラストを見た時、とにかくルチアの髪型が可愛かったんですよ! 指定を私からしたわけではなく、すべてゆき哉先生に描いていただいた結果、西洋ファンタジーの中にちょっと中華っぽい髪型のヒロインが生まれました。他のイラストについても「さすがだな」と思ったのは、挿絵の壁ドンイラストですよね。ゆき哉先生が本作のようなジャンルのことをしっかりと理解されていて、読者に求められて、読者が嬉しく感じる絵を熟知されているなと(笑)。もうすべて可愛くて、すべてよかったですね!

 

殿下、ちょっと一言よろしいですか?

※斧名田先生も「さすが」と感じたという一枚

 

 

――では発売された作品の見どころについて教えてください。

 

悪役令嬢ものの作品では、婚約破棄される王子の多くは最初に退治されてしまって、以降は登場しないパターンも多いと思います。その理由としては、婚約破棄の報復をメインに書かれている作品がそこまで多くないからだと思っているのですが、本作では物語の後半に差し掛かっていく事で、その人物像にもしっかりと迫っていきます。また、サスペンスの要素もぜひ見どころとして注目していただきたいです。ルチアが「悪女になる魔法」をかけられたのはなぜか、その呪いの真相について、さらに社交界を舞台にして令嬢が次々に巻き込まれていく不幸な事件。本作には様々な謎が散りばめられており、それぞれが物語を引っ張る要素になっていると思いますので、ぜひ注目いただければと思います。

 

殿下、ちょっと一言よろしいですか?

※婚約破棄の裏側にある真相とは……

 

 

――今後の目標や野望があれば教えてください。

 

担当編集さんにはしょっちゅう伝えているんですけど、アニメ化したいですね(笑)。とにかくアニメ化してもらえるような作品を立ち上げられるように頑張りたいです!

 

 

――最後にファンのみなさんへメッセージをお願いします。

 

この作品は女の子が主人公の物語で、シリーズも女性向けから刊行される作品ではあるんですが、老若男女問わず読める、楽しんでいただける作品を目指しているので、これまでの既存作を手に取っていただいている読者の方にも、ぜひ読んでいただけたら嬉しいなと思います。あとは新しいシリーズがスタートしたということで、ダッシュエックス文庫は男性読者が圧倒的に多かったと思いますが、女性の方にもぜひ注目していただければありがたいなって思います!

 

 

――本日はありがとうございました。

 

 

<了>

 

 

新シリーズ刊行ラインナップ第1弾として、サスペンスとロマンスが入り混じった悪役令嬢作品を綴る斧名田マニマニ先生にお話をうかがいました。「悪女になる魔法」をはじめとした、作品内に散りばめられた様々な謎、そして社交界で巻き起こる事件に挑む本作。コメディとシリアスが交差しながら謎へと迫る『殿下、ちょっと一言よろしいですか?~無能な悪女だと罵られて婚約破棄されそうですが、その前にあなたの悪事を暴かせていただきますね!~』は必読です!

 

<取材・文:ラノベニュースオンライン編集長・鈴木>

 

©MANIMANI ONONATA 2022/集英社 イラスト:ゆき哉

kiji

[関連サイト]

Dノベルf公式サイト

 

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