独占インタビュー「ラノベの素」 珪素先生『異修羅』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2020年3月17日に電撃の新文芸より『異修羅』第2巻が発売された珪素先生です。“本物の魔王”が殺された後の世界に跋扈する、修羅と呼ばれる“最強”の存在たちが“本物の勇者”となるべく殺し合うバトル群像劇を描く本作。読者を熱狂させるこの物語に不可欠な“最強”の在り方とは、そして“最強”の名を欲しいままにするキャラクター達についてなど、様々にお話をお聞きしました。

【あらすじ】

圧倒的な力をもつ修羅達の戦闘により凄惨な破滅を迎えた新魔王戦争。しかし、世界にはまだ時代を変革しうる逸脱の存在がある。無限に再生し蘇るたび自身の死因を克服するゴーレム、超長距離から放つ矢で地形ごと壊滅させる巨人、巻き込んだ全てを微塵へと変える砂嵐……。能力や種族の頂点を極めた修羅達と、それを利用すべく謀略を巡らす者達が一点に集う時、宿命と凶兆が交差する殺界が現出する。全員が最強、全員が英雄、一人だけが勇者。“本物”を決める死闘がここにある。

――それでは自己紹介からお願いします。

珪素と申します。出身は日本で、おおよそ2年くらい前に投稿サイトで小説の投稿をはじめました。これまで新人賞に受賞したりということもなかったのですが、ありがたいことに電撃の新文芸様に拾っていただいて、昨年9月に『異修羅』を出すことになりました。これといって自慢できる趣味などもないのですが、普段はツイッターをやりながら週刊少年ジャンプを読んだり、特撮作品を見たりしています。好きなことは自炊で、特技は自炊が面倒な時に2日間くらいなら何食でも抜けることです。

――小説を書き始めたきっかけは何だったのでしょうか。

オリジナル作品を人に見せる形で書いたきっかけとしては、カクヨムが開設していろんな人達が小説投稿をされているという様子を見たことが大きかったと思います。それまでも仲間内に見せる文章を書いたりはしていたのですが、投稿サイトとは全然縁のない暮らしを送っていたので。なので、投稿サイトの存在がなければ、『異修羅』も本にはならなかったでしょうし、こういった形で物語を書くこともなかったんじゃないでしょうか。

――なるほど。執筆に際して、ご自身も小説をかなり読まれているのでしょうか。また、強く影響されたり、バイブル的な作品があれば教えてください。

実はラノベも含めて小説はあんまり読まない方なんです。好きな作品もほとんど漫画なのですが、小説では「◆EreM42GXZo」氏という方がネット上で書いている二次創作小説『ファイナルファンタジーS』が歴史上最高の作品だと考えているので、バイブル的な作品を一つ選べということならこの作品になります。『異修羅』における作中の強さの考え方については、『嘘喰い』や『喧嘩稼業』といった作品に大きく影響を受けています。第三者から見える戦いの部分だけではなくて、それ以前の立ち回りまでもが本番での強さに含まれるといったところですね。戦闘中の、読み合いや能力の裏をかくなどして敵を上回って勝つ、という点に関して言えば、やはり『ジョジョの奇妙な冒険』に学んだところが大きいです。

――ありがとうございます。それではあらためて、第1巻を振り返りながら『異修羅』がどんな物語なのか教えてください。

本作はかつて“本物の魔王”と呼ばれる存在によって壊滅的な打撃を受けたファンタジー世界を舞台に、修羅と呼ばれる圧倒的な強者が殺し合うバトル群像劇です。第1巻では国家間の戦争、そして発売される第2巻では未曾有の災害を舞台に修羅達が戦闘を繰り広げます。そしてそれらの結末を踏まえて、修羅もそうでない者も全員が巻き込まれる真剣勝負のトーナメント“六合上覧”へと向かって世界情勢が進んでいく、という物語です。お話で扱われる修羅も単純に戦闘で強いだけの連中ばかりではなく、攻撃の正体が誰にも分からないとか、頭が良い立ち回りをするとか、精神がぶっ飛んでるとか、ものすごい物量で攻めてくるとか、色々なバリエーションの最強が出てきます。そうした連中がぶつかり合う時、そういった絶対的な力を持たない者がどう戦うか、修羅ではないサブキャラクターの動きも見ていただけるものになっていると思います。人がいっぱい死にます。

※様々な修羅と呼ばれる”最強”が死闘を繰り広げる

――第1巻発売以降、読者の反響も非常に大きなものだったと感じています。著者として読者の熱狂ぶりはどのように映っていましたか。

大変ありがたく思っています。読者の方々の感想や応援があるとやはりモチベーションが違いますので、結構な分量の文章を第2巻まで書き上げることができたのは、間違いなく読者の皆さんのお陰です。読者に面白いと思ってもらえるかどうかは作者の側でコントロールできることではないと考えているので、どこが反響を呼んだのかという点は後付けでの考えになってしまうのですが、群像劇という性質上、色々な個性や能力を持ったメインキャラが分布していて、最終的にその全員にトーナメントで勝つか負けるかの結果が待っているわけです。なので、誰を推すかという立場で応援していただきやすかったのかなと考えています。一方で作者も予想していなかったキャラを熱狂的に推してくださったりする方などもいて、たくさんキャラを作って良かったなあと思いました。

――“最強”同士が激突して殺し合う、本作の着想はどんなところから生まれたのか教えてください。

私自身はあんまり強さに縁のない暮らしを送っているので、特に特定の一つの強さのこだわりを描きたいということはないのですが、その逆である色々な軸の強さを総合した強さで戦うお話を書きたいなとは思っていました。私自身そういった主人公が好きなので、漫画でもよく読むジャンルなのですが、例えば「戦闘能力は低いものの、追い詰められた時の機転に優れ、予想もつかない逆転の一手を打つことができる」という主人公がいるとします。けれどそのキャラクターは、「追い詰められた時の機転に優れている」という点で強者を倒すことができるので、やっぱり「強い」んですよね。

――なるほど。特定の瞬間やタイミングで力を発揮できる、一定方向からだけの「強さ」ではないと。

そうです。また「寿司勝負前に市場の寿司ネタを買い占めるので敵は寿司を握れない」みたいな敵がいたとしても、それはお金を持っていることが「強さ」だと思うんです。私は色々な強さにそこまで本当の優劣はないだろうと考えているので、本作には息をするように卑怯な手を使う連中がたくさん出てきます。けれどそいつらも反則というリスクを取っても勝ちたいからそういうことをしているわけで、作中において悪役だからそういった手段を取っているわけではありません。もちろん本作にはそういった搦手の手段を嫌ってストイックな鍛錬で最強を目指している奴や、全然努力なんてしたこともない生まれつき強いだけの奴も、修羅として“最強”を争う活躍をします。こういったことが可能なのは、特定の主人公の価値観で視点を定めずに、様々な視点から物事を見せられる群像劇ならではの強みではないかと思います。

――様々な「強さ」を様々な視点から見せていく、というお話でしたが、本作ではその様々な“最強”が激突し、そこには決着も生まれます。“最強”が“最強”を打ち破る瞬間、その決定打はどのように考えられているのでしょうか。

本作で登場する修羅は人間に限らず、ワイバーンだったり巨人だったり植物生命体だったりロボットみたいなやつだったり、とにかく色々な連中が参戦するわけですが、そのほぼ全員に共通している点が、物事を判断する意志と知性があるということです。つまり戦いに臨む時には必然的に敵の程度を想定して、それに対する勝算を組み立ててから挑むということになります。その上で負けるということは、想定していた敵の程度を誤っていた、あるいはそもそも敵を認識できていなかったということだと思っています。なので、互いが互いの想定を上回ろうとする戦いを描いていく中で、その敗因を「これは分からなくて当然だろう」と思わせることが、最強が敗北する物語を描く上で重要なのかなと考えます。

――“最強”の修羅たちも見どころではありますが、先ほどおっしゃられていたように、修羅ではない存在にも見どころは多いですよね。

修羅は全員が圧倒的に無敵な存在です。なので、修羅以外のキャラクターも、その強さが分かっていて無意味に喧嘩を売ったりすることはほとんどしません。一方でそれでも彼らが戦わなければならない局面もあって、そんな時には修羅の裏をかくための手立てを必死に考えることになります。修羅以外も、そのキャラクターが持っているカードを総動員して、策略や謀略を組み立てようとするわけです。この作品の根底にある、修羅同士が殺し合うトーナメント“六合上覧”自体も、そうした謀略の側面を持っています。先の回答にも関連することですが、勝算が限りなく薄い中でそれでも戦いを選ぶということは、戦いを挑もうとする弱者が、絶大なリスクに見合うだけの復讐や誇りや囮や時間稼ぎといった目的を通したいからということでもあります。そうした修羅ではない者の戦いを見ていただくことで、この世界では修羅だけでなく、それ以外のキャラクターも手を抜かずに生きているのだなあと感じていただければありがたいと思っています。

――それでは本作で死闘を繰り広げる修羅たちについて教えてください。

さすがに全員は難しいと思いますので、ピックアップして紹介しますね。まず星馳せアルスというキャラクターがいます。世界を駆け回って迷宮を踏破し、古今東西のマジックアイテムを自由自在に扱う冒険者という、パブリックイメージの勇者みたいな特徴付けのキャラですね。ですが、ちょっと違う点もあって、こいつは人間ではなくワイバーンの冒険者なんです。ワイバーンなら人間より遥かに移動制約がなく、冒険できる範囲が広いし、当然人間の冒険者より強いだろうという発想なんですね。またこのキャラクターは本来腕がない種族のワイバーンなのにも関わらず、生まれつき3本も腕が生えています。冒険者の強みである武器を、同時に3つ使えるので強いわけです。この腕は彼の強欲さを表してもいて、非常にダウナーな喋り方に反した物欲の強い冒険者というのも珍しいところかなと思います。

※ワイバーンの冒険者・星馳せアルス(キャラクターデザインより)

次に地平咆メレというキャラクターですが、こいつは村の皆から慕われているとても気が優しくて力持ちの巨人です。ただし、武器は棍棒とかではなく超巨大な弓だったりします。視点が他の生物より遥かに高い上に力もあるので、誰よりも遠くを目視して物凄い威力の矢で狙撃することができるわけです。力自慢と言っても修羅である以上そのパワーは規格外で、第2巻でも途轍もない絶技を平然とやってのけるシーンがあります。こんな奴が本気で対戦相手を殺しにかかってきたらどうしようもないという絶望感を感じていただければ嬉しいです。反面、修羅の中でも珍しく人との関わりが非常に深く、地元の子供達に好かれていたりもするので、死なないでほしいという声が一番多い修羅でもあります。

※巨人・地平咆メレ(キャラクターデザインより)

書籍第1巻で書き下ろしたキャラクターの中から挙げるとしたら、海たるヒグアレでしょうか。このキャラクターは植物生命体マンドレイクであり、即死の猛毒を持っていて、しかも自由自在に伸びる蔓でナイフを扱うので強いという、能力表記自体はそこまで圧倒的ではないように見えるキャラなのですが、実際に読んでもらうと印象が大きく変わる強さの見せ方ができたと思います。デフォルメしやすいデザインから読者の間でマスコット的なポジションになったのも感慨深く、以前に実施した読者プレゼントのキャンペーンのクレタ先生のサインにはこのキャラクターが描かれていたりします。

※マンドレイク・海たるヒグアレ(キャラクターデザインより)

そして第1巻の時点から名前だけは出ていて、第2巻で本格登場する修羅に、絶対なるロスクレイというキャラクターがいます。彼は作中最大の国家である黄都の最高官僚集団である黄都二十九官の一人で、その中でも最強の存在です。黄都二十九官は人間の中から選抜された有能な人材が揃っているとはいえ、そのほとんどは人間の範疇の能力の高さなのですが、この絶対なるロスクレイ一人だけが修羅の領域の存在として扱われています。二つ名で“絶対なる”と名乗っている時点で既に相当な奴なのは察していただけると思うのですが、どこがどう絶対なのか、他の人間とどれくらい違う男なのか、ぜひお話を読んで確認してもらいたいキャラクターです。

※黄都二十九官・絶対なるロスクレイ(キャラクターデザインより)

最後に登場済みのキャラクターと言っていいのかどうかはわかりませんが、“本物の魔王”です。これは物語開始時点でとっくに死んでいて、果たしてどういう存在だったのかも登場人物はろくに知らないという大変斬新な魔王なのですが、とにかく死後も世界中の全員が恐れているような存在で、たびたび人々の話題にのぼったりこの物語を動かす根底になっていたりします。これはもちろん謎の現象や自然災害とかではなく、かつて実在していた存在であり、もしも第3巻が出たらお見せする機会もあるかと思いますので、気になる方はぜひとも第2巻のご購入をよろしくお願いいたします。

――登場する修羅について、いち読者としては星馳せアルスに魅力を感じていたりするのですが、先ほど紹介いただいた数では圧倒的に足りないくらい本作には様々な修羅が登場しますよね。珪素先生のお気に入りのキャラクターは誰になるのでしょうか。

まず星馳せアルスに魅力を感じていただけているとのことでありがとうございます。星馳せアルスはもちろん英雄的な存在ではあるものの、人間視点でいえば秩序的なヒーローではない、むしろ混沌寄りのキャラなので、そんな彼の活躍に魅力を感じてもらえているというのは凄くありがたいです。また読者に気に入っていただけていると感じるキャラクターの中には、星馳せアルスにも関係するキャラなのですが、静寂なるハルゲントがいます。彼はイケメンでも美少女でもなんでもなく、それどころか初老に差し掛かった王国の将軍で、しかも戦ってもあまり有能ではなく、部下を死なせてしまったりする上に自分が成り上がることしか考えてないという、作者から見てもとても人気が出るとは信じられないような造形をしているのですが、こんなキャラクターにもファンが多いというのは他の作品にはないことだと思いますし、こういった物語の脇を固める人物の描写も大事にしていきたいと思わせてくれたキャラクターの一人です。ちなみに私が好きなキャラクターはもちもちのアヤキ(@ishura_info)です。いつも異修羅の広報を頑張ってくれているので……。

※星馳せアルスは秩序的なヒーローではなく混沌寄りのキャラクターだという

――静寂のハルゲントはいろんな意味で「人間らしさ」を感じさせてくれるキャラクターでもあるのかなと思います。ちなみにお答えいただける範囲で構わないのですが、本作における「ただ一人の勇者」は既に決まっていたりするのでしょうか。

“本物の魔王”を倒したただ一人という意味でも、トーナメントの優勝者という意味でも、世界を真に救うのが誰なのかという意味でも、既に決まっています。その正体についてはぜひこれからの物語に期待していただければと思います。

――本作のイラストはクレタ先生が担当されておりますが、お気に入りのデザインやイラストを教えてください。

表紙も特設ページもあらゆるデザインが良いので挙げていくときりがないのですが、表紙に関しては第1巻も第2巻も、大量のキャラクターが揃い踏みする構図が本当に豪華で素晴らしいですよね。クレタ先生は本当に「なんでも描ける」お方で、本作はあまり可愛い系のイラストでも世界観に合わないし、かといってリアル過ぎるイラストでもよろしくないという極めて繊細な画風を要求されるお話だと思うのですが、クレタ先生はそうしたイメージを汲み取ってくれつつ、美男美女もおじさんやおばさんも、異形のクリーチャーもロボットも、もちろん背景や小物のデザインも全部できてしまう超人なんですよ。特に修羅は3分の1近くが人外の種族だったりするので、一過性の敵ではなくメインキャラに据えられるくらいのデザインが必要なのですが、すべての条件を満たしながら1つの巻につき10キャラ以上の新規デザインを仕上げていただいているので、想像できないほど高レベルのイラストレーターさんだと思います。クレタ先生に本作のイラストを手がけてもらえたのは恐ろしく幸運でしたね。

※「なんでも描ける」クレタ先生を大絶賛する珪素先生

個別のキャラクターデザインを挙げていくと、まず警めのタレンが好きです。若い美男美女ではなくカッコいいおばさんキャラというのはやはり難しいオーダーだと思うのですが、そんな中でクレタ先生は歴戦の猛将に相応しい意志の強さと美しさを兼ね備えた完璧なデザインを最初から出してくださいました。あとは通り禍のクゼのデザインも大変気に入っていて、人が良さそうだけど諦観したような笑い方が本当に絶妙だと思っています。第2巻からの登場キャラの中ではおぞましきトロアを見ていただきたいですね。彼は凄まじい数の魔剣を一人で操る修羅で、私の方からもデザインが大変そうなら何本か省略してもいいですよとお伝えしたのですが、一本たりとも手を抜かず魔剣を全部デザインしてもらっています。

※通り禍のクゼと警めのタレン

※通り禍のクゼ(キャラクターデザインより)

※おぞましきトロアと扱う数々の魔剣(キャラクターデザインより)

――そして『異修羅』は漫画家を公募する形でのコミカライズ企画も進行していますよね。

原作が先にあって作画の方を公募で募集する、というのは私もこの企画で初めて知ったくらいの試みなので、どんな方に集まっていただけるのかワクワクしています。『異修羅』自体も投稿サイトに投稿していた小説を拾ってもらったという経緯があるので、プロアマ関係なくこうして広く参加の間口を取って、求める条件に最適の人材を探すという手法はこれからどんどん一般的になっていくのかもしれません。なんかこんな事を偉そうに言っておいて結局一般的にならなかったら凄く恥ずかしいですね。一般的にならないかもしれません。著者としては、例えば殺伐とした空気感だったり、修羅を含めた脅威の恐ろしさといったイメージを文章から読み取って描いてくださっている方だと、その後のお仕事もスムーズに行きやすいのかなと考えています。非常に楽しみです。

――本作はPVの制作も進行しており、本記事が掲載される頃には公開されているかと思います。

まさか自分の作品でPVを作ってもらうみたいなことが人生で起こるとは全然想像していなかったので、今でもドッキリなんじゃないかな……と疑っています。自分の書いた文章を声優さんに読んでもらうなんて本当にいいのかなと思ってしまいますよね。紹介される修羅に能力値のレーダーチャートがついてくると思うのですが、あまりそういった数値を比べる戦いではないので困ったなあと思いながらも頑張って作ったので、ちょっと異論があっても見逃していただけるとありがたいです。私自身もPVがどんな代物なのかわかっていないタイミングで答えておりますので、PVらしきものが何も出てこなかったら、ああドッキリだったんだな、と思ってこの回答は読んでください(笑)。

――それでは発売された第2巻について、見どころや注目してもらいたい点について教えてください。

第1巻では戦争という極限状況の中で、強大な戦力がぶつかり合うシチュエーションを描きましたが、第2巻からは謀略の修羅も登場するということで、さらに複数の勢力の思惑が複雑に絡み合って一点に収束していく、それでいて戦闘の修羅の力を存分に発揮した大規模戦闘も描くという、かなり難しい制約の上で頑張って書きました。見どころとして考えているのはやはりクライマックスの乱戦で、一対一ではなく、3名や4名もの修羅が同時にその場に居合わせ、目まぐるしく動く戦局の中で各々が全力で戦った場合にどうなるのかという結末を描いています。そして、そうした「動」の見せ場の一方で、動かないことを強みとする謀略の修羅達が何をしているのか、彼らがどれほど厄介な強者なのかという「静」の見せ場にもぜひ注目していただきたいと思います。

※第2巻でも修羅同士の戦いは熾烈を極める!

――作家としてこれからの目標や野望があれば教えてください。

「◆EreM42GXZo」氏の『ファイナルファンタジーS』をすべての地球人類に布教することです。あと、できれば『異修羅』のお話は最後まで刊行したいですね。

――最後に本作のファンの方へ一言お願いします。

『異修羅』はどこか特定のターゲット層に受けようと考えながら作っている物語ではなく、私が自分で楽しいなと思うことを書いているお話なので、私の思う楽しさに共感していただける読者がいて、そして第2巻まで本を出すことができたということは、創作者として一番嬉しいことです。そしてそうである限りは、自分自身の思う楽しさを裏切らないことが応援してくれる皆さんの期待に応えることだとも思っています。だからこのお話にはこれからも残酷な展開がありますし、悪党だってのさばりますし、登場人物はやたらと多く、名前のあるキャラが容赦なく死にます。第1巻や第2巻でも世界的な事件が起こっていますが、やはりこのお話の真の本番は、第3巻から開始する真剣勝負のトーナメント“六合上覧”です。これまでに登場してきた主人公達が一同に介し、それぞれの物語が交差すると共に、同じ参戦者として絶大な力をぶつけ合うことになります。そしてトーナメントである以上は、絶対に誰かが勝ち、誰かが負けます。そうした先の展開を想像しながらそれぞれの修羅を応援して、彼らの物語を見守っていただければ嬉しいです。

――本日はありがとうございました。

<了>

魔王が殺された後の世界に跋扈する修羅たちの死闘を綴る珪素先生にお話をうかがいました。“最強”同士でも戦えば勝敗が必ず生まれ、勝者と敗者が誕生し続ける物語の行く先も非常に気になる本作。第2巻では新たな修羅も登場し、第1巻以上の死闘が繰り広げられることになります。イチオシの修羅が死なないよう応援しながら読みたい『異修羅』は必読です!

©珪素/KADOKAWA 電撃の新文芸刊 イラスト:クレタ

[関連サイト]

『異修羅』特設サイト

電撃の新文芸公式サイト

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