オリジナルインタビュー「ラノベの素」 『ラノベ好き書店員大賞』主催者トランペさん
「ラノベの素」初の書店員さんインタビューは、『ラノベ好き書店員大賞』を主催されたトランペさんです。書店の裏側などいろいろお聞きしました。
――よろしくお願いします。では自己紹介をお願いします。
「トランペ」というHNで活動しております。福島の某所にてライトノベルの担当をしております。一般人です。
――ラノベが好きになったきっかけを教えてください。
中学校の時にアニメをやっていた「魔術士オーフェン」がきっかけですね。
その時は原作があるって知らなかったのですが、高校に入った時にクラスメイトがオーフェンを読んでて「あ、これアニメやってた奴だよね?」ってことで話しかけ、そしたらその友人がスレイヤーズやらリウイやらおススメしてくるものですから、そこからずるずると。
――書店で働くようになったきっかけは?
毎日のようにラノベを読むうちに、「僕はラノベを読みたいんじゃない、売りたいんだ!」と思うようになり、紆余曲折を経て念願のラノベ担当になり早2年。
――ラノベが好きだから書店で働き始めたんですね。
そうですね。「書店員」をやりたいというよりは、「ライトノベルというジャンルを普及するにはやはり書店員という立場が一番だ」というそれだけの動機です。
――では書店員ラノベ大賞についてお聞きします。始めようと思ったきっかけは?
「本屋大賞」さんにメディアワークス文庫の「ビブリア古書堂の事件手帖」がノミネートされたのがきっかけです。
「これはもしかして将来的には本屋大賞にラノベがノミネートされる日がくるかも……でもありえないか。じゃあいっそ自分で立ち上げてしまえ!」って感じで。
――苦労した点などありますか?
特別これといった苦労はなかったですね。対象作品を編集するのが面倒だったぐらいかな?
集計作業とかは凄く楽しかったので全然苦労ではありませんでした。一票一票コメントまで隅々目を通してしきりに感心してました。
――結果についての感想を聞かせてください。
非常に満足です。
年間何百冊もラノベ読んでるような方々からしたら「順当過ぎて物足りない」と言われるかもしれませんが、それだけに作品の面白さは保障されてるわけですし、「全然知らないタイトルばかり」という意見も多く見られました。
書店さんにとっても「アニメ化作品以外で何を展開すればいいのかわからない」という、ラノベにあまり詳しくない担当者さんにとっては今後の展開において有効な指針の一つになるのではないでしょうか。
ランキング全部展開しなくとも、今まで展開してなかった商品があればピックアップして展開してみるのもいいと思います。
――ずいぶんいろんな書店さんに広がってるようですね。
先日2chのまとめブログ「やらおん」さんに掲載されてから一気にツイッターでの拡散が広がりました。もう広がりすぎて恐い。
実際にフェア展開しているお店は、秋葉原の「書泉ブックセンター」様を始めとして多くの書店様が展開されているみたいです。
個人でやってる企画なので、特に展開報告の義務もないですし、「あぁこんな企画あるのか」ぐらいの認知度でも知っていただけてればそれで十分ですね。もちろんお知らせいただければHP等で随時公開させていただきたいと思っておりますが。
書泉ブックタワーでの展開
――次回からはこうしたい、という計画などあれば教えてください。
対象作品や、投票については同じようにやろうと思っております。
1回目の反省を踏まえたうえで期間設定や企画説明は改善していきます。出来ることならただ同じようにやるのではなく、何かプラスして実行していければいいですね。出版関係とも協力して、読者さんにフィードバックできる何かがあればいいなー
――「ラノベ好き書店員大賞」の目標は。
そうですね、読者に面白い作品を届けるのはもちろんですが、更に書店の売り上げとレーベルの売り上げが伸びてラノベ業界全体が活性化してほしいです。
――その点はラノベニュースオンラインと同じですね。
(無言で握手)
――現在毎月100点近くの新刊が出ていますが、書店員の立場から見てこの状況はどうですか? 売り上げに直結してますか?
正直なところ多すぎだとは思います。
当然出版社側にとっても出す理由はあるのでしょうが、もう書店の新刊置き場はリミットブレイクです。どこの書店でも「新刊を1か月新刊台に置く」ということがほぼ不可能になってきております。
あくまで僕の感覚と、自店のデータを見ても、新刊点数の増加によって多少売上は伸びてるかもしれないが、そこまで数字が比例しているわけではない。
「数うちゃ当たる」という状況が悪循環しているようにしか見えないというのが本音です。
ただ、それだけラノベ作家志望者に与えられる入口が広がっているという見かたもできるので、物書き志望の方にとってはプラスなのではないでしょうか。
――正直なところ刊行点数を減らしてもらいたい?
そうですね。各社月5~10点ぐらいに押さえていただけると売り場的には助かります。多くとも14点ぐらいにしてほしいです(笑)。
――なるほど(笑)。現在のラノベ読者の傾向はどんなものですか?
中高生のうちに、有名な作品を読み、大学生・社会人になるとお金あるので他の作品に手を出すようになる。
という図式は多分今も昔も変わらないんじゃないでしょうか。「有名な作品」が徐々に変化していってるだけで。
――こんなラノベがあれば売れるんじゃないかな、というものはありますか。
「魔法少女ラノベ」は何故ないのか? という話題がラノベ読み達の間で真剣に議論されたことがあり、大いに盛り上がったので魔法少女ラノベを出したらいいと思います。
――魔法少女ラノベって?
魔法少女もののラノベってことです。まどマギとかプリキュアとか。
――ああ、魔法少女もののラノベってことですか。タイトルかと思いました(笑)。
女子客を捕まえられれば強いと思うんですよ。女性客はコンテンツの息が長いですから。
同人誌の即売会なんかだとよくわかりますよね。男子は流行りのアニメなんかがメインですけど、女子はずっと前に流行った作品も多いですし。
――なるほど、当たれば長寿コンテンツになり得る可能性があるんですね。
そうですね。展開しやすくなりますし。ただ、いつまでも同じ場所に平台展開しなくちゃいけなくなって、下げるに下げられなくなっちゃうのが若干の難点でしょうか。
――この際ラノベ読者に書店員から言いたいことなどあればなんでも言っちゃってください。
買ったラノベが面白かったら、お友達つれてまたお店に買いに来てください。みんなで広げようラノベの輪!
――きれいにまとめましたねー(笑)。本日はありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
ありがとうございました。こちらこそよろしくお願いします。
[関連サイト]
ブログ:「虎とラッパ」
ラノベ好き書店員大賞公式サイト
『ラノベ好き書店員大賞』結果
1位:のうりん/GA文庫 著;白鳥士郎 イラスト;切符
2位:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている/ガガガ文庫 著:渡航 イラスト:ぽんかん⑧
3位:雨の日のアイリス/電撃文庫 著:松山剛 イラスト:ヒラサト
4位:東雲侑子は短編小説を愛している/ファミ通文庫 著:森橋ビンゴ イラスト:Nardack
5位:六花の勇者/スーパーダッシュ文庫 著:山形石雄 イラスト:宮城
6位:問題児たちが異世界から来るそうですよ?/スニーカー文庫 著:竜ノ湖太郎 イラスト:天之有
7位:アウトブレイクカンパニー/講談社ラノベ文庫 著:榊一郎 イラスト:ゆーげん
8位:葵~ヒカルが地球にいたころ~/ファミ通文庫 著:野村美月 イラスト:竹岡美穂
9位:こうして彼は屋上を燃やすことにした/ガガガ文庫 著:カミツキレイニー イラスト:文倉十
10位:犬とハサミは使いよう/ファミ通文庫 著:更伊俊介 イラスト:鍋島テツヒロ
各作品に付けられたコメントや、その他に投票のあった作品は「虎とラッパ」のウェブ上で公表されています。
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