独占インタビュー「ラノベの素」 白石定規先生『魔女の旅々』&『ナナがやらかす五秒前』

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2023年3月15日にGAノベルより『魔女の旅々』第20巻と『ナナがやらかす五秒前』が発売された白石定規先生です。作家生活7周年を目前に控え、『魔女の旅々』はいよいよ第20巻へと突入し、そしてこのたび完全新作となる『ナナがやらかす五秒前』も刊行されました。これまでの作家生活を『魔女の旅々』と共に振り返っていただきつつ、新作『ナナがやらかす五秒前』に詰まっている魅力についてなど、様々にお話をお聞きしました。

※3月20日頃設置開始のフリーペーパー「ラノベNEWSオフラインvol.12」には本記事未掲載のインタビューも掲載されています

 

 

魔女の旅々&ナナがやらかす五秒前

 

 

――それでは自己紹介からお願いします。

 

白石定規と申します。作家としての経歴は2016年4月にGAノベルよりデビューしまして、現在に至るまでライトノベル作家として活動させてもらっています。また、2021年の年末頃から専業作家として活動するようになりました。出身は熊本県のかなり田舎の方なんですが、現在は都内在住です。好きなものは猫で、専業となったタイミングに2匹の猫を飼いはじめまして、一緒に暮らしています。

 

 

――現在は専業で活動されているんですね。何か専業をきっかけに、ハマっていることや始めたことはあったりしますか。

 

そうですね、専業になってから自分で料理をするようになりまして、ちょこちょこと作っています。今はYouTubeでプロのレシピなんかもすぐに見られるじゃないですか。ちょうど先日、スパイスからカレーを作りましたよ(笑)。

 

 

――めちゃくちゃ本格的ですね(笑)。

 

結果はあんまり美味しくなかったんですけどね(笑)。おそらくスパイスの調整を間違えたみたいで、とにかく辛かったです。料理は絶賛勉強中ではあるんですけど、最近はそれが楽しみです。今回のカレーのように少しずつ凝るようにもなってきていますし、いろいろ挑戦してみたいなって思います。

 

 

――また作家デビューされてから、7周年が目前となりました。こうなると10周年も当然視野に入ってくると思いますが、あらためてデビューからここまでの作家生活を振り返っていただけますでしょうか。

 

そうですね、とにかく何かが常に動き続けていた6、7年だったかなって感じます。デビュー当時がちょうど学校を卒業して働き始めた時期でもあって、作家と社会人を一緒にデビューした感じでもありました。最初の1年はなかなか思うようにいかず戸惑いもたくさんありましたが、おかげさまで2年目、3年目になると少しずつ売上も伸びていくようになりました。とにかく最初の数年は試行錯誤の繰り返しでしたね。その後、『魔女の旅々』がドラマCD化されたり、アニメ化されたりと軌道に乗ってからは仕事量が倍増し、忙しく慌ただしい日々を送っていたと思います。会社員生活は1年を通して大きく代わり映えのある仕事ではなかったのですが、作家業の方は本を出すたび、そして原稿作業を行うたびに身の回りのことが変化していきました。僕もここまできたら10周年は当然目指したいですし、今後も変化を続けていきながら10年目を迎えられたらいいなと思っています。

 

 

――なるほど。兼業で長らく活動されてきた中、専業作家としての活動を選択されたわけですね。コロナ禍もまだまだ猛威を振るっていた時期だったと思いますし、専業の道を選択する上で不安はありませんでしたか。

 

それで言うと今でもずっと不安ですよ?(笑)。専業作家として舵を切ったのは、書きたいお話ややりたいことが増えてきて、兼業のままではちょっと間に合わなさそうだなと感じたからですね。書きたいお話ややってみたいお話というのも、ずっと待ってもらえるわけじゃないですし、作家業をいつまでも続けていけるかもわからないじゃないですか。だから挑戦するしかないと思いました。もちろん専業となったことで、毎月会社員としてもらえていた給料もなくなるので、安定感を失うことに対する不安はいまだに強いです。デビュー当時は専業作家になりたいと思っていました。なのに作家業を続ければ続けるほど、専業作家になることが怖くなってもいったんですよね。専業に踏み切るタイミングがあったからこそ専業作家になるという選択をしましたけど、今のところはデビュー当時の憧れよりも恐怖心が勝っています(笑)。

 

 

――兼業と専業、どちらを選択するのかは大変難しいお話だと思います。白石先生が専業になられたのは2021年末で、『魔女の旅々』のアニメ放送は2020年だったと思います。作品のアニメ化がご自身の決断に与えた影響もあったのでしょうか。

 

これは間違いなくあったと思います。アニメの仕事がひと段落して、ふと自分のキャリアについて思うところがあったといいますか。何年か専業で作家業をやってみてもいいのかなという心境の変化はありました。ただ何度も言いますけど、専業に舵を切るのは怖かったです。今でもその選択が正しかったのかどうかわからないですからね(笑)。

 

 

――ありがとうございます。さて第20巻が発売された『魔女の旅々』ですが、2014年に一度Kindleで販売を開始し、2016年よりGAノベルで刊行をスタートすることになりました。商業作品として刊行してから、現在までの反響をどのように受け止めていますか。

 

『魔女の旅々』についての読者さんからの反響は全部嬉しいものばかりです。もともとは2014年に自費出版という形でKindle版を出させていただいていました。2010年頃からWEBの媒体で小説を書こうと思っていたんですけど、『魔女の旅々』を書き始めたきっかけがありまして。そのうちの大きなものとして、当時はいわゆる「なろう系」が全盛期だったと思うんですけど、僕が読みたいと思っていた、それこそ『魔女の旅々』のような自分の好きな要素の詰め込まれた物語に、どれだけネットを巡っても出会うことができなかったんです。また、当時は「なろう系」というか「異世界系」以外の物語が受け入れられづらい風潮も感じていて、それが悔しかったというのもありましたね。なので、僕と同じようにゆっくり読める旅物語が好きだという人もきっといるはずだと思い、書き始めたのが『魔女の旅々』でした。結果としてそれをたくさんの方々に受け入れていただいて、ドラマCD化やアニメ化までいくことができたのは本当に嬉しいことで、今後もイレイナの旅物語をずっと書いていきたいなと思っています。

 

魔女の旅々

※『魔女の旅々』と共に白石先生の作家人生もスタートした

 

 

――なるほど。「なろう系」のお話も出てきましたが、白石先生はライトノベルを結構読まれていたのでしょうか。印象に残っている作品などもあれば教えてください。

 

ライトノベルについてはそこまでがっつりと読んでいたわけではないのですが、趣味のひとつとして手には取っていました。ただ、どちらかというとライトノベルよりも一般文芸作品の方を多く読んでいたかもしれませんね。僕が作家を本格的に目指し始めた頃に初めて読んだ長編小説が、伊坂幸太郎先生の『重力ピエロ』だったんですけど、物語の構成がめちゃくちゃ綺麗で、自分の作家人生の中でもベースの部分にあるというか、こういう綺麗なお話を書いてみたいなと思いました。自分の中で、作家としての目標地点のひとつとして捉えていたと思います。後は作家になってから読んだ辻村深月先生の『かがみの孤城』。かなり分厚い小説なんですが、1週間くらいかけて読もうと思っていたら本当に面白くて1日で読んでしまったりもしました。

 

 

――漫画やアニメで印象に残っている作品はあったりしますか。

 

めちゃくちゃメジャーな作品で申し訳ないんですけど、『僕のヒーローアカデミア』が大好きで、毎週楽しみに読んでます。あと最近だと荒川弘先生の『黄泉のツガイ』も楽しみに読んでいる漫画ですね。

 

 

――『僕のヒーローアカデミア』はちょうどアニメ6期も放送していますよね。ちなみにお好きなキャラクターを聞いても?(笑)。

 

アニメ6期もめちゃくちゃチェックしてますよ(笑)。好きなキャラクターで言うと、僕は爆豪勝己が好きなんですよ。堀越先生はすごいなと思ったのが、爆豪が緑谷出久にいじめていたことを謝罪したエピソードがあったと思うんですけど、あれを真正面から描くのかと。悪役というか、加害者側にも実は深い理由があってとか、勘違いしていてとか、振り返れば仕方のない理由があったという描き方をされることも決して少なくないと思うんですけど、爆豪はちゃんと普通にいじめていたんだなって(笑)。それを過ちとして反省する姿を描く。最近の作品ではあんまり見ないなと思いましたし、純粋にすごいなと思って読んでいましたね。

 

 

――ありがとうございます。ちょっと話題がズレてしまいましたが、せっかくなので『魔女の旅々』のアニメについてもあらためて振り返っていただいてもよろしいでしょうか。

 

すごくありがたいことに、未だにいろいろな声が聞こえてくるんですけど、僕は第9話のエピソードの衝撃は忘れられないですね。ざっくり説明すると、第9話「遡る嘆き」は友人がサイコパスになってしまった原因を突き止めるために過去へと戻る物語でした。そして諍いの結果、友人を殺めてしまうことになります。原作でもこのエピソードは暗めに書いたものの、僕はちょっとぼかして書いた部分もあったんです。ただアニメはそれを真正面から描き切った結果、衝撃的なエピソードとして反響をいただくことになりました。アニメを振り返って一番に思い返すのは、この第9話を見た読者の方や視聴者の方の反響ですね。ずっと強く印象に残っています。

 

魔女の旅々

※2020年にはTVアニメの放送も実施され話題を呼んでいた

 

 

――アニメ化によってご自身における作品解釈などへの影響はありましたか。

 

そうですね。『魔女の旅々』がアニメになるとなった際、制作陣の方々に「ここってどんな感じですか?」とか「この街並みはどんなイメージで書いていますか?」ってたくさん質問されて、「やべえ、全然わからないぞ」ってなったことがあって(笑)。自分の作品ではあるんですけど、街並みの描写や裏設定は、あまり深く捉えていなかった側面もあり、かなり大変だったと記憶しています。僕の書きたいことが「人と人との物語」だったので、ストーリー上ではさらっと流していた部分も多かったんです。それがアニメ化をきっかけにして、あらためてちゃんと考えないといけないと思うようになり、国の名前やキャラクターの名前などをデータで管理するようになりました。現在の執筆にもこれらのデータは非常に役立っていて、さすがに20巻にもなってくると登場人物もものすごく多くなります。それこそ名前の被りだって起きかねないので、資料を見直しながら書いています。とはいえ、他の作家さんが当たり前のようにやっていることを、自分が今更やり始めただけだと思うんですが(笑)。

 

 

――逆にそれまで一切管理されていなかったという点に、異なる凄さを感じてしまいますね(笑)。そんな本作ですが、イレイナの旅路の行きつく先は既に決まっていたりするのでしょうか。

 

はい、一応終わりの流れはある程度決まっています。ただ、そこに行きつくまで、どれぐらいかかるのか。本当に終わるのかみたいな、かなり時間はかかるんじゃないかなとは思っていますね(笑)。

 

 

――なるほど。イレイナとの旅はまだまだ続きそうですね(笑)。

 

そうですね(笑)。イレイナは自分の考える可愛い要素の塊、理想としている女の子として描いています。彼女の毒のある口調とかも、当初からこういうキャラクターが可愛いと思って書いていますし、20巻を迎えてもその気持ちは一切変わっていないですね。今後もイレイナと一緒に物語を書き続けていきたいです。

 

魔女の旅々

※イレイナと共に物語を書き続けていきたいという白石先生

 

 

――一緒に物語を紡いでいくという意味では、イラストを担当しているあずーる先生ともかなり長くタッグを組まれています。お二人はお話をする際、どんな話題で盛り上がるんですか。

 

まず、あずーるさんについては毎回イラストがあがってくるたびにすごいなと思いながら拝んでます。常に想像を超えるイラストを表紙として描いていただいていて、驚かないことがありません。また、7年近くご一緒させていただいているので、友人に近い感じで飲み会の場ではお喋りしていますね。基本的にプライベートの話ばかりで、創作に関する熱い話とかは全然ないです(笑)。

 

 

――あらためて『魔女の旅々』は白石先生ご自身にとってどんな作品でしょうか。

 

僕の作家生活そのものって言えると思います。ストーリーのテーマにするお話はそれこそ様々ですが、普段見聞きしているニュースや時事ネタ、私生活で起こったこと、そういったものを目にした時に生じる自分の感情なども物語のベースになったりもしています。自分自身の思想は横に置いておいて、日々の生活で感じることが物語になっているので、作家生活そのものと表現させていただきました。

 

魔女の旅々

※まだまだイレイナの旅物語は続いていくことになりそうだ

 

 

――ありがとうございます。それでは『魔女の旅々』第20巻の物語について、そして特装版に同梱される『魔女の旅々 学園』について教えていただけますでしょうか。

 

第17巻から第19巻までを読んでこられた方はわかっていただけていると思うのですが、しばらくこれまで通りの『魔女の旅々』の進行をしてきていませんでした。第20巻については、ある意味で従来通りの『魔女の旅々』になっていると思います。イレイナの視点でみていく新たなキャラクター達の物語を楽しんでいただければと思います。

 

魔女の旅々20

 

そして特装版に同梱される『魔女の旅々 学園』はセルフパロディになっています。こちらは本編ではなかなかできないキャラクター同士の組み合わせや絡みを描いています。フランやシーラも教師役として登場しますし、本編だけでなくぜひこちらもあわせて読んでいただけたらと思います。

 

魔女の旅々 学園

※第20巻はもちろん、特装版限定のセルフパロディ『魔女の旅々 学園』も見逃せない

 

 

――では続いて新作となる『ナナがやらかす五秒前』についてもお聞きしていきたいと思います。まずはどんな物語なのか教えてください。

 

簡単にお話しますと、ナナとシノとユカという3人の女の子がいまして、その3人の女子高生が織り成す日常コメディです。漫画でイメージすると『日常』とか『女子高生の無駄づかい』を想像していただくとわかりやすいかもしれません。女子高生同士の絡み、シリアスな要素が一切ないコメディ作品です。

 

 

ナナがやらかす五秒前

 

 

【あらすじ】

織上高校の料理研究同好会に所属する三人組――。「私のやらかしを当ててみて?」 常にテンションMAXの暴走系ボケ役のナナ。「やだよ面倒臭いし」 隠れオタク系ギャルでツッコミ役のユカ。「ばか。頭の中身がサファリパーク」 脅威のIQを誇る無気力系不思議ちゃん役のシノ。個性あふれる女子高生たちが辛口店主、Vtuber、謎の犯罪組織、異世界人、幽霊、神様たちと織りなす、驚愕の日常を一緒に楽しく観察しませんか? 部活、バイト、オタ活、動画配信、肝試し、テスト勉強と楽しい日常イベントが満載です。『魔女の旅々』シリーズ著者・白石定規の最新作、さっくり読めちゃうガール・ミーツ・ガール連作短編集!!

 

 

――本作は完全新作とのことですが、着想や執筆のきっかけはなんだったのでしょうか。

 

『魔女の旅々』のドラマCDの原稿を提出するたびに、担当編集さんからは「こういうコメディをラノベでやってみたら?」というアドバイスを何回か受けていました。ただ、当時は兼業でもありましたし、自分もそういった作品を書くつもりがなく、ずっと断っていたんです。それからドラマCDを5、6回やったくらいのタイミングだったでしょうか。専業になるかどうか悩む中で、仮に専業になるのであればこういうお話を書いてみても面白いんじゃないかなと思い、コメディ作品を書き下ろしてみようと考えました。実を言うとコメディ作品は好きで、原稿も残っていませんが、Kindle版の『魔女の旅々』を書く前はコメディ系の作品を書いていたんですよ。僕がもともと目指していた作品像のひとつがコメディだったので、懐かしいなと思いながら書いています。

 

 

――登場する3人の女子高生でとにかく笑ってしまう本作なのですが、コメディやギャグ系の作品を書かれる作家さんは、お笑い好きな方が多い印象です。白石先生はいかがですか。

 

まさにおっしゃる通りで、自分は東京03のコントが大好きなんですよ(笑)。学生時代にエンタの神様で東京03を見ていたので、お話の組み立ての部分で影響は多く受けていると思います。東京03のコントですごいなと思うのは、ツッコミが1人、ボケが1人いて、ボケでもなんでもない人が1人いるんですよね(笑)。飯塚悟志さんがバチバチにツッコんで、角田晃広さんがボケたりする。そして豊本明長さんがボケでもツッコミでもなく、時々変なことを言う人っていう話の作りが多く、それが癖になる。毎回ツッコミの飯田さんが辛そうにしているというコントが多いんですけど(笑)。お笑いではボケとツッコミがメジャーなんですけど、ボケとツッコミと変な人みたいな組み立て方は、非常に衝撃を受けました。そして本作のメインは3人の女子高生で、その立ち位置はかなり意識して書いた部分は多いと思いますね。

 

 

――本作も『魔女の旅々』同様に連作の形式となっていますが、そのぶんエピソードの数も必要ですよね。笑いを誘うエピソードをどう作っているのか非常に気になります。

 

具体的には表現しづらいのですが、日常生活の中で、たとえば喫茶店に行っている時に目に入った物事を、こうなったら面白いだろうなって想像しながら膨らませて、エピソードのきっかけにすることは多いかもしれません。最初からキャラクターにどんな役割を割り振るのかも別段決めているわけではなく、書き始める時に自然と決まっていくことが多いですね。このキャラクターで笑いを取ろう、みたいな視点で書くことはほとんどないかなと思います。

 

 

――なるほど。作中では様々なエピソードの中で女子高生たちが躍動しているわけですが、白石先生ご自身の実体験がもっとも反映されているエピソードがあれば教えてください。

 

ゲームが楽しみすぎてネタバレを極端に避ける、みたいなエピソードがあるんですけど、これは僕の実体験が元ネタになっていますね(笑)。『エルデンリング』が発売された当時、僕は原稿がかなり忙しくて、すぐに遊ぶことができなかったんです。でも周囲はどんどんプレイしていて、SNSを見れば『エルデンリング』のネタバレがあるし、飲み会に行っても『エルデンリング』のネタバレがあるしで、すごい辛かった。その心境を元ネタにしたエピソードになっているので、ぜひ読んでいただければ(笑)。

 

 

――あのエピソードでは白石先生はナナの立ち位置だったんですね(笑)。ありがとうございます。それでは本作に登場するキャラクターについても教えていただけますでしょうか。

 

ナナは一応本作の主人公という立ち位置ですね。トラブルメーカー的な女の子で、普段から何も考えおらず、初対面の子にも「ひさしぶりー!」みたいな感じで絡んでいきます。明るく能天気で頭の中がからっぽの女の子って感じですね。

 

ナナ

※笑いの渦の中心にいるナナ

 

ユカは裏でVTuberをやっている隠れオタクな女の子です。見た目はヤンキーみたいな感じですけど、結構真面目ですね。基本はツッコミのポジションですが、エピソードによってはボケにまわる時もあります。本作においては一番書きやすいキャラクターでもあります。

 

ユカ

※ツッコミが冴えわたるユカ

 

シノは先程の東京03のお話でいうと、豊本さんポジションのキャラクターでもあります。ボケでもツッコミでもなく、研究好きの天才肌の女の子です。天才には変人が多いという僕の勝手な偏見から、おかしな言動もするし、ナナの変な思いつきにも噛み合える、ちょっと変わったキャラクターになっています。

 

シノ

※トリックスターのようなシノ

 

魔王は異世界の魔王ですね。女子高生3人と比べると、感性はまとも寄りです。ただ異世界である日本に関する知識がなく、3人と絡むと被害者的なポジションになります。

 

魔王

※異世界の魔王は女子高生3人に翻弄されて……

 

 

――動かしやすいキャラクターとしてはユカを挙げていただきましたが、苦労したキャラクターはいましたか。

 

一番考えたのはシノかもしれません。最初はあまりしゃべらない無口な感じだったんですけど、全然話が進まないので、もうちょっと喋らせようと調整したり(笑)。建付けは一番考えたんじゃないですかね。

 

 

――ありがとうございます。そして本作のイラストは92M先生が担当されています。あらためて印象やお気に入りのイラストについて教えてください。

 

コメディ系のタッチから、綺麗で可愛い女の子を描かれるところまですべてが魅力的で、『ナナがやらかす五秒前』の作品の魅力が詰まっていると思いながら拝見させてもらっています。特に印象的なのが、シノがお料理教室の動画で、材料を鍋に突っ込んだところに布をかぶせて手品をする、という自分でも何を言っているのかわからないシーンがあるんですけど、そういったコメディシーンの挿絵に勢いが詰まっていて、挿絵を見るだけでも面白いんです。書籍が発売されてからの反響がとても楽しみです。また、口絵のイラストもすごく凝っていて、壁に魔王がハマっているイラストも、状況がわけわからないですし、こういう変な話だよっていうイメージがつきやすいので、いいイラストだなと思います。

 

ナナがやらかす五秒前

 

ナナがやらかす五秒前

※笑いを彩るイラストも満載となっている

 

 

――では続いて、著者の視点から本作の見どころや注目してもらいたい点を教えてください。

 

内容以前にサクッと読めるのが、本作一番の魅力かなと感じています。この作品における読書シーンの想定イメージは、『魔女の旅々』や『祈りの国のリリエール』とは違って、電車の待ち時間やファミレスで料理を待つ間など、手軽に読める小話集なのかなと思っています。そして今回特に意識したのが、普段小説をあまり読まない人でも楽しめる作品でありたいと思いながら執筆したお話でもあるんです。漫画のようなイメージで楽しめる作品になっていればいいなと思います。作家業を続けていると、どうしても小説離れのようなものを感じる機会が多いんですよ。しっかりと腰を据えて本を読むという習慣が減ってきている気がするので、もっと手軽に触れられる、小説の入り口に立っているような作品でありたいなとは思います。コメディ漫画やアニメ、『日常』や『女子高生の無駄づかい』といった作品が好きな方は楽しんでいただけるんじゃないでしょうか。

 

 

――今後の目標や野望について教えてください。

 

『魔女の旅々』のアニメ2期はぜひやりたいですね!それも野望のひとつですし、『ナナがやらかす五秒前』という作品は『魔女の旅々』のドラマCDのノリで書いた作品なので、こちらもぜひドラマCDをやれたらいいなって思います。そして野望が多くて申し訳ないんですけど、特装版に同梱される『魔女の旅々 学園』は、特装版限定の作品で、現時点では単体での商業版になる可能性はありません。非常に可愛いイラストを描かれるnecömiさんとタッグを組めたので、この作品も商業版として出せるようになったら嬉しいですね。

 

 

――せっかくですので、作家生活10周年を目指すにあたって、成し遂げたいことや挑戦したいことなどもお聞かせください。

 

アニメの脚本はやってみたいです。仕事でゲームのシナリオをやったことはありますが、アニメ関連の仕事は一切触れたことがないので、機会があればチャレンジしたいなとは思います。あとは漫画原作ですかね。ライトノベルだけじゃない、別の形の文章の仕事にも挑戦していきたいです。

 

 

――それでは最後にファンのみなさんに向けて一言お願いします。

 

『魔女の旅々』のファンの方々に向けては、いよいよ20巻まできましたが、僕としては作家生活=本作だと思っているので、小説家という肩書きで在り続ける間は、イレイナさんと様々な物語を書いていけたらなと思っています。『ナナがやらかす五秒前』は、最近ちょっと笑えない世の中になってきている雰囲気を感じているので、頭をからっぽにして楽しめる作品として執筆を続けていければと思っていますので、ぜひ読んでいただいて、笑ってもらえたら嬉しいです。

 

 

――本日はありがとうございました。

 

 

<了>

 

 

作家デビュー7周年を目前に、『魔女の旅々』と共に作家生活を送ってきた白石定規先生にお話をうかがいました。シリーズとして人気を博し続けている『魔女の旅々』はもちろん、完全新作として動き出した『ナナがやらかす五秒前』、どちらの作品も非常に見どころは多いです。ゆったりと旅を楽しむ方は『魔女の旅々』を、そして頭を空っぽにして笑いたい方は『ナナがやらかす五秒前』を、どちらの作品も必読です!

 

<取材・文:ラノベニュースオンライン編集長・鈴木>

 

©白石定規/ SB Creative Corp. イラスト:あずーる

©白石定規/ SB Creative Corp. イラスト:92M

©白石定規/ SB Creative Corp. イラスト:necömi

©白石定規・SBクリエイティブ/魔女の旅々製作委員会

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[関連サイト]

TVアニメ『魔女の旅々』公式サイト

『魔女の旅々』原作特設サイト

『魔女の旅々』公式Twitter

GAノベル公式サイト

 

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