独占インタビュー「ラノベの素」 すめらぎひよこ先生『我が焔炎にひれ伏せ世界 魔王城、燃やしてみた』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2022年12月1日にスニーカー文庫より『我が焔炎にひれ伏せ世界 魔王城、燃やしてみた』が発売されるすめらぎひよこ先生です。第27回スニーカー大賞にて「大賞」を受賞し、満を持してデビューされます。同賞では12年ぶりとなる「大賞」であり、ライトノベルの内外を問わず大きな注目を集めている本作。トリッキーな5人の少女たちが織り成す物語についてはもちろん、その着想や各キャラクターの見どころなど、様々にお話をお聞きしました。

 

 

我が焔炎にひれ伏せ世界

 

 

【あらすじ】

(あわよくば何か燃やしたい……)という欲求を抱いていたホムラは異世界へと招かれる。そこには同じようにヘンな女子高生達が集められており、何でも特別な才能を持つ彼女達に「この世界を救って欲しい」という話のようで? 100年振りの魔王復活、混乱に乗じて蔓延る悪党共。天下動乱の世を正す為、世界の命運は少女たちに託された――。「あなた悪人さんですか?それなら私、心置きなく燃やせます!」 燃やすことこそ大正義! 焼却処分はエクスタシー!! 圧倒的火力で世界を制圧していく残念系美少女ホムラの行く末は!? スニーカー大賞12年ぶり「大賞」受賞作。最強爆焔娘の異世界コメディ!!

 

 

――まずは自己紹介からお願いします。

 

はじめまして、すめらぎひよこです。数年の無職生活を経て、ついにプロの作家になることができました。小説投稿サイト「カクヨム」で初めて書いた作品はホラー短編だったり、ひとつの作品を書いてから次の作品を書くまでに時間が空いたりもしていたので、総合した執筆歴は3、4年くらいになると思います。好きなものはゲームとB級映画で、ゲームはいろんなゲームに手を出すというよりも、ひとつのゲームを長く続けることが多いです。一番長くプレイしていたゲームは『モンスターハンターフロンティア』、今は『FF14』をプレイしていますし、最近は『スプラトゥーン3』も始めました。B級映画も大好きで、あのチープさを見ると妙に愛着が湧くと言いますか……「低予算=つまらない」ではないんですよ。オススメは『ロンドンゾンビ紀行』や『武器人間』、『Mr.タスク』などなので、ぜひみなさんにも観てもらいたいです。名作を観た方が創作の勉強になるとは思うのですが、散見する拙い部分を見せながらも面白いと感じさせる魅力に取りつかれていますね。なんにせよ、もともとホラー作家志望だった私が、今思うとすごいところに来ちゃったな、と感じています。

 

 

――ゲームがお好きということですが、ご自身の創作にも繋がっているという、キャラクターメイキングに特殊なこだわりがあるとか。

 

そうですね。兄からは「変態」と言われているのですが、キャラメイクがあるゲームでは、僕は絶対に美人なキャラクターを作るんです。さらに言うと、僕はその美人キャラにガッチガチの重厚な甲冑を着せます。兜もフルフェイスで、肌は一ミリたりとも見えません。そんなキャラに派手な攻撃エフェクトのある武器だったり、巨大な武器を持たせるのが好きなんです。『DARK SOULS』シリーズもそんな感じでプレイしていましたし、確かに変態な気がしなくもないですね(笑)。「女の子が巨大な武器を振り回すのが好き」や「女の子が重厚な鎧を着ているのが好き」には共感を得られることが多いのですが、「女の子が顔まで一切見せない重武装をするのが好き」まではなかなか共感を得られないので、少し寂しいです。集まれ、同士よ。

 

 

――ありがとうございます(笑)。あらためて小説を投稿しようと思ったきっかけを教えていただけますでしょうか。

 

もともと僕は公募を通して新人賞を受賞し、プロ作家になることを目標にしていました。その中で、カクヨムに小説を投稿したのは、自分の作品がどの程度通用するのか、自分の欠点や強みはなんなのか、感想をいただくことで知りたかったからです。といっても、ぽっと出の素人作家のホラー短編に感想がつくことはありませんでした(笑)。当たり前ですがWeb小説の作法にはまったく馴染みもなく、そもそもホラーはカクヨムでも人気ジャンルというわけではなかったので、読者人口も多くなかったんですよね。加えてタイトルやキャッチコピー、あらすじも有効活用できず、内容以前の問題も多かったんだと思います。ただ、感想や評価はもらえませんでしたが、内容についてはおそらく好評だったんじゃないかなぁと今でも思っています。ありがたいことに第一話を読んでくださった読者はほとんど離脱せずに最終話まで読んでくださいましたので。それでもやっぱり、感想は欲しいと思ってしまったんですよね。そこから人気ジャンルのファンタジーにも手を出しはじめることにしたんです。

 

 

――感想を求めてファンタジー作品を手掛けるようになったわけですが、結果としてそれが受賞へと繋がるきっかけになったわけですよね。投稿後の手応えはいかがでしたか。

 

ファンタジー作品自体はもともと書きたいと思っていましたからね!(笑)。ただ、感想欲しさに手を出した人気ジャンルの長編は、ホラー短編より読まれることはありませんでした……。30話ほどのファンタジー長編を最終話まで読んでくださったのは1人だけでしたし、累計PVも45くらいだったんです。

 

 

――人気ジャンルゆえの競争の激しさがあったわけですね。

 

はい。ただ、この結果は自分にひとつの気付きを与えてくれることになりました。最後まで読んでくれたのはたったの1人でしたが、「ひとりでも自分の作品を楽しみにしてくれる人がいる」という、読んでもらえることのありがたさに気付いたんです。その当時の経験は、今でも作家としての心構えに深く根付いています。当たり前と言えば当たり前なんですけど、PVや評価数は単なる数字ではなく、その向こう側には人間がいるんです。読者の数が少なくても、それを単なる「小さな数字」として切り捨てるのではなく、ひとりでも期待してくれる方がいるのであれば、その思いに応えなくてはと思えたんです。そこからより読者目線で自分の作品を分析するようになり、ファンタジー長編三作目の『異端少女らは異世界にて』がスニーカー大賞の大賞作となりました。

 

 

――おひとりでの執筆活動では気付けなかったかもしれないことを、気付くことができたわけですね。あらためて、受賞することになったスニーカー大賞へと応募しようと思った理由も教えてください。

 

スニーカー大賞への応募動機は、ちょうどそのタイミングに異世界コメディを書いていた、という理由が大きかったです。スニーカー文庫といえば、なんといっても『この素晴らしい世界に祝福を!』が有名です。異世界コメディが求められているに違いない、そんな希望をもって応募させていただきました。

 

 

――そうして12年ぶりとなる「大賞」を受賞することになりました。率直な感想をお聞かせください。

 

受賞の感想としては、かなり重たい気持ちでした(笑)。もちろん嬉しい気持ちもあるんですけど、ただの大賞ではなく、「12年ぶりの」という枕詞がついているんです。僕は燻った人生を歩んできたので、いつか人生を変えたいとは思っていました。そこに大賞受賞という、人生を変えるにはこれ以上ない転機が訪れました。ですが、大きな期待を背負うということは、大きな責任を背負うことを意味します。大々的に打ち上げた作品が失敗したとなると、僕が痛い目を見るだけでなく、スニーカー文庫自体にも厳しい目が向けられることになります。そんなとてつもないプレッシャーに加え、良くも悪くも注目が集まることも自明の理でした。それでも責任やプレッシャー、厳しい視線すらも「自分が掴み取ったもの」として背負い、前に進んでやろうじゃないかと覚悟を決めて日々精進し続けています。

 

 

――大きな重責もあるかもしれませんが、それでもスニーカー文庫編集部に「この作品になら大賞を出してもいい」と思わせたこと自体に大きな価値があるんだと思います。

 

そう言っていただけるとありがたいです。実際、12年ぶりの大賞に対してはSNSをはじめ賞賛と批判、様々な意見が僕の目にも自然と入ってきます。また、スニーカー文庫編集部も多くの葛藤を抱えたうえで、12年間大賞を出さなかったのだという事情を知ると、「12年ぶりの」という言葉の重さも理解できるんですよね。先ほども言いましたが、僕は責任やプレッシャー、厳しい視線すらも「自分が掴み取ったもの」として背負い、前に進んでやろうと覚悟を決めて日々精進し続けています。その覚悟はもちろん自分のためなんですが、自分と同じように燻っている人たちの希望になりたいという気持ちもあります。努力することの怖さを、僕は知っています。努力しても何の成果も得られなかったらどうしよう、と考えてしまう人は多いです。それでも努力した者の姿を見せることによって、一歩を踏み出す勇気をみんなに与えられたらなぁと思っています。

 

 

――ありがとうございます。続いて、受賞後の書籍刊行に向けて動きを振り返っていただけますでしょうか。

 

とにかく日々、身が引き締まる思いの連続でした。プロ作家になるということは、プロ作家同士でしのぎを削ることになるのは分かっていましたが、自分の作品を完成させ、発信し、発売するために、様々な大勢のプロが関わるのだと実感しました。その一流の仕事ぶりを見ると、自分も早くその域に達しなければと身が引き締まります。「大賞」を受賞して浮かれたのは、受賞報告を受けた瞬間くらいだったんじゃないですかね。とはいえ、こういうことばかり言うと「大賞目指したいけど重荷背負いたくね〜!」って思う方も出てくるかもしれません。でも背負うものの重さよりも素晴らしいものが手に入るので、安心して重荷を背負いましょう(笑)。

 

 

――様々なプロが関わるという意味では、刊行に向けた豪華PVの製作を始め、並々ならぬ広報展開も見受けられます。これもまた、12年ぶり「ならでは」なのかなと感じてしまいます。

 

おっしゃる通り12年ぶりだけあって、広報戦略の規模には驚愕しました。正直、笑うしかないくらい宣伝に力を入れていますよね。大変ありがたいことなんですけど、経験したことのない額と人数が自分の周りで動いているので、「た、大変なことになってる……!」くらいの漠然とした感想しか出てこないです(笑)。PVに関しても声優の平野綾さんがハルヒ役でナレーションを担当してくださったり、ホムラたち五人と盗賊役に二人の声優さんが参加してくださったり、今まで声優さんは画面の向こう側の存在だったので、感無量です。収録はリモートでの立ち会いでしたので、そういう意味では依然画面の向こう側ではあるんですけど(笑)。それでも声優さんたちと顔を合わせて、言葉を交わすことになるとは思いませんでした。

 

 

――それでは第27回スニーカー大賞「大賞」受賞作『我が焔炎にひれ伏せ世界 魔王城、燃やしてみた』がどんな物語なのか教えてください。

 

テーマは「とにかく個性の強い女の子が異世界で暴れる!」です。魔王を倒すために異世界に招かれたホムラたちが、自分たちのやり方で世界を平和にしていく、というのが大筋になります。女の子たちがファンタジー世界でキャッキャウフフしてはいますが、異世界はそこまでキラキラしたものではありません。僕だったら、まず行きたくはない世界ですらあります。そんな世界で各々の能力を活かし、各々の価値観に従って好き勝手やる物語なので、爽快感はあるんじゃないでしょうか。第1巻では世界の秩序を守るための信条が原因で事件が起きます。これ以上はネタバレになりそうなので伏せますが、世界の歪みばかりに目を向けず、明るく楽しい物語として受け取ってもらえたら嬉しいです。

 

我が焔炎にひれ伏せ世界

※異世界の地に降り立つ5人の少女は誰もが一筋縄ではいかない……!?

 

 

――サブタイトルの「魔王城、燃やしてみた」ですが、第1巻の本筋と大きく紐づいているわけではありませんでしたよね。このサブタイトルは何を意味していたのでしょうか。

 

おっしゃる通り、サブタイトルの「魔王城、燃やしてみた」は第1巻を表すものではありません。このサブタイトルは物語全体のラストを表しているんです。物語の構造としては、ラストに行き着いたホムラたちが、それまでの異世界の旅を振り返るイメージになっています。どのような思いで魔王城を燃やしたのか、それを想像しながら、彼女たちの旅を追体験してほしいです。

 

 

――本作の着想についても教えてください。

 

『ホムセカ』を思いつくことになったきっかけは、映画『プレデターズ』のワンシーンでした。『プレデターズ』は『プレデター』シリーズの三作目で、その中でジャパニーズヤクザが日本刀で異星人と戦うシーンがあるんですよ。それを見た瞬間、「日本刀を持った女の子とバケモノを戦わせたい」と思い、『ホムセカ』のきっかけになったんです。なので、一番初めに思いついたキャラは「ジン」だったりします。そこからイロモノをかき集めようと思い、『バイオハザード』が好きなので生体兵器の「ツツミ」を、『NieR:Automata』も好きなので機械生命体の「プロト」を、と考えていきました。『ホムセカ』で特に目立つホムラとサイコは、どこから着想を得たのかいまいち覚えていないのですが、どこかから湧いてきました(笑)。

 

我が焔炎にひれ伏せ世界

※イロモノな各キャラクターは様々な着想から誕生したという

 

 

――なるほど。まずは物語よりもキャラクターを考え、構成を進めていったわけですね。

 

きっかけはそうですね。その後、キャラクターの創造と並行して、世界の創造も進めました。当初は普通じゃない女の子たちがよく分からない理由で気持ち悪いクリーチャーと戦うだけの物語を考えていましたが、流石にそれだと長く続かないだろうということで、異世界に飛ばして魔王を倒すことにしました。僕の場合、物語は描きたいシーンが先行し、そのワンシーンを活かすためにキャラクターや世界を生やして、育てていくイメージになるんです。それを繰り返しながら物語を膨らませていきました。

 

 

――本作はシリアスな一面があったり、無茶苦茶な言動で笑いを呼んだり、ちょっとした狂気も垣間見えたりと、各キャラクターが強烈な個性を放っている点も大きな魅力だと感じます。

 

僕は『ゴールデンカムイ』や『東京喰種』、『ドロヘドロ』なんかが好きで、殺し合いをしているのに、それでも敵が憎めない奴だったり、残虐なことをしているのに笑えたり、そういう作品がそもそも好きなんですよね。シリアスな世界でコメディチックなやり取りをしているけれど、登場人物は全員本気。だからこそ生まれる温度感や熱量を個人的には目指し続けています。個性の強いキャラクターという視点では、おそらく『狂乱家族日記』の影響が強いのかなと思います。あの作品ほど強烈な個性の集団は見たことがなかったですし、あの賑やかな雰囲気がたまらなく好きでした。やっぱりキャラクターが立っていると話にメリハリがつきますし、それだけでドラマが生まれるんですよ。書き手になってみると、楽しいうえに書きやすいというメリットもあり、僕は毎作品、キャラクターの個性を尖らせています(笑)。

 

 

――もともとはホラー作家を目指されていたというお話もありましたし、カクヨムの投稿作品を拝見すると「ホラー」や「狂気」といったタグが目立っていました。本作においても「狂気」は外せない要素ですよね。すめらぎひよこ先生が感じるこのジャンルやカテゴリの魅力とは何なのでしょうか。

 

僕は貴志祐介先生に憧れて作家を目指し始めたんです。貴志先生の作品には、「人間の恐ろしさ」がよく描かれています。サイコパスが登場したり、事情があって常軌を逸した行動をしたり、あるいは世界の構造が無意識に恐ろしいことをさせていたりと。こういう要素は幽霊のような超常現象より、現実との地続き感が強いんですよね。「もしかすると、自分にもこういう脅威が降りかかってくるかも」と思わせるような、そんな生々しさが魅力的で、自分も書いてみたいと思うようになりました。『ホムセカ』でも、一般的な価値観や倫理観からズレた人間が、他者からどれだけ狂気的に見えるのか、ということを考えて設定作りをしています。そのズレた理由も、特殊な能力を持っているからであったり、育った環境が原因だったり、そもそも人間ではないからであったりと様々です。様々なズレ方をしている者たちが集まっているからこそ、各々のズレていない部分が浮き彫りになり、逆に人間味を感じさせるような描写ができているのだと思っています。

 

 

――では続いて、ずば抜けた個性が魅力の5人のキャラクターについても教えてください。

 

「ホムラ」は5人の主人公の中でも、メインを張るキャラクターです。名前の由来は「炎」で、発火能力者です。その能力が原因で色々と難しい人生を歩んでいるので、明るい言動以上に実は暗かったります(笑)。5人の中では相対的に一般人に近いため、一番共感しやすいキャラクターかなと思います。ただ、一部の過激な思想について共感するのはやめましょう(笑)。すぐ調子に乗るので痛い目を見がちなのが、個人的には可愛いポイントだと思っています。残念カワイイ。

 

ホムラ

※すぐ調子の乗ってしまうところも可愛いホムラ

 

「サイコ」はマッドサイエンティストです。名前の由来は言わずもがな……。サイコは自分の倫理観がズレていることを自覚しているので、ギリギリ世渡りをできるくらいには性格が終わっていないです。本編ではそこまで触れていませんが、サイコは日本で改造人間を作っていました。それに由来して人体の構造に詳しく、異世界では治癒魔術を応用して悪いことをします。外道です。

 

サイコ

※5人の中で一番世渡りが上手そうなのに外道なサイコ

 

「ジン」は暗殺者で、日本刀を使うことからコードネームが「刃(ジン)」で、異世界でもその通り名を使っています。いつか出す機会があるといいのですが、実は本名がちょっとカワイイのは内緒です。暗殺者一家で育ち、悪を斬ることだけが人生だったので、異世界でも変わらず悪を斬ることを信条としています。仲間であろうと道を踏み外せば斬り殺す気なので、仲間内の役割としてはブレーキ役ですね。ほかの4人はブレーキがぶっ壊れ気味なので、ジンがいなければそりゃあもう大変なことになると思います。生まれてこのかたほとんど和食しか食べていなかったので、異世界でひっそりと白米を恋しがるという、ちょっとカワイイ面もあります。

 

ジン

※歩く凶器と言っても過言ではないジン

 

「プロト」は地球外機械生命体です。本体は胸部に収納されている金属球。彼女の存在を語ろうとすると、説明が一番難しいキャラクターでもありますね(笑)。プロトはやれやれ系生意気少女で、人間をナチュラルに見下しています。そういう面もありつつ、楽しみを共有する仲間のことは大切に思っていて、薄情な行動はしません。地球の技術力では届かない異星の技術によって製造されていますが、何事も力で解決しようとします。

 

プロト

※脳筋気味な地球外機械生命体のプロト

 

「ツツミ」は生体兵器で、カワイイです。作中での名前の由来は、本名である「個体番号223」より「ツツミ」の語呂合わせなのですが、実は「ふじみ(不死身)」の語呂合わせでもあります。なので「ツツミ」の発音は「不死身」と同じになります。兵器としての教育を受けているため、カワイイ見た目と物静かな態度とは裏腹に、人を殺すことに躊躇がありません。そこもまたカワイイ。

 

ツツミ

※可愛いのにある意味で最も容赦のないツツミ

 

 

――この5人の中で、著者として気に入っているキャラクターは誰ですか。

 

圧倒的にサイコですね。サイコがいると話が面白いように転がっていくので。頭の回転が速いので司会進行役にもなれるし、ふざけるのが好きなのでコメディパートもいけるし、性格が終わっているので痛い目を見ても心が痛まないし。それに加えて、口の悪いセリフを考えるのも楽しいんですよね。サイコが発する言葉は、おそらく洋画の影響を受けています。気取っていたり、大げさだったり、皮肉の効いたユーモアだったり。そういうことからも、サイコはB級映画が好きという設定がついています。とにかく万能な存在で、サイコが『ホムセカ』のテンポを作っていると言っても過言ではないと思います。

 

 

――そしてイラストも豪華布陣となりました。キャラクターデザインなどはMika Pikazo先生、背景画はmocha先生が担当されています。

 

お二人とも素晴らしい技量を持ったイラストレーターですよね。自分はよくイラスト投稿サイト「Pixiv」を覗いているので、何度もお二人のイラストに目を奪われていました。そのお二人が『ホムセカ』を担当してくださると知って、本当に驚きました。Mika Pikazo先生のイラストはポップかつキュートで、目が覚めるような色使いが特徴的ですよね。強烈な印象のイラストを描かれる方なので、個性の強い『ホムセカ』のキャラクターを担当してくださって本当に嬉しかったです。

 

我が焔炎にひれ伏せ世界

※どのキャラクターも様々な表情(狂気)を見せてくれる!

 

mocha先生のイラストは、現実でありそうな風景でいて、幻想的な雰囲気も持っているのが特徴だと思っています。特に、空や空気感の描写が素晴らしいんですよ。イラストを見ただけで、その場の澄んだ空気を吸っているような気持ちになります。お二人とも違う分野のイラストレーターですが、一目見ただけで圧倒する技量を持っているので、自分もいつかはお二人と同じ域に到達したいと思っております。

 

我が焔炎にひれ伏せ世界

※背景のイラストも見どころ満載!

 

 

――あらためて著者として本作の見どころ、注目してほしい点を教えてください。

 

『ホムセカ』のキャラクターは奇抜ですが、本筋は王道ファンタジーです。なので、幅広い層に楽しんでもらえるかなぁと思っています。ストーリー自体は多くの方が慣れ親しんだものに近いと思いますし、安心感を求めつつ、刺激的なものも欲しいなぁという方にはぴったりじゃないでしょうか。また、「カクヨム」掲載時には女性読者さんからも多くの感想をもらえていたので、「男性向け」というくくりでもない気がします。第1巻は物語のはじまりです。今後は異世界の厳しさや醜さに、この5人がどう立ち向かっていくのかを描いていくつもりです。5人のキャラクターそれぞれがどのような思いで行動しているのかを、ホムラ以外が抱える過去や胸に秘めた思いも交えながら描くので、より一層物語に深みが出てくると思います。あくまでコミカルな雰囲気は忘れないまま話は進んでいくので、鬱展開とか湿っぽい展開がずっと続くことはないと思います。そこは安心してください!

 

 

――今後の野望や目標があれば教えてください。

 

僕はもともとホラー作家志望だったので、ホラーないしサスペンスのジャンルでも書籍化をしたいですね。ライトノベルだけにとどまらず、もっと幅広く読者を楽しませられる作家になりたいんです。現在「カクヨム」で公開しているホラー長編には、とある小説アプリに掲載しないかと打診を受けたりもしています。でも、今は『ホムセカ』で忙しいし、なによりその作品はカクヨムのコンテストで一度落選しており、改稿するにしてもかなりの時間がかかるだろうという判断で、お誘いを受けるのはやめました。自分はびっくりするくらい遅筆なので、器用なことはできないなと(笑)。とにかく、これといった分野にとどまることなく、様々な分野で作家としての道を拓きたいんです。そのためにもまず『ホムセカ』で全力投球をして、ラノベ分野の最前線で活躍したいなぁと思っております。よろしくお願いします!

 

 

――本日はありがとうございました。

 

 

<了>

 

 

異世界ファンタジーという王道なストーリーの中で、個性の豊か過ぎる5人の少女たちの物語を綴ったすめらぎひよこ先生にお話をうかがいました。12年ぶりのスニーカー大賞「大賞」という大きな期待、その期待をさらに超えてくる新たな異世界コメディです。決して優しい世界ではない異世界で、出自も育ちもすべてが違う5人の少女たちが、どう生き抜いていくのか目が離せない『我が焔炎にひれ伏せ世界』は必読です!

 

<取材・構成:ラノベニュースオンライン編集長・鈴木>

 

©すめらぎひよこ/KADOKAWA スニーカー文庫刊 イラスト:Mika Pikazomocha

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[関連サイト]

『我が焔炎にひれ伏せ世界』公式サイト

『我が焔炎にひれ伏せ世界』公式Twitter

スニーカー文庫公式サイト

 

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我が焔炎にひれ伏せ世界 ep.1 魔王城、燃やしてみた (角川スニーカー文庫)

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