独占インタビュー「ラノベの素」 二丸修一先生『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2021年2月22日に電撃文庫より『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』第6巻が発売された二丸修一先生です。第2巻刊行時にもインタビューにはご登場いただいており、このたびは2021年4月より放送開始となるアニメ放送を記念して再登場となります。シリーズ発売以降、作品やパッケージ、PVでも話題を呼び続けてきた本作。最新刊の話題はもちろん、放送を間近に控えるアニメ化の裏話や、新たに始動した志田家四姉妹のスピンオフコミックについてなど、様々にお話をお聞きしました。

※フリーペーパー「ラノベNEWSオフライン2021年2月号」には本記事未掲載のインタビューも掲載されています。

 

 

幼なじみが絶対に負けないラブコメ6

 

 

【あらすじ】

大学の学園祭から舞台出演のオファーを受けた群青同盟。久々の演劇にやる気十分な末晴と、役者同士で距離を詰めるチャンスと意気込む真理愛。まさかの「モモ大勝利♪」となるのか!? しかし、捨てたはずの両親が真理愛の前に現れて――。舞台の演目は「人魚姫」。ヒロイン役の真理愛に加え、黒羽と白草も芝居に挑戦していると、そこに話を聞きつけたハーディ・瞬と現役最強アイドルの雛菊が現れる。勃発した雛菊との役者勝負によって、トラブルを抱えている真理愛のチャンスは一転、モモ大ピンチに!? 理想の妹VS最強アイドルのバトルに混迷を極める、ヒロインレース第6弾!

 

 

――ご無沙汰しております。2019年10月のインタビュー以降も『おさまけ』の人気ぶりは凄まじいですね。

 

前回のインタビューが第2巻の発売に合わせてだったと思うんですけど、あれからもありがたい状況が続いています。当時はPVやCM映像なども動き出しつつ漫画化も決定といった、私にとってはこれまで経験したことのない、夢のような企画が続いていた時期でもありました。以前にも語ったのですが、第1巻や第2巻で打ち切りになってしまうということが長らく続いていた作家人生だったので、第1巻の反響や第2巻への期待をはじめ、嬉しさとプレッシャーが入り混じっていたんですよね。

 

 

――当時の反響に対して、二丸先生は「怖い」という表現をされていましたよね。

 

あの当時の反響は、自分にとっては未知の恐怖でしたね(笑)。兼業とはいえ、10年近く作家業をやっていたわけで、そういう意味でも新しい場所へ一歩を踏み出せるのではないかという、予感めいたものを感じていた部分もあったと思います。第1巻の好調さは本当にすごくて、目標としていたアニメ化も「ひょっとしたら可能なのでは?」と夢を抱き始めた時期でもありました。

 

 

――当時から発行部数はさらに増え、シリーズ累計も50万部を突破しています。

 

評価いただけているのは本当に嬉しいです。『おさまけ』は何かひとつが優れていて評価をいただいているわけではなく、合わせ技の結果なのかなと思っています。しぐれうい先生のイラストや構図が良かったとか、タイトルがよかったとか、その後にようやく自分の書いている物語が出てくるようなイメージですね。特にパッケージの印象の大切さは、売れた今だからこそ一層強く感じている部分でもあって、PVやCMで多くの方にパッケージを見ていただけたことが、今に繋がっているんだと強く感じます。この結果は「チームおさまけ」によって成し得たことなのかなと思います。

 

幼なじみが絶対に負けないラブコメ_口絵

※シリーズ累計50万部を突破した『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』

 

 

――本作をスタートしてから約1年半が経過しましたが、ご自身の中で変化したことはありましたか。

 

自分の中ではもうそんなに時間が経ったのかという感じです(笑)。変化に関しては、10年近く続けてきた兼業作家から、専業作家になりました。それこそ10年続けてきた仕事を辞めるのかどうか、そういった判断も含めて人生の岐路に立った1年でもあったと思います。コロナウイルスの影響をはじめとして、世の中の環境も大きく変わったじゃないですか。私自身、専業となるにあたっては、後悔なく全力で作品作りに取り組むための決断でもあって、その想いは日に日に強くなっています。岐阜から東京に居を移し替えたことも大きな変化のひとつでしたね。

 

 

――10年続けてこられた仕事を辞めるというのは、本当に勇気が必要だったと思います。

 

退職については、我ながらチャレンジだったと今でも思います(笑)。決断の大きな要因は、第2巻が発売されてからの1ヶ月でした。第2巻発売後の読者さんの反応やPVの施策も好評で、重版の規模も驚く程に大きく、他の作品と比べても「これはちょっと違うことが起こっている」という感想を抱く程でした。だからこそ、自分も作品に対する体制作りをしなくちゃいけないという気持ち、そして『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』は、自分の人生を賭けるべき作品なのだという覚悟をした1ヶ月でもありました。職場に退職の意思を告げた2019年末時点では、アニメ化の「可能性」こそ内々に囁かれてはいましたが、なにひとつ確定していたわけではありません。「可能性」が囁かれていながらもアニメに至らないパターンもたくさんあるわけで、数年が経過して結局実現しませんでした、となることも織り込んでいました。原作小説だって続刊から急激に落ち込む可能性もありますし、そういった怖い面が脳裏を過ぎらなかったわけではないです。それでも『おさまけ』が自分の人生の岐路にある作品だという予感はありましたし、いろいろ吹っ切ってやるしかないと決断した感じですね(笑)。

 

 

――まさにその決断が功を奏することになったと思います。あらためてアニメ化決定……それどころかもう放送間近なのですが、おめでとうございます!(笑)。

 

ありがとうございます。アニメ化の可能性を見据えていたとはいえ、自分の予想よりも随分早く実現することとなり、非常に驚きました。退職の覚悟云々と語らせていただいたものの、心の内にはもう1年か2年は仕事を続けようかと悩んでもいましたからね(笑)。結果として、自分の判断は間違っていなかったのかなって思います。私自身、自分の作品がアニメ化されるのであれば、少しでも多く関わっていきたいという気持ちはありましたし、仮にもう1年仕事を続けていたとしたら、ほとんど関わることはできなかったと思っています。仕事を辞めるのが間に合わず、本来であれば参加できたはずのものに参加できなかったという後悔だけはしたくありませんでした。

 

幼なじみが絶対に負けないラブコメ アニメ化記念ビジュアル

※2021年4月よりTVアニメ放送がスタート!

 

 

――記憶としては少し遡る形になると思うのですが、あらためてアニメ化決定のお話を受けた際の感想をお聞かせください。

 

初めて決定ですと聞かされた時は、喜びとか驚きの前に「はやっ!」って感想でしたね(笑)。『おさまけ』はシリーズの開始が2019年6月で、アニメ化の決定は1年経たないうちに決まりました。当時はまだ岐阜に住んでいて、退職の意思を伝えた後ではありましたけど、アニメ化決定のお話をいただいた後も職場で仕事をしていたので、現実感はありませんでした(笑)。以前のインタビューでもアニメ化が目標と言わせていただいていましたし、それこそ小説を書き始めてから聞かれる目標についてはいつもアニメ化を挙げていました。私自身、それだけアニメも好きで、目標達成までに十数年かかったこともあって、本当にありがとうございます的な感じでしたね。

 

 

――アニメ化の発表は昨年10月でしたが、スピード感は本当に早かったと思います。二丸先生ご自身、アニメには少しでも多く関わりたいというお話もありました。実際にうまく関わっていけていますか。

 

そうですね。私自身、アニメの原作者として少しでも多く関わりたいとは思っていた一方で、どう関わるべきかというのは非常に悩みましたし、今もまだ悩んでいる感じです。アニメ化決定のお話をいただいた後、アニメ化を経験されている知り合いの作家さんなど、聴ける範囲でアニメへの関わり方や気を付けた方がいいことなどを聴いていたのですが、正直なところ結論はありませんでした(笑)。アニメ制作における個々の座組みも異なりますし、作家さん自身の性格もあるので、関わって良かったという方もいれば、深く関わらないようにしたことが結果として良かったという方もいらっしゃいました。結局、これは絶対にやった方がいいということはひとつも見つからず、自分で考えるしかありませんでしたね。

 

 

――アニメ制作を多くの人と関わって行う「仕事」という面で見ると、二丸先生の10年に渡る社会人経験はすごく強みになりそうな気がします。

 

そこはもう本当にその通りというか、頼るべきところがそこしかないというか(笑)。でも最終的には自分の社会人経験から考え方を引っ張ってくることにしました。まず、思ったことや建設的なことで言うべきことは言おうと。でも足を引っ張らないよう、スタッフの方々には敬意を払いながら向き合おうと考えました。私から問題提起や気になる点について指摘をさせていただいて、その問いに対する戦略・狙いや意図があるというお返事をいただければ、後はプロである皆さんにお任せするというスタイルですね。これは自分が社会人として経験してきたことのひとつで、主張と主張とがぶつかりあった時に、お互いの主張の中間点を落としどころにしてしまいがちなんですけど、結果としてどちらかの主張に寄せてやり切った方がよかったと思うことも多くあったんです。中間点はお互いの妥協点ではなく、お互いがそれぞれやりたいことをやれない中途半端になってしまうパターンですね。だからこそ、プロの視点で狙いどころがはっきりしているのであれば、アニメ制作に関して素人である自分は、皆さんを信じてお任せすることにしようと。

 

 

――なるほど。折り合いのつけ方を明確化されたのですね。

 

それもそうですし、原作者としてはいい作品を作りたい、その方向性を示し続けるのが一番大事なのかなと思っています。関われるところには関わらせていただいて、お任せすべきところは皆さんにお任せする。そして皆さんのやる気を削ぐようなことはしない。もし自分がみなさんのやる気を1%でも下げちゃったら、私がどんなに150%のやる気で臨んでも、結果としてクオリティが1%下がってしまいます。みなさんに気持ちよくやっていただくことが、良い結果に繋がるんじゃないかと思って取り組んでいます。

 

 

――ご自身がアニメにどう関わっているのか、具体的に言えるところがあればぜひ教えてください。

 

そうですね。まずシナリオ会議にはすべて出席させていただいていますし、脚本についてもかなり指摘をさせていただいていると思います。それこそ、こんなに私のお話を聞いていただけて驚きです、とスタッフさんに言ったくらいです(笑)。コンテのチェックなどもさせていただいたりと、こんなに関わらせていただいて、スタッフのみなさんには感謝しかありません。シナリオは自分もしっかりと関わっていますので、視聴者の方にも満足いただけるんじゃないかなと思います。

 

 

――アニメの声優陣も気になるトピックスだと思うのですが、メインヒロインはPVからそのまま引き継ぐ形になりましたよね。

 

これはアニメ化決定の際に、「ご希望はありますか?」という『バクマン』のようなことを実際に言われてびっくりしたことでもあるんですけど(笑)。編集者さんとも色々と相談した結果、PVを担当していただいた水瀬いのりさんと佐倉綾音さんには続投をしていただきたいというお願いをしました。『おさまけ』のPVは100万回再生を突破していて、メディア化していないライトノベルPVの先駆けのようなものになってくれたと思っています。このPVも間違いなく『おさまけ』というコンテンツにおける功労者で、なんとかご一緒したいという思いがありました。加えて100万回も見られているということは、書籍をお二人の声で脳内再生しながら読んでいる層も間違いなくたくさんいるはずなんです。となると、どんなに素晴らしい別の声優さんをお招きしたとしても、相当数の視聴者は違和感を抱いてしまう可能性も考えました。読者を裏切らないという意味でも、ここだけはお願いさせていただきました。

 

 

 

――そしていよいよ2021年4月よりアニメ放送が開始となります。ご自身としてアニメに期待していることがあれば教えてください。

 

期待していることはたくさんあるんですけど、小説は文字だけで、現代のエンタメコンテンツにおいては要素が少なめなコンテンツです。一方アニメは映像があって音楽があって、音声もある。そして再生するだけでそのすべてが流れる非常に便利なエンタメコンテンツだと思っています。その分、たくさんの方に見ていただける可能性への高まりは大きな期待ですし、映像化ゆえの要素の追加は、新たな面白さが生まれるということでもあると思っています。アニメでは自分以外の手も多く加わっていますし、その相乗効果によって『おさまけ』がどう面白くなるのかは非常に期待しています。

 

 

――また、1月27日に発売された「コミックアライブ3月号」では、『おさまけ』のスピンオフコミカライズ『お隣の四姉妹が絶対にほのぼのとする日常』もスタートしました。

 

今回のスピンオフはタイトルからもわかるように、志田家の四姉妹に焦点をあてています。黒羽、碧、蒼依、朱音の4人ですね。視点上におけるメインは三女の蒼依です。彼女の視点から、四姉妹のドタバタシーンが描かれていきます。自分自身もこの四姉妹はすごく好きで、もっと書きたいとは思っているんですが、どうしてもメインルートからは横にズレたところにいる娘たちなので、ネタはあるけど出せないという状況が長らく続いていました。そんな折に「スピンオフをやろうと思うんですが」とお話をいただき、四姉妹の企画を採用していただきました。葵季むつみ先生にもすごく可愛く四姉妹を描いていただいているので、本編とは違う、1話1話を楽しめるコミックにも注目していただければと思います。

 

幼なじみが絶対に負けないラブコメ お隣の四姉妹が絶対にほのぼのとする日常

※志田家四姉妹の日常の物語が「コミックアライブ」にてスタート!

 

 

――四姉妹のお話の流れからお聞きしたいのですが、原作における黒羽を除く三姉妹はどういった立ち位置なのでしょうか。第3巻で触れられた末晴への気持ちは、非常に胸にくるものがありました。

 

まず前提になりますが、自分は負けヒロインが好きなんですよ、ここ大切です(笑)。ゆえに彼女たちの立ち位置はある程度決まっています。黒羽、白草、真理愛のメイン3人は、負けヒロイン的な要素を兼ね備えつつも、全員が勝ちにいっているので、本来負けヒロインが有する「負け確と理解しつつも相手を想ってしまう」という、魅力的な感情を描くことができないんです。そんなメインヒロインに持たせられなかった魅力を、碧、蒼依、朱音の3人がそれぞれ持っているんです。蒼依は既に精神的に負けていて、姉である黒羽が好きだし、誰も傷つけたくないという、ある意味一般の負けヒロインの良さを持っています。そして朱音は無自覚な恋ですね。恋を自覚していないから戦う場に上がることができないものの、無自覚ゆえの純粋さや暴走さには魅力が詰まっていると思います。逆に碧は素直になれない想い、ですよね。薄々自分の感情には気づいているのに、いろんな要素から恋に蓋をしてしまっている。同じ恋の仕方でも全員違う魅力を持っているからこそ、四姉妹それぞれにはファンもいて、そういった琴線に触れているんじゃないかなって勝手に思っています(笑)。だからこそ自分は四姉妹への愛着をすごく持っているんですよね。

 

おさまけ挿絵

※四姉妹の心の機微や変化にも見逃せないシーンは多い

 

 

――なるほど……。となると、志田家の黒羽を除いた四姉妹にはもうチャンスはないと……。

 

う~ん、それはまぁどうでしょう(笑)。先ほどお話ししたメインヒロインたちの『勝ちに行く姿勢』が果たして勝利を掴む鍵となる要素なのかというのは悩みどころですし、むしろ『負けると思っているからこそ最終的に勝つ』という展開は魅力的に感じます。私自身もまだまだ迷っているところはあるし、四姉妹好きが楽しめる展開も入れていければと思っています。第3巻でグッとそういった部分に触れつつ、以降の巻では着目してこなかったんですが、逆に完全放置もしていたわけではありません。時々描かれる志田家の食卓のシーンでは、彼女たちの心の動きや状況の報告を逐一やってきました。いずれ自分も書きたいというメッセージは少しずつ混ぜ込んでいたんですよ(笑)。そして、第6巻の巻末予告でも触れていますが、第7巻では志田家の双子編でやります。こちらは4月に発売されるので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。

 

 

――ありがとうございます。第6巻のお話をしていただく前に、第7巻の話題が出てこようとは(笑)。先の展開も楽しみにしつつ、第6巻までの振り返りをお願いしてもよろしいでしょうか。

 

そうですね。私自身、『おさまけ』には過剰な青春や楽しい修羅場を、本作らしさとして通そうと思っていますし、これは今も変わっていません。また、『おさまけ』は各巻でもテーマをそれぞれ持っています。第1巻は「復讐」、第2巻では「新たな要素の提示」、第4巻における「【おさかの】という概念への挑戦」や直近の第5巻の「群青同盟を外す」といった、挑戦を繰り返している感じです。

 

 

――挑戦を繰り返されていると、自然と思い入れの強い巻なども出てきそうですがいかがですか。

 

思い入れというよりは、殊勲を与えるなら、という観点では第2巻になると思います。群青同盟や志田家四姉妹の登場、そして真理愛といった新キャラクター。読者に評価をいただけた第1巻の要素を引き継ぎつつ、新しい要素をたくさん入れることができました。この第2巻を読者の皆さんに受け入れていただけたことは、『おさまけ』というシリーズを続けていく上で、本当に大きかったと思っています。

 

幼なじみが絶対に負けないラブコメ2

※新たな要素が多く盛り込まれた第2巻は作品としても大きな役割を果たした

 

 

――第6巻までを振り返りつつ、ご自身の想定とは異なる形で、勝手に動き出したキャラクターはいましたか。

 

勝手に動き出しているわけではないのですが、自分の中で存在感が高まっているのは蒼依かなって思います。主要キャラクター3人には、皆さんに掘り下げた部分を多く見せることができていると思っています。もちろんこれからも新しい面や魅力も出していきたいですけど、サブキャラクターに至ってはまだまだだと感じているので、掘り下げていない部分にどうしても目がいってしまうんですよね。蒼依をはじめ、サブキャラクターに目がいく機会が自分の中では確実に増えています。

 

 

――それでは発売された第6巻の内容や見どころについて教えてください。

 

第6巻は表紙でもわかる通り、真理愛回になります。第5巻がコメディ寄りで、群青同盟の話題にもほとんど触れていなかったことも大きな伏線になっており、第6巻はシリアスかつ演劇のお話をがっつり描かせていただきました。真理愛も末晴も元々子役だったということもあるので、本格的な演技シーンというか、演技に足を踏み入れた物語も描かなくてはと思っていました。真理愛については両親から逃げているという少し重めの設定もあり、彼女の掘り下げはもっと早くにやりたかったんですけど、このタイミングになってしまいました。ただ、真理愛の人気は巻を追うごとに高まっている空気を感じていますし、彼女のこれまでになかった面もたくさん書けたと思うので、真理愛ファンの皆さまにはぜひ楽しんでいただきたいと思います。

 

幼なじみが絶対に負けないラブコメ6_口絵

※第6巻のエピソードは真理愛ファン必見!

 

 

――ちなみにCMで「ヒロイン全員幼なじみ」とありましたが、「ヒロインが全員幼なじみだから『幼なじみが絶対に負けない』」なのでしょうか?

 

自分としては「ヒロイン全員が幼なじみがだから『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』とは当初からまったく考えていない」です。ミステリーでは「孤島」という枠を作ることで、「殺人犯はこの島にいる!」と犯人を限定するのはよくあると思います。それと同じで「ヒロイン全員幼なじみ」は条件を限定するための枠です。「ヒロイン全員幼なじみ」としてそのままタイトルにあてはめるのならハーレムルートしか考えにくくなくなっちゃいますしね。おさまけは意図的に情報を伏せていることが多く、タイトルもそうで、幼なじみの定義とは何か、負けないのは「どの」幼なじみなのか、そもそも負けるとは「何に」対してなのか。それこそ一巻の時点でみんな負けていると見ることも可能でしょうが、様々な視点で見たり、何を持って負けとするのかを考えたりすると、決して負けていないことがわかると思います。私はラブコメを楽しむとき、謎に対して友達と先行きを予想し合ったり、推しを語り合ったりするのが好きです。それもあり、考えることや語ることは、最高のエンターテイメントの一つと思っているんです。それができるような作品にしたいと思って執筆しているので、もしそういう楽しみ方をしてもらえていたら嬉しいですね。初期から「ヒロインレースをしたい」と編集者に話しており、第一弾PVからヒロインレースという言葉が使われているのもそのためです。

 

 

――ありがとうございます。さて、2021年4月からのアニメ放送。そして原作小説の隔月刊行と、これからも本作の話題は盛りだくさんです。最後にファンのみなさんに向けて一言お願いします。

 

自分自身が打ち切りを続けてきた人間なので、まずは長期連載できていることがすごく嬉しいです。そして本当にたくさんの方に応援をいただけているという経験も今までにはなかったことなので、拙い面もたくさんあるとは思うんですけど、『おさまけ』が様々な形で広がっていくところを楽しんでいただけたらと思っています。自身の目標としていたアニメ放送も開始目前となりました。皆さんの応援の力があるからこそ、物語は続きますし様々な展開を行うことができます。これからも面白い物語を提供していきたいと思っているので、皆さんも一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。

 

 

――本日はありがとうございました。

 

 

<了>

 

 

「恋と青春と復讐」、そして「負けない幼なじみ」をテーマにした注目のラブコメ『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』を綴る二丸修一先生にお話をうかがいました。広がり続けている『おさまけ』の世界はもちろん、まだまだ行方が見えないヒロインレースも気になるところ。主人公の周囲にいるどのキャラクターからも本当に目が離せません。2021年4月より待望のTVアニメ放送も開始となる『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』は必読です!

 

 

<取材・構成・文:ラノベニュースオンライン編集長・鈴木>

 

©二丸修一/KADOKAWA 電撃文庫刊 イラスト:しぐれうい

©2021 二丸修一/KADOKAWA/おさまけ製作委員会

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[関連サイト]

TVアニメ『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』公式サイト

『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』原作特設サイト

『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』公式Twitter

電撃文庫公式サイト

 

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幼なじみが絶対に負けないラブコメ6 (電撃文庫)
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幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)

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