【レポート&インタビュー】新たな物語投稿サイト「Tales」エディター体験会の模様をお届け 加藤氏&萩原氏に聞いた「Tales」と「物語」の未来

2025年3月8日(土)に東京・四ツ谷にあるnote placeにて、関係者向けに行われた「物語投稿サイト先行体験会」の模様をお届けする。本イベントはnote株式会社とTales & Co.株式会社がリリースする新たな物語投稿サイト「Tales」のお披露目の場として開催。Tales & Co.株式会社の登録クリエイターやnoteのクリエイター、そしてメディア関係者を招き、β版となる投稿サイトのエディター機能を触れることができる場として設けられた。本記事ではその模様をお伝えすると共に、新たな物語投稿サイトの仕掛け人でもあるnote株式会社代表取締役CEOの加藤貞顕氏、Tales & Co.株式会社代表取締役社長の萩原猛氏のお二人にお話をうかがっている。noteという「書く」プラットフォームを持ちながら、投稿サイトを新設する狙いについてはもちろん、今後の展望についてなど、多くのWEB小説作家が気になるであろうことを様々に聞いてきた。

 

 

Tales

 

 

体験会は午前の部と午後の部の2回行われ、午後の部では30名を超えるクリエイターが来場。物語投稿サイト「Tales」の編集長を務める萩原猛氏からは、「Tales」がどのようなサイトになるのか説明が行われた。同サイトは多様なジャンルと多様な形態の出口がある場所を目指すとし、漫画、アニメ、小説、ショートドラマ、ゲームシナリオなど幅広く物語を募集していくという。noteよりも物語投稿に特化したサイトになるとし、読者に向けてはリコメンド機能の充実化を図っていくと宣言した。

 

Tales

 

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※物語投稿サイト「Tales」編集長・萩原氏

 

 

そしてβ版という形で体験会もスタート。実際の執筆から投稿まで、一連のエディター機能の使用感を多くのクリエイターが体験した。体験は一人あたり10~15分ほど行われ、体験後はサイトの開発責任者やデザイン責任者と、ブースで1対1のフィードバックの時間も設けられていた。実際に触れたクリエイターから、良かった点や悪かった点、今後の機能への要望など様々な会話がなされていたようだ。筆者もエディターに触れてみたのだが、特筆すべき点としては、他エディターからのルビや傍点の互換性がかなり高めでありそうなこと、そして10秒ごとに作動する文章の自動保存機能などは、書き手にとって大いにプラスになるのではと感じた。

 

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実際に体験したクリエイターの方にお話を聞いてみたところ、「各投稿サイトの執筆フォームのいいとこ取り」や「後発だけあってスタートとしては良い印象を受けた」など、概ね好感触。一方で読み手のことを見据えた展望について触れるクリエイターも多く、「ランキング周りを早く見てみたい」や「読者にどれだけ見やすいサイトになるのか、その点がこれから見えてくるんだろうなと思う」といった声があったほか、「noteにある投げ銭機能などを流用してほしい」といったお話をうかがうことができた。会場のあちこちでは、参加クリエイター同士で話をしたり、サイトの関係者と話をしたりと、コミュニケーションの場としても盛り上がりを見せた体験会となった。

 

 

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そして以下からは、note株式会社代表取締役CEOの加藤貞顕氏、Tales & Co.株式会社代表取締役社長の萩原猛氏へのインタビューとなる。2025年現在、日本の小説投稿サイト市場は、国内はもちろん、国外からも様々な小説投稿サイトが展開される、まさに群雄割拠の時代を迎えている。新たな物語投稿サイトを立ち上げた狙い、目指すもの、そして他の投稿サイトとの差別化についてなど、WEB小説作家必見の内容となっているので、ぜひ一読してもらいたい。

 

 

――まずは物語投稿サイト「Tales」制作の経緯について教えていただけますでしょうか。既に「note」という書ける場所があり、毎年開催されている創作大賞も大きな成功を収めていると思います。なぜ「もうひとつの書く場所」になる投稿サイトを立ち上げようと考えたのでしょうか。

 

加藤:noteとしての文脈もあるので、まずは僕から。ご存じの通り、noteではいろんな投稿をしてくださっている人がたくさんいて、多くのコンテストをやっています。創作大賞も去年の第3回では52,000を超える作品が集まり、21メディアが参加してくださる日本で最大級のコンテストになりました。萩原さんとは第2回の創作大賞から、そしてnoteの企画面などで一緒にお仕事をしています。我々はこれからも多くのクリエイターさんに集まっていただいて、様々なメディアの出口を作っていくことをやっていきたいと思っているわけですが、とりわけ小説や物語のエリアは、メディアさんからの要望が多い部分でもありました。この部分をより強化したいと思ったのが経緯のひとつ。そして、昨年にTales & Co.という子会社を立ち上げました。noteでは各メディアさんに人気のクリエイターやコンテンツを紹介し、そこから本になったりという流れはあったんですけど、企画や制作には一切かかわっていませんでした。そういった出版や映像、ゲームなどの企画や制作を行うTales & Co.が生まれ、投稿サイトの立ち上げという話に繋がっていきました。その狙いはより多くのクリエイターのみなさんに、様々なメディアを紹介して、機会を提供することだと考えています。

 

 

――クリエイターとメディアを繋ぐという点においては、noteでも実現できそうだと思うのですが。

 

加藤:そういう話もあるんですけど、我々はよくnoteを「創作者が住む街」だと例えているんです。投稿をきっかけにデビューするチャンスもあるけど、コンテンツを掲示する場所でもあるし、読者やクリエイター同士のコミュニケーションの場所でもある。ここでの暮らし方は、人それぞれでよい。「住む場所」なので、必ずしも「勝負だけをする場所」ではないんですよ(笑)。一方で「Tales」は、常にいろんなコンテストが行われ、常に多くのチャンスがあるような、どちらかというと競技的な場所になるのかなと思っています。「住む場所」と「勝負する場所」が明確な方が、クリエイターもメディアのみなさんもより使いやすくなるんじゃないかっていう狙いが、立ち上げにおけるもうひとつの経緯になりますね。

萩原:僕はもともと出版社のライトノベルレーベルの出身で、当時はずっとライトノベルを書きたい人と接してきていました。それから出版社を出たわけですけど、気付いたことがひとつあったんです。それは「みんないろいろなものを書きたいんだな」ということでした。「こういったものを書きたい、でも持って行き先がない」、そんな声がすごく聞こえてきたんです。世の中に投稿サイトはたくさんありますが、まだその需要をまかないきれていないから、そういう声が聞こえてくるんだろうという考えが出発点にあります。そんな折に、noteと創作大賞に出会い、今までと違うコンテストや作品が出てくる場所にかかわってみたいという欲が強くなったんです。noteは出版社ではないので、出口となるいろんな会社さんとお話をして、創作大賞には多くの企業が参加してくださっています。そうすると、集まった作品に多様性がめちゃめちゃあったんですよ。中にはライトノベルを書いていた方が、それまでとは全然違うものを書いてきたりする。出口が違うとみんな書くものも変わるんだなと強く思い、出口を多様化させることで、投稿される作品そのものが多様化する場所を作ってみたいと思いました。

 

 

――先ほどと同じ問いにはなるんですが、noteという場所で実現しようとは考えなかったのでしょうか。

 

萩原:おっしゃる通り、たぶんできるんですよ。でも一部だと思うんです。僕は商業出身なので、言葉を選ばずに言うと投稿サイトは「磨かれる場所」だと考えています。たくさんの作品があって、磨かれ、洗われ、そして宝石になったものが、本や映像、漫画原作として世に出て、ヒットして売れていく。noteは住む場所なので、そもそも磨かれたくない人もいるわけです。でも僕は恒常的に磨かれる場所を作りたいという思いがあり、磨かれたくない人を巻き込まないように、noteと切り離すべきだと考えました。別にnoteでできなかったわけではなく、noteもあってTalesもある。あなたの作品はnoteも含め、どの投稿サイトに掲載したいですかと選択肢を増やしたい。商業を目指したいのであれば、「小説家になろう」でも「カクヨム」でも「エブリスタ」でも、いろんな投稿サイトがある中で、そういった場所とは違う出口を我々が提供できれば、より多くの人にチャンスが広がるんじゃないかと考えました。出版社を出たことで、それまで拾いきれていなかった声をたくさん拾ったことで、そういう場所を作りたくなった。それがきっかけであり経緯になります。

加藤:現在Tales & Co.では、BtoBでコンテンツを作ってるんですね。いろんなメディアさんから依頼を受けて、登録してくださっているクリエイターさんから企画や作品の公募を行っています。その出口が既に様々で、本もゲームも映像もやっています。内々ではいろんなチャレンジができる場所になっている。なので、必然的にTalesでも様々なコンテストをやると思います。幅広い出口、恒常的に切磋琢磨が行われる場所を目指していて、出版というエリアだけではない選択肢を提供できると思っています。

 

 

――ありがとうございます。続いて、これは特に萩原さんにお聞きしたいのですが、小説投稿サイトは萩原さんがカクヨムを立ち上げた頃と比べ、その立ち位置や認知の在り様は大きく変化し、より一般化したと思います。萩原さんも当時との違いは強く感じていらっしゃると思うのですが、だからこそ「Tales」の編集長として、どのような戦略を持たれているのか、非常に興味があります。

 

萩原:おっしゃる通り2016年と比べ、投稿サイトを取り巻く環境は大きく変化したなと思います。ひとつはライトノベル以外のジャンルにも広がったことでしょうか。ミステリーやホラーにも恒常的に作品が供給されるようなりました。たとえば『近畿地方のある場所にて』もそうですし、第19回本屋大賞を受賞した『同志少女よ、敵を撃て』などもそうです。もっと言えばライトノベル全体の越境だと思っています。

 

 

――越境と言いますと?

 

萩原:これは僕の考え方なんですけど、ライトノベルは、ライトノベルってジャンルではなく、売り方だと思っているんです。ライトノベルの中には様々なジャンルが存在していると思うんですけど、そこで書いていた人たちが、ライトノベルという枠を超えて広がっていった。これは投稿サイトでも一緒で、投稿サイトも様々な場所に越境しました。そのうちWEB小説出身の直木賞作家も出るでしょう。そしてそもそも、物語を取り巻く構造全体が変化しましたよね。以前は出版社の新人賞が発信源でしたが、投稿サイトというもっと広く開かれた場所が、出版社の手前に存在するようになりました。これはすごく大きい変化だと思っていて、これまでは出版社の人たちが良いと思って新人賞に選ばれていたものが、その手前に選ばれる場所が現れ、磨かれる場所となっていきました。それこそ新人賞の民主化のような印象を受けていて、ここ10年で大きく変化したことのひとつだと思います。漫画の状況もこの10年で大きく変化しました。紙からアプリをはじめとしたWEBで読むことが当たり前になったわけです。映像もテレビからスマートフォンに移行していますし、メディアもどんどん変化していて、元に戻るようなことはないでしょう。このサイトを小説ではなく物語投稿サイトと銘打ったのも、作家さんの手元にある原稿は大きく変わらず、どこに出すかが変わっていくのだろうと考えたからです。それを僕たちは物語と呼んでいて、その物語がどう広がっていくかは、時代にあわせて柔軟に変化していくと思います。世の中の変化にあわせた柔軟な対応ができるサイトにしていくことも、戦略のひとつではありますね。

加藤:もう少し大枠の話をすると、米津玄師さんってニコニコの出身じゃないですか。そういった方が現在のメジャーシーンのど真ん中にいるわけです。当然ではあるんですけど、プレイヤーもどんどん変わってきて、それは音楽家が活躍する場所、若者が出てこられる場所だったからそうなったと思うんです。作家さんもかつてとは生まれ方が変わってきています。漫画もネットから有名になる人が出てきているし、小説もWEBから直木賞や芥川賞がこの先、出ないはずがない。その出所が我々の場所からだったらいいなとは思いますが(笑)。オーセンティックな文脈の中に躍り出ることも、今起こりつつある。もちろんそれだけではない、異なる流れも今後作っていけるんじゃないかなと思っています。

 

 

――ありがとうございます。出口戦略以外において、他の投稿サイトと差別化できている要素などがあれば教えてください。

 

萩原:noteとのアカウント連携や、作家さんへのインセンティブの付与などは考えています。とはいえ、このあたりは差別化というよりも、他でもやっていることをやっているに近いものだと思います。差別化という意味においては、ハード面とソフト面とで1個ずつあると考えています。ソフト面は先ほどから触れている、コンテストまわりですね。創作大賞2025のエンタメ原作部門への先行応募もスタートしていますが、まずは一番大きなコンテストで作品を集めていきたいと思っています。エディターの公開とあわせてコンテストを行うというのは、他の投稿サイトでもよくあることですが、並んでいるメディアさんの顔ぶれがまったく違います。出口が違うから投稿されるものも違う、これはひとつの差別化ですよね。ハード面ではトップページのランキングの上にリコメンド機能を実装します。「ちょっと違うな」って離脱した時、面白くて夢中でどんどん読んだ時、そういった読書経験を反映するようになっています。多様な出口があることで、逆に言うと作品が多様過ぎて混沌としてしまう可能性もあるわけです。バラバラで何を読んでいいかわからなくなるところを、あなたの読書経験というパーソナルな部分で一本筋を立て、読めば読むほど自分好みのトップページになり、オススメが表示されるようになります。ランキング以上にリコメンドを前面に押し出すという思想が強く出ていくかなと。ランキングは、自分がこれまで読んでこなかったものを読もうとした時の補助線に近いものだと思っています。どれを読んでいいのか、よくわからないわけじゃないですか。本屋さんでもそういう場合は、だいたいベストセラーから買うと思うんです。その思想と一緒で、ランキングはある意味各ジャンルにおけるベストセラーを見せる意味でも必要です。この二つの共存が大事だと思っています。

加藤:少し補足させていただくと、コンテストまわりについては、我々が出版社ではないことが、逆にいろんなメディアさんと組める強みだと思っています。また、機能面では使い勝手の良さを追求したいと思っています。Talesは、noteの開発チームが作っています。ありがたいことにnoteのエディターは使いやすいと評判がいい。その辺りのノウハウを活かして作るのがTalesです。既存のサービスの使い勝手に慣れている方も多いと思います。私たちは後発で参入するからこそ、純粋に製品として見た時に、一番いいものを目指していきたいです。

 

 

――挙げていただいた後発ゆえの力の入れどころや、差別化は魅力のひとつになるかもしれませんね。その一方で大きな課題もあると考えています。小説投稿サイトは後発になればなるほど、書き手はもちろん、読み手がサイトを訪問してくれない。今も多くの投稿サイトが頭を悩ませています。新しいサイトで書く、そして読む。投稿サイトとして長く続けていくためのロードマップなどもお聞きしたいです。

 

萩原:続いているサイトの特徴は、書籍化やメディア展開など形になった成果が継続しているかどうかでしかないと僕は思っています。読者はそこに面白い作品があれば、それが読めるから集まります。なので結局、面白い作品をどう集めるのかを考えるしかありません。投稿サイトの立ち上げ当初は、読者がなかなか集まらないのが一般的です。しかし、そこから書籍が生まれ、アニメ化した作品が出てくると状況が変わります。そこにチャンスがあると思えば、読者が少ない状況でも、投稿していただける。そしてそういった面白い作品を読みに来た人たちを逃さない仕組みを、リコメンド機能を含めて作っていきます。なので、読者に来てもらうという仕組みは、面白い作品があるという一点でしかありません。我々は来た人が居続けてくれる仕組みに力を入れていきます。先行でスタートしたコンテストの後も、同規模のコンテストや、大なり小なりイベントをやっていく。Talesに作品を投稿することで、自分の作品が何かしらのお祭りに参加でき、何かのチャンスに挑戦し続けることができる環境を、どんどん仕掛けていきます。それが我々の運営における肝だと考えています。

 

 

――常にチャンスがあるという環境は、書き手にとっては大きな魅力になるでしょうし、面白い作品がより集まるきっかけになりそうですね。

 

萩原:僕は静かなサイトは消えていくと思っているんです。毎日何もなくて、トップページも変わらず、みんな投稿はしているけど、話数の数字だけが積み上がってくだけ。こういったサイトは見ている側も書いている側も面白味を感じづらいと思いますし、どんどんマンネリ化していくんじゃないかなと。だからこそ、月1回や月2回でも、お祭りが行われている場所を作っていく。人気の投稿サイトは、恒常的に本が出続けていて、それがみんなの投稿に対するモチベーションだと思うんですよ。だから作品がたくさんあるし、読者も集まってくれる。このサイクルを維持し続けることが大事だと思っています。創作大賞以降の取り組みも既に進めていますし、現在のコンテストが落ち着いたら、順繰りにお披露目していけると思います。

加藤:我々としては、数字を追い求めるというよりも、クリエイターのみなさんに機会を提供し続けることが大切だと思っています。コンテストは常時いくつもやっている状態があるべき姿だと思っていますし、常にチャンスがあるからこそ、みなさんが足を運んでくれる理由になる。クリエイターさんが書き続けてくれれば、読者さんも増えていくわけで、このあたりは積み重なっていくものなのかなと。もちろん最初は大変な覚悟なんですけども、むしろクリエイターさんにはチャンスゾーンだと思ってもらえるくらい、たくさんコンテストを用意して、やっていけたらと思いますね。

 

 

――ありがとうございます。創作大賞の一部門への先行応募はスタートしましたが、それ以降の「Tales」の予定について可能な範囲で教えてください。

 

萩原:まず、サイトの正式オープンが4月に控えています。先行で創作大賞2025のエンタメ原作部門のエントリーを行っていますが、正式オープン後、新しく応募できる部門が、ごそっと追加されます。

加藤:「創作大賞2025」はnoteとTales & Co.の共催で、4月から本格的に動き出します。その部門の応募がTalesでも走るわけです。

萩原:具体的に言うと、Talesと相性のいいジャンル、つまり小説ジャンルの募集ですね。これにもたくさんの編集部さんが参加してくださいます。昨年創作大賞に参加していない編集部も参加していますし、新しいサイトだから参加すると言ってくださった編集部もあります。ここで注目度はもう一段高まるのかなと。そして気の早い話ではありますが、創作大賞が終わった後か、終盤頃か、既に何社かのメディアさんから単独のコンテストをやりたいというオファーもいただいています。ずっとコンテストが続くと疲れちゃうかもしれないので、ちょっとお遊び的な企画も考えていますが、1年間お祭りが続くロードマップは引いています。

加藤:創作大賞関連での広がりはもちろん、サイトの性格としてコンテストが常に行われるサイトにしていきます。月例賞だってあると思うし、メディアごとのコンテストもありますし、Tales & Co.で登録クリエイター向けにやっている勉強会やワークショップもTalesで広げていきたいですよね。

萩原:勉強会やワークショップでは、漫画原作の書き方を深見誠さんに話してもらったり、ゲームシナリオの書き方を下村健さん、牧野圭祐さんにお話いただいたり、様々なことをやっています。少し違う角度からだと、フリーランス新法や確定申告の勉強会も内々でやってきました。Talesを利用してくれるクリエイターさん向けにも広げていきたいです。

加藤:まだ構想段階ですけど、コンテストとワークショップをくっつけてやるケースがこの先増えてくるんじゃないかなと思っていますね。たとえば漫画原作コンテストをやる時に、その編集部の責任者の方に来てもらう。そこでどういう作品を求めているのか、どのように原作者さんと付き合おうと考えているのか、そういうことも知りたいじゃないですか。座組み自体も難しいわけじゃないですし。

萩原:この手のイベントは、noteではかなりやられているんですよね。逆に言うと、note以外はほとんどやっていない。そういったnoteの文化をTalesにも可能な限り輸入して、ひとつでも自分が面白い作品を書くための糧にできるようなことをどんどんやっていきたいです。

加藤:我々ほど、ここまで幅広いメディアと付き合っている場所って、他にないと思うんです。既にお付き合いもいっぱいありますし、それをうまく活かしていく。主催者側も新しいクリエイターさんと出会って、新しいものを作りたいわけだから、たくさんできるんじゃないかなと思いますね。

萩原:そもそも創作大賞に参加してくださっているメディアさんの動機でよく聞くのが、「自分たちのコンテストでは出会えない人と出会いたい」なんですよ。なので、いろんなメディアさんにTalesが自分たちのもうひとつの投稿サイトだと思ってもらえるようになることが、いいんだろうなって感じます。選択肢をすべてのメディア、編集部に広げていくことは、出版社じゃない僕らだからできることでもある。作家さんにも多様な機会の提供に繋がるので、双方にとってのWinだと思います。

 

 

――それでは「Tales」に興味を持った書き手の方へメッセージをお願いします。

 

加藤:noteが作るサービスなので、使い勝手はみなさんが自然に使えるものを目指しています。そしてこれまでのいろんなお付き合いを活かし、たくさんの機会を作っていきますので、気軽に参加いただければなと思います。今後、かなり幅広くいろんなジャンルのものをやると思います。あなたにも必ず合うものがあるんじゃないかなと。そこに参加いただければと思います。

萩原:創作、そして物語を作っている方々は今後も増えると思うんですけど、その数に比べて日の当たる数がまだまだ少ないと僕は思っています。今回、Talesを新しく作ったことで、日の当たる森を開墾しました。ここには新しい日が当たると思います。でも、日差しが土に当たっているだけでは何も生まれません。みなさんがここに種をまいてくれることで、この場所だから芽吹く作品が絶対に出てくると思います。それを育てていくのがこのサイト、そして私たちの仕事だと思っています。他では芽が出ない、ここならもっと芽が出るんじゃないかと思う作品を種として撒いていただいて、一緒に大樹にし、多くの人に実を届けていくことを一緒にやっていきたいと思っています。サイトはここからどんどん形を変えて、より多くの人がここで芽吹き、花咲く場所になっていくよう努力しますので、ぜひ参加していただければと思います。

 

 

――最後にこれだけお聞かせください。「Tales」の出口にはライトノベルもありますか?

 

萩原:もちろんです(笑)。今後の小説部門の参加編集部を見ていただければ、「なるほど」と思っていただけるんじゃないかなと。

加藤:一目でわかると思う(笑)。

萩原:ひとまずライトノベルの編集部さんも入ってますよということだけ(笑)。

加藤:ライトノベルも非常に有力なジャンルであり、エリアです。我々としても重要なテーマのひとつでもあるので、もちろんっていう感じですね。

萩原:加えて、僕はライトノベルをジャンルではなく、売り方のひとつだと思っているので、ライトノベルは今以上にもっと拡大していくと思っていますし、いずれライトノベルがあらゆるジャンルに普遍して広がっていくと思っています。そういう意味では、ライトノベルは今後も増えていくと思います。

 

 

――ありがとうございました。

 

 

物語投稿サイト「Tales」は2025年4月に正式オープンを予定している。一足早くエディターの先行公開、そして「創作大賞2025」エンタメ原作部門への応募受付もスタートするなど、多様な出口戦略を魅力のひとつとして動き出している。興味が湧いたWEB小説作家はぜひ「Tales」を覗いてみてはいかがだろうか。

 

 

kiji

[関連サイト]

物語投稿サイト「Tales」

物語投稿サイト「Tales」公式note

物語投稿サイト「Tales」公式SNS

 

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