独占インタビュー「ラノベの素」 『神は遊戯に飢えている。』声優・島﨑信長さん(フェイ役)

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2024年の放送を予定しているMF文庫J発のアニメ『神は遊戯に飢えている。』より、フェイ役を務める声優の島﨑信長さんです。本作で演じるフェイもゲーム好きという、キャラクターとの共通点も多い島﨑信長さんに、アニメ放送に向けて作品やキャラクターに対する見どころ、その意気込みなどを語っていただきました。ゲーム好きの島﨑信長さんならではの視点や、キャラクターに対する考え方など、声優としての貴重なお話も盛りだくさんです。

 

 

神は遊戯に飢えている。 ティザービジュアル

 

 

【イントロダクション】

人類VS神々 至高のファンタジー頭脳戦! 暇を持て余した神々が作った、頭脳ゲーム「神々の遊び」。神々から神呪(アライズ)を授かった人間は使徒と呼ばれ、「神々の遊び」に10勝した者は莫大な祝福を得られる。しかし、完全攻略者は――未だゼロ。なぜなら神様は気まぐれで、理不尽で、たまに理解不能だから。永き眠りから目を覚ましたばかりの元・神様の少女・レーシェは開口一番にこう宣言した。「この時代で一番遊戯(ゲーム)の上手い人間を連れてきて!」 そして指名されたのは、ゲームをこよなく愛す少年・フェイ。彼は無敗のまま3勝を積み上げ「近年最高のルーキー」と期待されていた。フェイはレーシェと共に「神々の遊び」に挑むことに。完全攻略を目指すフェイとレーシェの、神々との究極頭脳戦の幕が今、上がる——!

 

 

――本日はよろしくお願いします。まずは原作を読んだ際の率直な感想からお聞かせいただけますでしょうか。

 

本当にフェイもレーシェも、とにかくゲームが大好きな子たちなんですよ。僕もゲームが好きなので、共感するところはとても多いです。この作品はどちらかというと、コンピューターゲームではなくアナログゲームに近いところも多くて、ルールがその場で開示され、ゲームの内容を考えながら神と対決する。ゲーム好きとしてはすごく入り込みやすい作品だなって感じました。

 

神は遊戯に飢えている。

 

 

――本作ですが、ゲームの見せ方としてeスポーツの要素も盛り込んでいると著者の細音啓先生はおっしゃられていました。

 

作品への落とし込みはすごく上手だなって思いましたね。この作品の世界観って、人類がかなり大変な状況にあって、神とのゲームに勝つことが結果として人類の生存圏の拡大であったり、未来に繋がるというところに落とし込まれています。だから神とのゲームに挑むプレイヤーたちは、人類を背負ってゲームをするプレイヤーでもあるので、国を背負ったスポーツ選手と一緒なんですよ。すごいですよね。

 

細音啓先生インタビュー:おっしゃる通りでeスポーツ的な観点はすごく意識しました

 

 

――島﨑さんはゲーム好きでも有名ですが、eスポーツを観戦したりもされているんですか。

 

僕はeスポーツっていう言葉が流行る前から普通に見ていました。それこそ『ぷよぷよ』であったり、『スマブラ』も見ていましたし、もちろん格ゲーもよく見ていました。のめり込むほどに見ていたわけではないですけど、僕としてはeスポーツと呼ばれるようになったからたくさん見るようになったとかはなくて、興味があるものを昔から見ているって感じです。eスポーツっていう言葉がメジャーになったことで、実際に参加されている業界のプレイヤーのみなさんは、大会の規模が大きくなったり有名になったり、環境としてはそっち側が大きく変わったんじゃないかなと思います。

 

 

――島﨑さんから見て、プロゲーマーのゲームプレイの面白さや楽しむためのポイントはどんなところにあると思っていますか。

 

これはeスポーツに限らず、お芝居もそうですし、ワインや料理もそうなんですけど、見識の有無によって楽しみ方は様々だと思っています。自分自身に経験や審美眼があってこそわかるすごさと、まったくなくてもわかるすごさと、いろんな面白さがプロの世界にはあると思うんです。それこそ極まってくると、最低限のセオリーがわかっているからこそ、セオリーとは違うことや、完璧にセオリーをこなす姿にテンションがあがることもあるわけじゃないですか。別にそういったセオリーがわからなくても、なんかすごいなって思って楽しんでもいいと思うし、素人的な楽しみ方も玄人的な楽しみ方もあると思ってます。すごくハイレベルな戦いの中では、ほぼミスをしない人たちが戦っていて、ひとつのミスが視聴者としてはドラマにもなったりして面白くもある。もちろん本人たちの人柄やしゃべりを見ている人もいると思うし、個々の技量じゃなくてチームの連携を見ている人もいると思います。それらを全部ひっくるめて、それぞれの楽しみ方を見つけて、気楽に楽しんだらいいんじゃないかなと思います。

 

 

――ありがとうございます。それでは続いて、ご自身の演じるフェイの印象について教えてください。

 

最初の繰り返しになるんですが、世界や人類を背負っていてなお、フェイはゲームをすごく楽しんでいるんです。それがもう彼の一番のポイントだなって思いますね。楽しむって言っても、フェイは適当にやっているわけじゃなくて、ゲームに対して準備や努力をきちんとした上で、本気で楽しむんですよ。常に自然体で、ゲーム好きだからこその負けず嫌いな性格や勝利への貪欲さもあって、ゲームに対して一切ブレません。だからこそ好感が持てるなって思います。そんなゲーム至上主義にも思えるフェイ君が、過去にお世話になった人にレーシェの姿が重なって見えたりと、ちょっとしたドラマも垣間見せてくれる。ゲーム第一の人だからこそ、そういった部分が余計に気になるんですよね(笑)。あとは他人への押し付けがない人だなとも感じます。みんなに対してもゲームを楽しもうよとは思うけど、なんで楽しまないのかと詰め寄ったりすることもなくて、自分は自分で思いっきり楽しもうって人だから、どこか今時の少年っぽさもあると思っています。でも熱いところや泥臭いところ、身内やチームの仲間には強い想いを持っている。ゲームにはだいぶ偏っていますけど、バランスのいい人だなって思います。

 

神は遊戯PV03

 

 

――せっかくなのでお聞きしたいのですが、島﨑さんは『デート・ア・ライブ』の五河士道や『されど罪人は竜と踊る』のガユス、『ソードアート・オンライン』のユージオといった主役級のキャラクターを演じてこられていると思うのですが、これまで演じてこられたキャラクターと、今作のフェイとで何か感じる違いなどはあったりされますか。

 

この質問はこの作品に限らず結構聞かれることはあるんですけど、全員違うんですよ。キャラクターっていう記号でみると、それぞれのフックがあって、違いっていうのはあるかもしれないんですけど、リアルな人間を考えた時、それがたとえ双子でまったく同じ環境で育ってきたとしても、突き詰めれば全然違うわけじゃないですか。僕たちの住んでいる世界とは違う世界かもしれないですけど、そこに生きている一人の人間として捉えているから、これまで関わらせてもらってきた役を似ていると思ったことはないし、逆に似てないなって思うこともないというか。現実でも少し会って話をして、雰囲気が〇〇さんに似ているなって思うことはあっても、ちゃんと話をして付き合っていくと、やっぱり全然違う人だなってなるわけです。僕は演じる役とちゃんと付き合って、こういう人なんだなっていう関わり方をしているので、そういうのは本当にないんですよね(笑)。みんな違う人間だからという捉え方を僕はしています。

 

神は遊戯に飢えている。

 

 

――すごく貴重なお話でした。それでは質問の方向性を少し変えさせていただいて、フェイを演じる上で意識されていることや感じることについて教えていただいてもよろしいでしょうか。

 

そうですね……気を付けている点としては、フェイ君は天才なんですよ。すごく頭が良くて、ほとんどの言動に意味があるんです。他の作品でもそうなのですがフェイ君は特に言動を感情だけでなく理屈でも埋めていくんです。それっぽい台詞を言った時に、どうしてそう言ったのだろうとか、なんでその考えに至ったのかとか、説明されてないこともあるんです。でも、どんな推理をしてその回答に辿り着いて、なんでわざわざそう言ったのだろうとか、どんな狙いがあったのだろうとか、僕の中で全部理屈を通していかないと演じられなくなっちゃう。なので、フェイ君の天才の思考にちゃんとついていくのは大変だなとは思いますね。それを今回はゲームに落とし込む大変さもあって、それも全部細かく埋めていくわけですよ。本当にフェイ君は、ほとんど意味のない言動をしない子だから、他のプレイヤーに敢えて言う情報やその言い方だとか、彼の中では計算されているわけです。そういった大変さはありますね。

 

 

――言動ひとつ取っても細かく理屈立てて演じられているとのことですが、答え合わせと言いますか、そういったお話をどなたかとされることはあるんでしょうか。

 

難しいですよね。アニメってなかなかに分業なので、脚本を書いている方と監督も別人なわけじゃないですか。でも原作の細音先生が、本当にありがたいことに収録へと頻繁に足を運んでくださっていて、割と先生に相談させていただいていますね。先生じゃないとわからないこともあるわけじゃないですか。なので、そういったお話をさせていただけているのは、ありがたいなって思います。

 

 

――現在アフレコが進んでいるかと思いますが、現場での印象的なエピソードがあれば教えてください。

 

収録のお話ではなくて、細音先生のお話になっちゃうんですけど、毎回すごく腰が低くてびっくりしてます(笑)。1話の収録から足を運んでいただいているんですけど、とにかく腰が低くて、お土産もすごく丁寧に用意してくださるし、アフレコを見ていて「すごくよかった」と感謝の気持ちを伝えてくださるしで、素晴らしい人間性だなって思わされました。でも腰が低いだけではなくて、ちゃんと芯も持たれていて、アフレコでも内容の相談をかなりされていらっしゃる印象です。原作では地の文などで説明できていることも、アニメではどう表現をするのかといった相談の時も、フェイのように考え方が柔軟と言いますか、「アニメはアニメで流れも違うし、必ずしも原作通りじゃなくて、こう振り切った方が1本のアニメとしての完成度があがるからそっちでいきましょう」みたいなお話もされているんですよ。とにかく好感しかないですね(笑)。

 

神は遊戯に飢えている。

 

 

――役について細音先生に相談されているというお話もありましたが、作品以外の事で何かお話はされましたか。

 

話している時間がそれほど多いわけではないので、基本的にはほとんど作品の相談に全振りしています。あとは帰り際にすごく丁寧な挨拶をしてくださるので、よし頑張ろうって僕もあらためて思いますね(笑)。僕は作品と関わっていくと作品にも役にも愛着が湧くので、少しでもいい形にしたいって思いながらやっています。もともと原作のためにっていう気持ちはすごくあるんですけど、あれだけ先生の気持ちを伝えてもらえると、先生のためにもさらに良くしたいっていう気持ちも強くなって、僕らのモチベーションにも繋がったりしているなって思います。基本的に先生とは大事な話をしている記憶が強すぎて、それ以外の内容を思い出せないです(笑)。

 

 

――ありがとうございます。それではフェイの相棒となる元神・レーシェについての印象についてもお聞かせください。

 

レーシェはフェイと同じくらい頭が良いので、ツーカーで話してて気持ちいいなと思います。お互いに1を言えば10を理解するので、頼んだって一言いえば、なんのことを言っているのかわかっちゃう感じが楽しいですね。なによりレーシェはゲームに飢えている神様だから、すごくゲームが大好き。本当にフェイと似ているし、温度感も能力も近い。身体能力のスペックはレーシェの方が圧倒的なんですけど、そりゃいいバディになるよなって感じはしますよね。ゲーム以外でのレーシェは大人だったりするし、視点も少し人とは違うんですけど、フェイもフェイでどこか冷静なところというか、別の視点も持っているので、本当に相性のいい二人だなって思います。

 

神は遊戯PV06

 

 

――なるほど。それではレーシェ以外で注目しているキャラクターはいらっしゃいますか。

 

これはもう、圧倒的にパールですね。アフレコでもたくさん一緒に録っているっていうのもあるんですけど、フェイもレーシェも、二人とも完成度が高めなんですよ。そんな二人の化学反応や関係性の変化に対する面白さはあるんですけど、アニメの範囲内での成長で言うと、そこまでではないんです。だからこそ、パールちゃんは成長の要素がすごく大きくて、もう一人の主役と言ってもいいくらいだと思っています。その姿が、島﨑信長として見てても、フェイの視点で見てても、どこか親心すら芽生えてしまう(笑)。恐らくですけど、パールちゃんが一番共感できるっていう人は多かったりするんじゃないかなと思いますし、少しずつパールちゃんの視点になっていく人も出てくるんじゃないかなと思います。

 

神は遊戯に飢えている。

 

 

――実際、パールは原作でも人気の高いキャラクターですからね。

 

なんというか、フェイとレーシェは頭が良すぎるんです。完成度が高すぎて、二人の思考にどこまでついていけるのかっていうところもある。僕は台本や原作を読んで、ゆっくりと考えているからフェイ君の思考スピードについていけているけど、アニメでスピード感を持って見ていく中でついていけるかっていうと、それは別の話だとも思っています。でもパールちゃんは全部わかるんですよ。思考がちゃんと追えるんです。なんでそうしているのかとか、今何を思っているのかなとか、わからないことがあればすぐに聞いてくれるしで(笑)。物語のドラマ的にもすごく大事な子だし、なによりも成長が本当に見えるんで、僕的にぐっと来た回もありました。あのパールちゃんがこんなにも変わったのかとか、心強いなってどんどん思わされるようになる。そのあたりはみなさんにも面白く見てもらえるんじゃないかなって思います。キャラクターを単体で見た時に、一番面白いのはパールかもしれません。

 

 

――パールはある意味で、一番読者や視聴者に近い存在になるかもしれませんね。

 

それはあると思います。原作では地の文においてフェイの思考が開示されているので、意識はすごくフェイに向かいますよね。でもアニメでは地の文の説明もすべてできるわけではないので、パッと見で意味や狙いまで理解できないところもあるわけです。でもパールちゃんは思考が丸見えなのでずっとわかるんですよ。アフレコの時も、華やかさが増えるしで、いてくれて助かるなって思っています。フェイとレーシェの言葉少ななツーカーの部分は癖になってはくるんですけど、原作からではなくアニメからこの作品に入るっていう方は、パールちゃんが本当にすごく大事な存在だと思いますね。本当に成長がすごくて、心動かされる子だと思います。

 

 

――それではあらためて、アニメの見どころについても教えていただけますでしょうか。

 

アニメのいいところは、キャラクターたちに色がついて、動いて、しゃべって、音を出してっていうことを感じられることだと思うんです。いわゆる行間と呼ばれる頭の中で補完しなくちゃいけないところも、アニメでは動きや口調で全部映像として表現されます。原作ファンのみなさんに少しでも楽しんでもらえるように、アニメがめっちゃいいなって思ってもらえるように、フェイの声として全力を尽くしていきたいと思います。そして派手に描かれる女の子たちの動きにも注目してもらいたいですね。フェイ君はどちらかというと「静」のタイプなので、暴れるのはレーシェ様だし、キャイキャイするのはパールちゃんなので(笑)。あとは原作のファンであればご存じだと思うんですけど、ゲームごとに大きく変化する世界観が、より視覚的にわかりやすく伝わるんじゃないかなと思います。本で読んでいても面白い部分が、映像となることで一層メリハリがついて、面白いんじゃないかなと。とはいえ、まだ収録も途中なんですよ。完成しきっていないから、僕も絶対にこうだって言いきれないんですけど、まずは最後までフェイをまっとうして、みなさんにいいなって思ってもらえるよう頑張っていきますので、どうぞ楽しみにしていてください。

 

 

 

――ありがとうございます。では最後に一言メッセージをお願いします。

 

既にこのタイトルに興味を持ってくださっていたり、目に留まってこの記事を読んでくださっている方は、どこかゲームに興味があったり、お好きな方が多いんじゃないかなと思うんです。今はほとんどの人がスマートフォンを持っているし、手軽にゲーム機にもなっちゃうじゃないですか。昔はゲーム機を買わなきゃゲームはできなかったけど、スマートフォン自体がゲームのデバイスになっていて、誰しもがゲームの要素が入っているものを遊んでいるんじゃないかなって思うんですよね。そういう時代だからこそ、ゲームを楽しみながらしっかりとプレイしていく『神は遊戯に飢えている。』って作品が、よりみなさんの心に入ってくるんじゃないかなって思うんです。だから、いい時代にアニメ化したんじゃないかなってすごく思っています。もちろん原作の細音先生も今の時代を意識して、それも取り入れて書かれているからこそだと思うんですけど、ちょっとでもゲームに興味があって、心当たりのある方は、まず1話だけでもご覧いただけたらなと思います。そこからアニメを見ていただいて興味を持っていただいた方は、アニメを最後まで見ていただきたいなと思いますし、原作や漫画も読んでいただくと、アニメでは説明を敢えてしていなかった部分や、ちょっとした違いもあって、より理解度が深まっていくと思います。そうするとまたアニメを見た時により面白くなったりと、いい循環がありますので、この『神は遊戯に飢えている。』ワールドを、あますところなく全部見ていただけたら本当に嬉しいなと思います。

 

神は遊戯に飢えている。

 

 

――本日はありがとうございました。

 

 

<了>

 

 

アニメ『神は遊戯に飢えている。』より、フェイ役の島﨑信長さんにお話をうかがいました。アニメの放送は少し先となりますが、シリーズの最新刊が発売され、ますます盛り上がりをみせていく本作。島﨑信長さんの語った魅力や見どころを、ぜひ原作小説やコミックスで触れてみてください。アニメ『神は遊戯に飢えている。』は2024年放送予定です。

 

<取材・文:ラノベニュースオンライン編集長・鈴木>

 

©2024 細音啓,智瀬といろ/KADOKAWA/神飢え製作委員会

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[関連サイト]

アニメ『神は遊戯に飢えている。』公式サイト

『神は遊戯に飢えている。』公式Twitter

『神は遊戯に飢えている。』原作特設サイト

細音啓プロジェクト公式Twitter

MF文庫J公式サイト

 

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神は遊戯に飢えている。7 (MF文庫J)
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