カルロ・ゼン氏&樽見京一郎氏からの熱いエールも送られる『汝、暗君を愛せよ』がDREノベルスより8月6日発売

DREノベルス刊『汝、暗君を愛せよ』が2025年8月6日に発売される。本作は小説投稿サイト「小説家になろう」発の作品で、お飾りの社長であることに嫌気がさして命を絶った主人公が、異世界で若き王の中へと転生し、傾きかける国のために自らを暗愚と謳いながらも王としての役割を全うしていく異世界政治戦記。このたび発売に先んじて、エンターブレイン単行本『幼女戦記』を手掛けるカルロ・ゼン氏や『オルクセン王国史』を手掛ける樽見京一郎氏からの推薦文が公開された。

 

 

汝、暗君を愛せよ

 

 

【あらすじ】

お飾り社長としての人生に嫌気がさして自ら命を絶った「ぼく」は、異世界の若き王の中へと転生する。しかし彼の王国は巨額の赤字財政と列強の干渉に悩まされ、国内には革命の気配すら漂い始めていた。政治的影響力を無視できない妃候補の令嬢たちと、自分よりも明らかに有能な重臣たちに取り巻かれ、無力な異世界人たる彼にできることはあまりに少ない。だが、何とか“上手くやらなければ”生き残れない。「ぼくの名は、暗愚な君主の1人として残るだろう。永遠に」それでもなお、彼は玉座に在り続ける。かつて“投げ捨てた”役割を今度こそ全うするために。

 

 

■カルロ・ゼン氏からの推薦文


汝、暗君を愛せよ

 

汝、暗君を愛せよの話をするのは、本当に楽しくて辛くて怖い。一瞬で矛盾して申し訳ないんですが、素面でこれを語るのは勇気がいる。そういう作品です。

一言で済むならば、好き! だけで済ませたい。それでも一生懸命不器用に語るならば、これは、人の限界を受け入れる物語。

だって、人は、何ができるか? で英雄になるとは限りません。

人は、何をしないのか? でマシな人間になることもできる。

端的に言いましょう。等身大のよき人のための物語です。楽しいよ!

普通であれば、もうちょっと、保険を掛けたり、ブレーキを踏んだり、社会人や組織人のコスプレをするんですが、アクセルがん踏みで書いちゃいましょう。

もし、デビュー前に読んでいたら、筆を折っていたかもしれません。

僕は、それほどに、『汝、暗君を愛せよ』が大好きで、死ぬほど怖くて、尊敬していて、やりやがったと驚愕していて、なんていうか、情緒がズタボロになるレベルで、刺さりました。

言葉を選ばなければ、これこそが、文字のAPFSDSです。

とにかく刺さる。

こんなものを、読み手として、ゼロ距離射撃されるとか……。著者からの殺意があまりにも明白で、この急迫不正の侵害に対し、生き残るために先制自衛権の行使を真剣に検討せざるを得ない。

なにより怖いのは、著者は、悪意はおろか、敵意すらなく、純粋な工夫のみで、それらを成し遂げています。ただ、それだけで、あまりにも強烈な殺意にこちらはすくみ上るしかないのですが。

あえて言うならば、『汝、暗君を愛せよ』はフレンドリーな象さんです。

ニコニコと親し気に近寄ってくる何か。

遠景で眺める分には、結構なことですね。

現物が目の間に立ち、『よろしくね』と一歩近寄ってくるだけで、踏みつぶされる恐怖で逃げ出したくなりますが。

恐怖に震えあがって、我を取り戻せば直ちに周囲に警告を飛ばしますよ。

『とんでもない怪物が来るぞ!!!』と。

『カルロ君は大げさだなぁ』なんて笑う同業者は一人もいませんでした。

この業界で生き残っている人間が、面白さの怪物を見間違って生き残れるとは思えませんから、当然といえば当然のことです。

心にAPFSDSをぶち込まれる作品を相手に、『大げさだなぁ』なんて、どう笑えと?

そんな怪物が、創作という世界に足を踏み入れます。

エンタメではあるのです。面白くもある。

こんなのがライバルで新規参入してくる世界でもなければ! なんて時代だ! 売れなかったら、編集部の責任だと思います。それ以外にないです。そういうことを断言できる作品です。

良ければ、ぜひ、ご一読ください。


 

 

■樽見京一郎氏からの推薦文


汝、暗君を愛せよ

 

――暗闘、崩壊、派閥、破綻、孤独、葛藤。

「政治」とは、掴めたと思った瞬間、指の間から砂のように零れ落ちていく集塊。そんな世界に放り込まれた一人の男の内省を鋭く描く、傑作巨編。

「暗君」とは何か。対して「名君」とは何か。両者を分け隔てるものは何なのか。

歴史の教科書を紐解けば、区別のつかない君主もたくさんいます。ときに評価が一八〇度変わってしまうような例も珍しくありません。

現代で造園業を経営していた主人公が転生したのは、そんな歴史の紡ぎ出す狭間。架空の世界ですから一種のファンタジーということになりましょうが、この世界にはドラゴンやエルフやオークといった「定番」の生き物たちも、何でも解決できてしまうような都合のいい「魔法」も存在しません。どこまでもリアルです。

彼が統治することになったサンテネリという王国は、財政真っ赤っ赤。他にも内憂外患、課題、問題、難題山積状態。

それでも出来ることは何もない。

頼りになるのは己の才覚のみということになりますが、前世で人生が上手くいかなかった主人公自身が諦めきっているようにさえ見えます。

しかし精緻かつ読みやすい文章の要所要所からは、彼の周囲への人間観察眼が非常に鋭いことが垣間見えることでしょう。苦い人生経験も、確実に引き継がれています。自らを「暗君」と自嘲する彼に潜んでいるのは、人間としての芯の強さでもあります。初めてこの物語に接したとき、「これは内省の物語」だと感じた所以です。

そんな新たな人生で、せめて癒しを求めるなら、食事や異性といきたいところですが――

君主たる彼は、食事ひとつさえ暗黙のルールに縛られ、身近な女性たちは美しくも「本音と建前」の世界に住んでいます。なんとままならないことか。

少なくとも本人はそのように考えている。ときに猜疑心が強すぎるのではないか、自己評価が低すぎるのではないかと思えるような、そんな目線で周囲を見ています。

言質や隙を与えれば利用される。もし国が破綻すれば、連帯責任の極致で「吊るされる」未来が待っていると、彼は信じている。

この、鉄を口に含んだが如き苦々しさ。人生とは、重き荷を背負うて遠き道を行くが如し。上手くいくことよりも、そうではない結果のほうが多いかもしれない。そこが「リアル」なのです。

しかし、決して敬遠なさらないで欲しい。

精緻にして軽妙、繊細に紡がれる文章は、読む手を止まらなくします。

一頁一頁、虜となり、主人公が「目指すもの」のかたちが見えてくるはずです。

その先に待っているものは何か。

そして周囲は「暗君」に何を見出すのか。

皆さま、何卒ご一緒にその展開と行方、顛末を追おうではありませんか。


 

 

『汝、暗君を愛せよ』は、DREノベルスより2025年8月6日発売。

 

 

©本条謙太郎/ドリコム イラスト:toi8

kiji

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