舞台化&最新作発売記念インタビュー「ラノベの素」 水城水城先生『サイコメ×カフェ・ド・ブラッド』 ※サイン本プレゼント有
独占インタビュー「ラノベの素」。今回は公演間近に迫った舞台『サイコメ;ステージ』の原作・脚本を担当、そして最新作『カフェ・ド・ブラッド 魔夜中の眠らない血会』が発売となる水城水城先生です。

――本日はよろしくお願いします。『サイコメ』の舞台化おめでとうございます。
ありがとうございます。今日はよろしくお願いします。
――まずは水城先生のプロフィールを教えてください。
愛知県出身で大学卒業後に専門学校のAMGノベルス学科に進学、在学中最後に書いた『サイコメ』で受賞することができました。当時は専門学校に通いながら、シナリオをメインとするゲームプランナーとして、ゲーム会社でアルバイトもしていました。今もゲーム会社で働きながら執筆活動をしています。
――好きなものなどあれば教えてください。それとネット上では女性説も囁かれていますが(笑)
ここで男だと宣言しておきます(笑) 好きなものは軽い娯楽、そしてデスボが入った重たく激しい音楽ですね。最近は忙しくてあまりインプットできてませんが、日常系などのライトで、あんまり頭を使わなくても楽しめる作品であれば、アニメや漫画や映画などメディアにこだわらず好きです。スピード感あるコメディなどを展開する宮藤官九郎さんの作品が大好きです。
――みなさん、水城先生は男性です。さて、まずは舞台化の決定した『サイコメ』について教えてください。
『サイコメ』は、ヒロイン全員が殺人鬼のラブコメディです。冤罪で「プルガトリウム更生学院」に入れられてしまった主人公が、殺人鬼のヒロインと出会うお話ですね。題材はダークで鬱々としていますが、それを明るくコメディとして描いているところがウリの作品です。本編が6巻、短編集が1巻の計7巻で完結している物語です。
![]() | 【あらすじ】 未成年犯罪者を集めた「プルガトリウム更生学院」。そこに冤罪で入学させられた神谷京輔。周りを見ると美脚美女にゆるふわ系少女…なのに実は殺人犯。その上、京輔は異例の“12人殺した殺人鬼”として学院中の注目の的になり、正体不明な巨乳のガスマスク美少女・氷河煉子にまで迫られて―。死と隣りあわせの誘惑をくぐりぬけ、京輔は無事に卒業できるのか! |
――完結している『サイコメ』ですが、舞台化はどんな経緯で決まったのでしょうか。
『サイコメ』の舞台化については経緯がかなり変わっていて、私自身が舞台化の話を持ち込んだ形になります。ゲームプランナーとしてアルバイトをしていた時に知り合ったプロデューサーの方と、別件で2回ほどお仕事をしまして、また仕事をしたいよねというというお話をしていたんです。それから私が『サイコメ』でデビューして、完結するまでしばらくはなかったのですが、その後舞台の脚本を一緒にやらないかと誘われました。最初はオリジナルの予定だったのですが、『サイコメ』を読んだ演出家のまつだ壱岱さんが、この作品を舞台化できないかと。そうして確認をしたらOKが出て、晴れて舞台化ということになりました。
――舞台化に向けては、どういったスピード感で動かれていたのでしょうか。
話自体は去年の夏頃。実のところ、本当はもっと早い時期での舞台化予定だったんですが話自体が流れてしまって(笑) その後もう1度お話があがり再始動しました。たしか年末年始くらいです。
――年末年始に再始動が決定して、舞台化の発表は1月半ばでしたよね?
そうです。発表時点では脚本がまだ3分の1もできていませんでした(笑) 年明けにすぐ打ち合わせをして、WEBサイトを制作して動き出した感じです。脚本の文量も文庫1冊分より少し多くて、自分は遅筆なので本来なら2ヶ月近くかかるのですが、1週間ちょっとで初稿をあげました。仕事は2週間くらい有給休暇を取らせていただいて(笑)
――凄まじいスピード感ですね(笑)
私もびっくりしたのですが、短期公演の舞台はこういったスピード感で動くことも珍しくないみたいです。舞台化が発表された時はまだ、嬉しさよりもプレッシャーの方が強かったですね。舞台『サイコメ;ステージ』は原作小説の1巻がベースになっているのですが、一度書いていてキャラクターの動かし方などもわかっていたからこそ、なんとかなった印象です。完全オリジナルだったら難しかったかもしれません(笑)
――水城先生は舞台脚本の執筆は初めてだったのでしょうか。
舞台そのものを観たことも数えるくらいしかなく、舞台脚本を担当したのも当然初めてでした。先に申し上げた通り、まずはスケジュールがとにかく大変だった。それと舞台脚本とライトノベルの執筆とで違ったのが、キャラクターの出し方についてです。ライトノベルは主人公がいて、脇役は脇役で登場するので、視点はもちろん、出番の多さも違います。ただ、舞台は役者さんたちに出番をまんべんなく作らなければいけません。なので、原作では脇役だったキャラクターの出番を、舞台では増やしたり、重要度の比率もだいぶ変更しました。そのあたりが大変でしたね。
――『サイコメ』の内容ですが、過激な描写も多いですよね。舞台版ではどうしているのでしょうか。
いろいろと自主規制をかけています。特にエロネタですね。演じてもらうわけなので、当たり前ではありますが(笑) キャラクター同士の掛け合いなどもほとんど新規になっています。
――舞台化にあたり、舞台版ならではの要素はあるのでしょうか。
舞台『サイコメ;ステージ』では、エンディングが2つ用意されていることが大きな特徴です。原作『サイコメ』では、氷河煉子と紅羽鋭利のダブルヒロインで、最終巻でもどっちと結ばれたのかははっきりと明言せず、読者の想像に委ねました。それを舞台では、2種類のエンディングとして、それぞれのヒロインの結末を観ることができます。2種類のエンディングを観たい方は、ぜひ2公演に足を運んでもらいたいです(笑) それと、もともと文庫1冊で完結している物語ではないので、舞台オリジナルキャラクターである理事長など、完結させるためのキャラクターが盛り込まれている点が原作との違いになりますね。
――舞台版の新規キャラクターは理事長だけなんですか?
はい、完全新規のキャラクターは理事長のみです。それ以外は、原作小説でセリフ1行の名無しキャラクターなどに名前をつけて、膨らましたり肉付けしたりしています。舞台を観て、原作を見直してみると面白いかもしれません。
――新規キャラクターの一方、モヒカンは舞台が初のビジュアル化なのではとの声もあります。
モヒカンは短編集で1回だけ、雰囲気がわかるような顔を隠したビジュアルで登場しています。短編集が出るまではモノクロすらなかったですし(笑) 実のところ、舞台『サイコメ;ステージ』では当初、キャスティングにモヒカンはいませんでした。でも、「モヒカンは大事な役なんで入れてください」と要望して、登場に至っています。
――もうひとつビジュアルについて、氷河煉子役の女優さんはずっとガスマスクを装着し続けるのでしょうか?
女優さんも「本当につけるんですか? ずっとつけてるんですか!?」と戸惑われていたそうですが、舞台でもたぶん最後しか脱ぎません(笑)
――舞台『サイコメ;ステージ』はどんな方に観てもらいたいですか。
『サイコメ』を知っている人にも知らない人にもぜひ観てもらいたい。知っている人はもちろん楽しめると思いますし、知らない人もこれをきっかけに知ってもらえると嬉しいですね。キャラクターの再現度、セリフもリメイクされているので、そういった点を観てもらいたいです。また、男性向けライトノベル初の舞台化ということもあるので、舞台に興味がなかった方にもぜひ足を運んでもらういい機会になったらと思います。舞台も人気があれば、再演やDVD化などもありますので。
※船岡咲(紅羽鋭利役)/長江崚行(神谷京輔役)/飛鳥凛(氷河煉子役)
――ちなみに『サイコメ』舞台化ですし、アニメ化アピールしなくていいですか?(笑)
アニメ化したいです! したいですけど倫理的に問題が……(笑) 『サイコメ』はそういう意味で、メディアミックスは難しかったですね。なので、舞台化は非常に相性が良かったです。舞台は言い回しが大仰だからか、テレビやスクリーンほど実写の違和感もないんですよね。『サイコメ』では敢えて使用していませんが、3Dマッピング技術などもあるので、男性向けライトノベルでも舞台化という新たなメディアミックスがどんどん浸透していくと嬉しいです。
――それでは続いて、新作『カフェ・ド・ブラッド』についてお伺いします。どんなお話ですか。
お客は全員吸血鬼、紅茶や珈琲の代わりに血液を出す喫茶店のお話です。日本を舞台に、日常に溶け込ませた物語。ただし喫茶店の中だけは非日常という。主人公の青井優夜は人間なのですが、吸血鬼の店長が経営する喫茶店で従業員として働いています。喫茶店にはいろんな血液の好みを持った吸血鬼がやってくるのですが、たとえば幼女の血液しか飲まない吸血鬼、よく冷えた血液を好む吸血鬼、年代物の腐った血液を好む吸血鬼など様々です。吸血鬼ものが好きな読者にはとても楽しめる作品になっています。
![]() | 【あらすじ】 血を提供するカフェ・ノクターン。店主のアナスタシアは美少女だが傲岸不遜な吸血鬼で、訪れる客も癖のある吸血鬼ばかり。そして店主にも客にも振り回される従業員・青井優夜は――人間だった。それでも優夜は、人間と共存を望む吸血鬼達と楽しい夜を過ごしていた。そんなある日。優夜の通う高校で発生した〝吸血鬼に襲われる “事件が優夜とアナスタシアの因縁を呼び起こすのだが……。心優しき吸血鬼と歪な願いを抱えた少年が織りなすダークファンタジー! |
――『カフェ・ド・ブラッド』はどんなコンセプトのもと生まれたお話なのでしょうか。
『サイコメ』ファンが読んで面白い作品というのはもちろんですが、吸血鬼と人間の共存がテーマにあります。吸血鬼を単なる「敵」や「害悪」として描くのではなく、人間と吸血鬼、それぞれの立場から見た存在として描いているので。また、デスメタルやハードコアなどの音楽ネタを盛り込んでいた『サイコメ』のように、『カフェ・ド・ブラッド』にはV系の音楽がネタとして盛り込まれていたりもします。
※メリー(左)/御苑景晴(中)/青井優夜(右)
※こちらのキャラデザインはデザイン確定前のものになります。
――『サイコメ』に続き、生煮え先生とのタッグです。
生煮え先生のイラストがとにかく細部までこだわりがあって、見どころ満載です。小物なんかも凄く描きこまれていて、ヒロインの履くハイヒールの踵とか、ぜひ隅々まで見てもらいたいですね。
――本作登場キャラクターでお気に入りのキャラクターは誰ですか?
メインヒロインであり、喫茶店の店長でもあるアナスタシア・ウィヌシュカです。V系の音楽好きの方が見たら、少し「おっ」と思うネーミングになっているんじゃないかと(笑) 作中最強のキャラクターではあるのですが、性格は幼稚で短気。長く生きているにも関わらず、煽り耐性が全然なくて、結構暴走するヒロインでもあります。そんな彼女に対して、主人公がブレーキをかける。その掛け合いは見どころのひとつですね。
※作中最強の吸血鬼であり喫茶店の店長でもあるアナスタシア
※こちらのキャラデザインはデザイン確定前のものになります。
――おや、ガスマスクを付けているキャラクターがここにも……。
本作でもガスマスクを付けているキャラクターがスーツ姿で登場しています(笑)ダンピールという半分吸血鬼のキャラクターで、吸血鬼を狩る組織の代表格として登場します。アナスタシアとは犬猿の仲ですね。
※朽木辰琅(左)/雨森香音里(中)/細美美果(右)
※こちらのキャラデザインはデザイン確定前のものになります。
――ガスマスクお好きですね(笑)
キャラ付として面白いと思うんですよ。付けてるだけで面白い。そして自分がガスマスクのイラストを見たい(笑)
――『カフェ・ド・ブラッド』の魅力について教えてください。
退廃的な雰囲気の作品というのはそんなに多くないと思っていて、『カフェ・ド・ブラッド』は『サイコメ』以上に退廃的な雰囲気が強いです。なので『サイコメ』好きにはたまらないと思います。そして、現代もののラブコメやバトルものを読みたい方にもぜひ読んでもらいたい。現代に寄り添う喫茶店の中での異世界物語、そして徐々に侵されていく主人公の日常。『サイコメ』ほどコメディ調が強いわけではありませんが、シリアスな雰囲気の中に息抜きとしてコメディを挟み込んでいます。吸血鬼ものが好きな方、既存の吸血鬼ものに真新しさを求めている方、V系音楽好きな方など、幅広く楽しんでもらえる点が魅力だと思います。それとカフェものではあるので、珈琲のうんちくではないですが、血液のうんちくや血液型によって能力が変わっていたりといった設定もあるので、楽しみながら読んでもらえればと思います。
――水城先生のこれからの目標を教えてください。
メディアやジャンル、流行にとらわれず自分のやりたいことをやりたいようにやりたいです(笑) 現在進めている舞台や小説以外にも、漫画原作やゲーム脚本など進行中のものもありますので、ご期待いただければ。ただ、ライトノベルが一番自由にやれるので、これからも書いていきたいです。
――それでは、最後にファンのみなさんへ一言お願いします。
舞台『サイコメ;ステージ』も新作『カフェ・ド・ブラッド』も、見た人やファンをがっかりさせるつもりはありません。必ず楽しんでもらえると思います。予想は裏切っても期待は裏切らないというのが目標ではあるので、そんな作家になっていきたいと思っています。また、新作『カフェ・ド・ブラッド』2巻のプロットもできており、1巻より面白くなる手応えはあるんですけど……出せるかどうかは売り上げ次第。ぜひとも読んでもらいたいので、皆様どうか『カフェ・ド・ブラッド』をよろしくお願いいたします!
――本日はお忙しい中ありがとうございました。
ありがとうございました。
舞台『サイコメ;ステージ』が3月2日(水)~3月6日(日)の期間で公演、そして最新作が2月29日に発売となる水城水城先生にお答えいただきました。舞台、そして最新作と水城先生らしさが凝縮された『サイコメ』と『カフェ・ド・ブラッド 魔夜中の眠らない血会』をぜひ手に取ってみてください。
最新作『カフェ・ド・ブラッド 魔夜中の眠らない血会』発売記念プレゼント企画!
水城水城先生、そして生煮え先生のサインが入った『カフェ・ド・ブラッド』サイン本を5名の方にプレゼントいたします。
応募方法はとても簡単。応募対象期間となる2016年2月27日(土)~3月1日(火)の期間中にTwitterで本インタビュー記事をリツイートするだけ。応募者の中から抽選で5名様に「ラノベニュースオンライン公式ツイッターアカウント(@lnnews)」よりDMにて当選のご連絡をさせていただきます。応募を希望される方は、ラノベニュースオンライン公式ツイッターアカウントのフォローをお願いします。
※当選者の方へはプレゼント郵送先の住所や氏名等の情報をお伺いいたします。
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※当選発表は当選連絡のDMにて代えさせて頂きます。
『サイコメ』そして『カフェ・ド・ブラッド 魔夜中の眠らない血会』を読むなら今しかない!
©水城水城/KADOKAWA エンターブレイン刊 イラスト:生煮え
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