【特集】『転生したらスライムだった件』アニメ第2期決定&4作品同時発売記念インタビュー【第8弾:伏瀬先生&川上泰樹先生】
2019年3月29日に『転生したらスライムだった件』原作小説第14巻とコミックス第11巻、スピンオフ『転生したらスライムだった件 魔物の国の歩き方』第5巻、四コマ漫画『転スラ日記』第2巻が発売となった。アニメシリーズも第2期の制作が決定するなどまだまだ話題は尽きない。本特集記事では原作・本編コミックス・スピンオフコミックス・四コマ漫画の4作品同時発売、さらにアニメ第2期決定を記念して、第8弾となる記事をお届けする。今回は伏瀬先生と川上泰樹先生のお二人に、新たにスタートしたスピンオフ、発売される各最新刊やニコニコ静画で実施されていた人気投票の結果、そして第1期を終えたアニメについてなど幅広く語っていただいた。
・伏瀬(インタビュー内は伏)
GCノベルズより『転生したらスライムだった件』を第14巻まで刊行中。
・川上泰樹(インタビュー内は川)
月刊少年シリウスにて『転生したらスライムだった件』のコミカライズを連載中。
【過去の特集記事】
⇒【特集第4弾】伏瀬先生&川上先生&みっつばー先生&岡霧先生合同インタビュー
⇒【特集第5弾】伏瀬先生&川上先生&みっつばー先生&岡霧先生座談会風インタビュー
⇒【特集第6弾】伏瀬先生&川上先生&みっつばー先生&岡霧先生&柴先生合同インタビュー
⇒【特集第7弾】伏瀬先生&川上先生&みっつばー先生&岡霧先生&柴先生&明地雫先生合同インタビュー
●アニメ第1期放送終了、第2期の制作も決定
――本特集も2015年から続いて8回目となりました。アニメ放送を終えたと思いきや第2期の制作も発表されたわけですが、まずアニメは振り返っていかがでしたか。
伏:アニメについては企画をいただいた当初、物語のどこまでをやるのかというお話があったんですよね。案の中には第6巻までやりたいというお話もあった中で、贅沢かもしれないけれど2クールを使って、第3巻から第4巻あたりまでを可能な限り丁寧に描いて、なんとか第2期に繋がったら理想ですよねというお話もしていました。実際に第2期制作というお話が動き始めて、ただただ凄いなと。第1期で諦めざるを得なかったシーンを描いてもらえることになるので、第2期も気合を入れていい感じに仕上がってくれればと思っています。アニメ制作サイドのモチベーションは非常に高いので、出来る限りファンの皆様の期待に応えられればいいなとは思いますね。
川:放送されたアニメはすごくシズさんにスポットをあててくれていて、正直ちょっと泣いてしまいました(笑)。すごく動いて、音楽もあって、あらためてアニメの凄さを感じることもできましたね。特にシズさんの過去に関する掘り下げは、漫画では触れられていないところでもあって、嬉しい反面悔しさもありました。どこかで番外編として描きたいとは思っていたんですが、アニメで完成形を見せられてしまった気がして、やられた!と(笑)。
伏:シズさんの掘り下げについては、漫画は相談の上で後回しという判断にしたんですが、アニメでは先んじて拾った形になりましたね。
――アニメ本編終了後、リムルが転生する前の物語として番外編も放送されました。ディアブロとシズさんが登場する物語となったわけですが、リムルの転生前の物語は構想にあったんですか。
伏:構想自体はずっと前からありました。スピンオフとしてシズさんを主人公にした物語もいいですよねって常々口にしていましたから。ただ「じゃあ書いてください」と言われると、それはちょっと無理だよねという(笑)。代わりに誰かやってくれないかという話も難しいわけじゃないですか。なので、手を付けられていない状況が長らく続いているんですよ。アニメの第24話については突発的に決まったお話で、ぶっちゃけて言うとディアブロを本編とは区切っても登場させたいという、強い意志が働いたわけで(笑)。
※アニメ第24話に登場したディアブロ
――天からの一言ですね(笑)
伏:そうですね(笑)。なので、ディアブロの話を番外編として書き起こしましょうという発端があって、シズさんの登場については前提として考慮されたものではなかったんです。そういった中で、アニメはシズさんの物語でもあったので、最終的にはディアブロとシズさんを出そうと考えました。この二人を登場させようという以外は何も決めてなかったんですけど、アニメスタッフさんからはOKというお話がすぐさま返ってきて。
川:何も決めていなかったというのは、一文字も書いてない状態だったんですか?
伏:そうそう(笑)。話の概要もストーリーも一切ない状態で、みなさん「大丈夫です」って。「原作者の書き下ろしであれば、ファンの期待を裏切ることはないはず。ディアブロを出してください!」、そんな感じでとても寛容な心で決まったのが第24話でした。
――裏話にあたる面白エピソードですね(笑)。第24話はディアブロの登場回でありながらもシズさんの物語としての側面も非常に強く感じることができたのですが、物語の時間軸としてはどのあたりだったのでしょうか。
伏:時間軸としては、シズさんが勇者と別れた後です。英雄として全盛期の時代ですね。その中でも初期の頃です。そこから様々なエピソードを経ていくことになるんですよ。あの後も何度かディアブロと遭遇したり、邂逅するという物語も頭の中にあります。
※英雄として全盛期時代のシズとして描かれた
――ぜひとも小説として、物語として読んでみたいですね。
伏:宣伝というわけではないんですけど、Blu-rayの特典についている書き下ろし小説は、シズさんの全盛期時代の物語が書かれています。特典では主人公のリムルではなく、シズさんの物語に染められてます。本当はBlu-rayの特典で描こうと思っていたエピソードに「教導官編」というものもあったんですけど、特典の一部の物語が文量的に膨らんでしまった関係上、残念ながらお蔵入りになりました。西側でのシズさんの活躍を描いた物語で、ロッゾ一族との対立だとか、いろいろと構想はあったんですけど。
――ロッゾ一族との対立、原作読者は読みたくてたまらないエピソードですね……。
伏:一文字も書いてないので誰も知らないまま消えていく物語です(笑)。
――特典に限らず、お話をうかがっているとこれまでも見合わせてきたエピソードってかなりありそうに聴こえます。
伏:たくさんあります。書きたいエピソードでも物語の流れに乗らなければ当然お蔵入りになるので。見合わせたエピソードも特段メモをしていたりするわけではないので、次から次に忘れていってます(笑)。ストックどころか一文字も書いてませんから。忘却の彼方です。
川:その姿勢がとても清々しいですね(笑)。
伏:ふと思い出した時に書きたくなったりもするので、頭のどこかには残っているんだと思います。
――川上先生は漫画とアニメのエピソードが抜きつ抜かれつになっていると思うのですが、今後の刊行ペースはどうなりそうですか。
川:えーと、これまでよりはややゆっくりになるのかな? これまでの年4冊刊行から、年3冊とかになるかもしれません。一度私自身も体制を整えたいので、少しばかりお時間をいただきたいなと。ただ、アニメで第2期をやる以上、アニメに漫画が引き離され過ぎたくはないという思いもあるので、実際はもっと早く進めないといけない、という焦りもなくはないんですよね(笑)。
――これはいろいろなところで訊かれているとは思うのですが、アニメで印象に残ったシーンを教えてください。伏瀬先生は前回の座談会で、ほろりとくるならシズさんのシーンというお話もありました。
伏:第8話のシズさんのシーンですよね。結構きましたよ(笑)。
川:私も挙げるなら第8話かなって。ナレーションでシズさんの物語を締めにいったのはとても印象的でした。
●2本の新スピンオフコミックが始動
――では続いて、新たにスタートしたスピンオフコミック『転ちゅら!』、そして『異聞~魔国暮らしのトリニティ~』について、それぞれどんな作品なのか教えてください。
伏:『転ちゅら!』はリムルの設定だけが幼女になってしまうという作品ですね。シリアスよりもギャグ寄りの作品です。茶々先生にはキャラクターの設定だけはしっかりとお願いしますとだけ伝えていて、ストーリー的な面はお任せに近い感じです。自由に伸び伸びやっていただいて構いませんとお話しました。見どころとしてはリムルが幼女になったら、それぞれのキャラクター達はどんな反応をするだろうかという点でしょうか。激甘なリグルドをはじめとした各キャラクターに注目していただきながら、笑って読んでいただけたらと思います。
※リムルが幼女になってしまう『転ちゅら!』
伏:次に『転生したらスライムだった件 異聞~魔国暮らしのトリニティ~』は、本編をリムルではない異なるキャラクターの視点から後追いするサイドストーリーになります。実は戸野タエ先生は、第1回目のインタビューで川上先生が話題にされていたコミカライズのコンペで、川上先生とラスト二人に絞られたもう御一方なんです。そういう意味では個人的に縁のある方でもあって、機会があれば何かやっていただけたらと思っていました。ただ、リムル以外の視点から描く物語には岡霧先生の「魔物の国」があるので、被らないようにと考えた結果、本編補完のサイドストーリーにできないかという提案をさせていただいたんです。これは戸野先生にも凄く読みこんでいただく必要があって、大変なお仕事になるとお伝えした上で動き出したのがこのトリニティになります。
――なるほど。スピンオフというよりは、本当にサイドストーリーになるわけですね。
伏:そうです。物語開始時点の時間軸はカリュブデス討伐の後、リムル達がドワーフの国へと外交に行くあたりからになります。可能であれば本編コミックの2、3歩遅れで物語を補完できたらいいなと思ってます。僕自身も監修が大変になるのはわかっていたんですが、あそこまで大々的に「原案・監修」と書かれるとは思ってなかったという(笑)。
川:戸野先生とは私も一度ご飯をご一緒させていただいたんですけど、その時点ではどんな物語になるのか知らなくて、連載がスタートして、こういう感じになるんだと知りました。かなり描かれている時間軸も近くて、スタートは漫画の単行本だと第9巻あたりの時間軸になるんですかね。頑張らないと追いつかれちゃうぞって(笑)。
伏:大丈夫です、絶対追いつくことはないです(笑)。
川:――(笑)。私もいち読者として、まずはリムルがドワーフ王国に行っている間の出来事がどう描かれるのか、とても楽しみにしています。
伏:内容的に本編とかぶるシーンもでてくるとは思いますけど、見せ方を変えて描いていただく予定です。
川:やっぱりリムルの視点ではないわけで、周囲から見たリムルを見られるというのはすごく楽しみですね。
伏:この作品にはできるだけ主人公以外にはオリジナルキャラクターを出さない方向でとお話はしていて、本編のキャラクターをしっかりと活用しながら描かれることになると思います。
川:主人公はカリオンのところからやってきたあのケモミミの女の子になるんですか?
※第1話で登場した3人の主人公の一人・フォス
伏:いえ、タイトルにもあるように「トリニティ」ということで、主役級は3人登場します。
川:3人の主役級っていうのはすべてカリオンの配下というわけではなく?
伏:そうですね。残りの2人はミリムとフレイ、それぞれ違う魔王のところからからやって来たキャラクターとして登場することになります。ファンの方に受けいれてもらえる作品に成長してくれたらと思っています。
※トリニティでは様々なキャラクターの活躍を見ることができそうだ
●4冊同時発売となるそれぞれの最新刊について
――原作小説第14巻、コミックス第11巻、スピンオフコミックス第5巻、四コマ第2巻の見どころについて教えてください。
伏:第14巻ではテンペスト側にようやく危機が訪れるという物語になります。
川:ようやく(笑)。
伏:そうです(笑)。リムルたちはテンペストに侵攻してきた帝国を返り討ちにしました。ただ、そこには帝国の本当の狙いがあって、上層部にいる存在は人間サイドの思考をしていないと明確にわかる巻にもなると思います。ある意味で、すべてが掌の上であったとも言えるかもしれません。帝国がテンペストに送り込んだ100万の軍勢はどういう意図で差し向けられたのか。帝国との本当の戦いが始まる、という流れにしています。第14巻は激突への下準備であったり、暗躍であったり、布石が描かれることになります。読者の方には申し訳ないんですけど、エピソードとしては再び巻をまたぐことになります。
※東の帝国との本当の戦いが幕を開ける……!
※ギィ・クリムゾンもリムルに急接近!?
伏:イラストについては表紙を飾るヴェルドラの姉、ヴェルグリンドに注目していただきたいですね。彼女の背後に描かれているのは竜化した姿ではなく、ただの木彫りの像なので、そこのところ勘違いしないよう気を付けていただければ(笑)。いろいろと意見をお伝えして、みっつばー先生には苦労をかけたと思います。詳しくは申し上げませんが、なぜヴェルグリンドが表紙なのか、最新刊を読んでいただければと思います。
※第14巻はヴェルグリンドから目が離せそうにない
――続いてコミックス第11巻となります。この巻で放送されたアニメに追いつく形になるんですよね。
川:そうですね。当初から早く描きたかったラミリスがついに登場します。すごく動かしやすいキャラクターで、リムルとのやり取りがとても楽しいんですよね。物語としては前巻から引きずっていた問題が解決して、エピソードとしては一段落という形になると思います。第11巻については、ラミリス登場のシーンをとにかく見てくださいという思いばかりが先行してしまうんですが、楽しんでいただけたらと思います。
※ラミリスとの邂逅、そしてエピソードはひとつの区切へ
――続いてスピンオフコミックス『転生したらスライムだった件 魔物の国の歩き方』第5巻、『転スラ日記』第2巻について伏瀬先生お願いします。
伏:『魔物の国の歩き方』についてはかなり面白く仕上がっているので、実際に読んでいただいた方がいいと思います。この物語がスタートした当初は、岡霧先生もどこまで踏み込んでいいのか遠慮と手探りでやられていたと思うんですけど、いよいよ良い感じに肩の力が抜けてきたのかなと(笑)。キャラクターが本当に動くようになってきていて、個人的にもどんどん楽しくなってきています。ヴェルドラも特に面白く動かされているので。
川:最近のヴェルドラは面白いですよね(笑)。
伏:本当にそう思います。年に数回ですが、悩むところがあれば直接お会いして打ち合わせもしています。お互い楽しい感じに相談ができているので、今後も期待していただければと思いますね。
※ヴェルドラの活躍(?)も見どころだ!
伏:『転スラ日記』については、正直本当にすごいの一言しかありません。冗談でもなんでもなくて、柴先生は僕よりも設定について詳しいんじゃないかってくらい読みこんでくださっていると思います。キャラクターを把握した上で、独自の色を出して、たとえあり得ないような行動をとるにしても、このキャラクターならアリかもと思わせてくれる。読んでいてとにかく面白いですし、ここまで踏み込んでいただけたら文句のつけようもありません。送られてきた原稿もいち読者として楽しく読ませていただいて、監修はおしまいという(笑)。転スラファンにも間違いなく楽しんでいただける内容になっていると思います。
※伏瀬先生も大絶賛の4コマ漫画第2巻
●ニコニコ静画で開催された人気投票で「シュナ」大躍進!?
――少し話題を変えまして、昨年末からニコニコ静画でキャラクター人気投票が開催されていました。先日結果も発表されまして、この結果についても振り返っていただければと思います。
【投票結果1位~10位】 1:リムル=テンペスト 2:大賢者 3:シュナ 4:ミリム・ナーヴァ 5:シズエ・イザワ 6:シオン 7:ゲルド 8:ソウエイ 9:ベニマル 10:ヴェルドラ=テンペスト |
伏:シュナが3位にいるのは本当に驚きでした。ベスト3にはミリムが入ると思っていたので。
川:確かにそうですね。大賢者についても私は大好きなんですけど、姿形がないのに2位に食い込んでくるのはちょっと意外でした。
伏:ミリムが2位で、大賢者が3位でも決しておかしくなかったと思います。何度も言いますがまさかシュナが3位にくるとは!(笑)。アニメのシュナが可愛く描かれていたので、そういった影響も大きかったのかなと思います。あとは男性キャラクター。ソウエイはもっと上位にくると思ってたんですけど、そんなソウエイやベニマルを抜いてゲルドが大躍進で7位(笑)。
川:やっぱり内面がイケメンって大事なんだなと思いました(笑)。
伏:僕も小説の中で内面が格好いいと書いた覚えはあるんですけど、こうして数字に表れるとは思っていなかったですね。
――予想はされていたと思いますが、リムルの1位についてはいかがですか。
伏:これは揺るがないだろうと思ってました。
川:ダブルスコアとはいきませんでしたけど、2位との票差はかなり開きましたよね。
伏:スライムになったら可愛いですし、人型になれば男とも女ともつかないわけじゃないですか。リムルの性別が無性なのは何かを狙っていたわけではないんですけど、結果としていい方向に転がったんじゃないかと思います。
川:え、意図してなかったんですか?(笑)。
伏:性別を決めるのが面倒だったので無性にしてました(笑)。
川:そこは読者の方も含めてびっくりしてると思いますよ!
伏:まぁ計算通りだったということにしておいてください(笑)。
一同:――(笑)。
川:また大賢者のお話に戻るんですけどオートモードのイラストが多くて驚きました。みんな吹き出しだけのイラストを描いてくるんじゃないかなって思っていたので(笑)。
伏:吹き出しに「…………」で大賢者って確かにできなくはないですけど。
川:スライム型のリムルに次ぐ描きやすさですよね。
伏:誰でも書ける!(笑)。
川:と思ったらみなさん描くのが大変な人型で。オートモードがあったからこそ大賢者もここまで食い込んだのかもしれませんね。
――11位から20位も見ていきたいのですが、過去のインタビューでお二人が動かしやすい、好きなキャラクターとして挙げられていたランガやゴブタがランクインしています。また、三上悟の転生のきっかけにもなった通り魔も17位にいるんですよね。
【投票結果11位~20位】 11:ランガ 12:クロエ・オベール 13:ゴブタ 14:ガビル 15:エルフのお姉ちゃん達 16:ソーカ 17:通り魔 18:ハクロウ 19:エレン 20:トレイニー |
川:通り魔は意外といいところに食い込んでますね。ハクロウより上ですよ!(笑)。
伏:ネタキャラが上位にくることありますよね(笑)。20位のトレイニーはアニメでもすごくいいキャラクターになっていてよかったなと思います。
川:20位内にはランクインしませんでしたけど、リグルドはもう少し上にきても良かったんじゃないかなと思いました。
伏:とはいえ、アニメでも後半の出番がほとんどなかったですからね。ゴブタとランガについても上位陣が納得のメンバーではあるので、この上となるとなかなか難しいのでは……。
川:ヴェルドラもアニメでの出番がもっと多かったらさらに上に行っていたかもしれないですよね。
伏:ラミリスとコンビを組んでいたら間違いなくもっと上だったでしょうね(笑)。
川:ガビルの14位は私の予想より上でした。アニメでもすごく楽しいキャラクターに仕上がっていたので納得はできます。
伏:ガビルの声優を担当された福島潤さんのアドリブ採用率も高かったみたいですし、偶然咳き込んだアドリブを採用するために絵の方を描き直したりもしたんですよ。本当にいいキャラクターだったと思います。
――以前にお気に入りのキャラクターをおうかがいしてから、物語もかなり進行しました。あらためて最近気に入っている、気になっているキャラクターがいれば教えてください。
川:漫画ではあまり尺を取れなかったんですが、私はベレッタが好きですね。今後はもう少し別の形で補完したいと思ってはいるんですけど、あの球体関節人形を描くのは楽しいです。ベレッタはディアブロに妬まれているキャラクターでもあるので、そういうところも面白いんですよね。
伏:僕はアニメでトライアがすごく美人に描かれていたことが印象的でした。ドライアドの存在感が増したと思います。あとは第3弾のキービジュアルでしれっと登場していた勇者ですかね(笑)。
川:原作ファンはわかると思うんですけど、アニメファンの視点で見ると誰だろうってならなかったんですかね(笑)。
伏:そうですよね(笑)。具体的な活躍はしていないのにビジュアルではメインを張っているわけで。実際、シズさんに似ていたので勘違いしていた人達もかなり多かったみたいです。ただ、第23話と第24話を見れば、なんとなく繋がりはわかってもらえるのかなと。ディアブロの一言もかなり重要でしたし。アニメ制作の過程で仮面についても、あれはシズさんから受け取った仮面がクロエに渡っているのか、それとも別の仮面なのかと質問をいただいて、いつか触れようと思っていた設定を詰めるに至りました。その結果が第11巻に活かされた形になっていたりもするので、あらためて読み返していただければと思います。
※アニメ第3弾キービジュアルには勇者が描かれていた
――原作サイドでも原初の悪魔の投票が行われ、結果も発表されました。ちなみに1位になったキャラクターには何が起こるのかご存知ですか。
伏:僕も知りません。なので、僕にSSを書いてほしいとか、そんな依頼が来るわけないと思ってます(笑)。
――担当の編集者さんがちょっと待ってと声を張り上げておりますが……(笑)
伏:これは確実に断っていい流れ(笑)。
――担当の編集者さん曰く、この一連のやり取りはインタビューに掲載してほしいそうです。
川:伏瀬先生の退路を塞いできましたよ!(笑)。
伏:む、無理!!(笑)。
――では最後に、原作も漫画もアニメも物語はどんどん加速しています。あらためてファンのみなさんに向けて一言お願いします。
伏:毎回言っている通り、世界が広がって作品も増えてきて、自分自身でもすごいなと他人事のように思うこともあるんですけど、これもすべて支えてくれるファンのみなさまのおかげだと思っていますので、今後ともよろしくお願いします。次回の刊行は9月頃になると思います。第1巻や第2巻を刊行していた頃、第4巻と第5巻の2ヶ月連続刊行といったスピード感は出せなくなっていますが、筆が遅くなってきているのも、その筆の重さが責任の重さだと思っているので……!
一同:――(笑)。
川:伏瀬先生が面白すぎてこれ以上面白いこと言えない……むしろ私もその言葉を使いたい(笑)。さて、原作では1部や2部という分かれ方はしていないんですけど、個人的には次の巻から2部に入るという感覚です。漫画でも物語は大きな転換点を迎えることになると思うので、これからも新たに広がっていく転スラの世界をよろしくお願いします……! 次のコミックスの刊行は7月頃を予定しています。
――本日はありがとうございました。2020年のアニメ続編も楽しみにしております。
<了>
今回はアニメ第2期の制作決定、そして4作品の同時刊行+新スピンオフの開始を記念して、伏瀬先生と川上泰樹先生のお二人にじっくりとお話をおうかがいしました。『転生したらスライムだった件』原作小説第14巻、コミックス第11巻、スピンオフ『転生したらスライムだった件 魔物の国の歩き方』第5巻、四コマ漫画『転スラ日記 転生したらスライムだった件』第2巻は2019年3月29日発売。スピンオフ『転生しても社畜だった件』は「水曜日のシリウス」にて、そして新たなスピンオフ『転ちゅら!』は「少年シリウス」、『転生したらスライムだった件 異聞~魔国暮らしのトリニティ~』は「水曜日のシリウス」にて好評連載中。2020年のアニメ続編制作決定と、まだまだ「転スラ」からは目が離せません。
©伏瀬/マイクロマガジン社 イラスト:みっつばー
©伏瀬・川上泰樹/講談社
©伏瀬・岡霧硝/マイクロマガジン社
©伏瀬・柴/講談社
©伏瀬・茶々/講談社
©伏瀬・戸野タエ/講談社
©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ制作委員会
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